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ゆっくりと目を覚ます。


何度か瞬きをして、視界に入ったのは、

天蓋付きベッドの上の部分と、

ベージュに色づけされた天井だった。


私はアマリア・スカーレット・・・

侯爵令嬢の次女のはず・・・


見慣れた風景・・・


ここ・・・私の部屋よね?


知っている部屋のはずなのに、凄い違和感を覚える。


8畳のワンルーム

満員電車

クレーンゲームとプリクラ

没になった企画書と飲み会


今までの16年の人生では、経験した事のない知識が、

どんどんと押し寄せてくる。


「うううっ」


思わず頭を押さえて、声が出る。


「大丈夫ですか!お嬢様!」


ああ、この声はメイドのエマだ。


「奥様を呼んで参ります!」


慌てた表情で部屋を退出する。


やってきた母は、医者らしき男性と一緒に、

部屋に入ってきた。


「無事なの?」


私は何とか頷く。


頭の中は、大量の記憶が入り込み、まだ混乱していた。

医者によって、丁寧に診断される。


「落馬により、頭を少し打ち付けたようです、

 少し血が出ていますが、この方がまだ良くて、

 内出血の方が危険だったので、幸いでしょう。

 体もぶつけて、あざなどはありますが、

 長い草の上に落ちたので、さほど心配ありません、

 数か月もすれば、全て消えるでしょう」


母が私の手を握る。


「落馬をしたと知った時は、

 心臓が止まるかと思ったわ」


母の表情からも、本当に心配してくれた事が分かって、

申し訳なく思う。


今日は天気が良かったので、馬でピクニックに行って、

その帰り、馬の前にウサギが飛び出し、

馬がびっくりしてしまい、

上体を大きくのけぞり、私は振り落とされてしまったのだ。


「ローズマリーを責めないで」


ローズマリーとは私が乗っていた馬だ。


「貴女ならそう言うと思っていたわ、

 馬も無事よ、安心して頂戴」


「はい」


「体はどうなの?」


「あちこちが痛いです」


さすがに、記憶が混濁していますとは言えず、

それだけを言う。


「そう・・・」


「今はとにかく休むのが大事です、

 ゆっくりして下さい」


そう言って、医者が席を立った。


「何か欲しい物、困った事があれば、すぐに言うのよ」


母もそう言って、退席していく。


そして、メイドと2人になった時、

改めて、頭の中の知識に向き合う、

そうこれは異世界転生だ・・・

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