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98話 こんなのが普通はわけないだろ

「おいおいそれはマジかよ」


「エクストリームってこんなにレベルが上がるものなのですか?」


「そんなわけないだろ」


光が収まるとそこにいたのはオークの変異種だった。しかも、オークを統率するボスオークでオークより1つレベルの高いモンスターだな。てっきりハイゴブリンとゴブリンだと思っていたので少し驚きはしたが、ギリギリ想定の範囲内か。


「まずは様子見と」


アーバスは虹刀を装備すると虹属性を付与した魔力弾を展開してボスオークへ攻撃を始める。サーラにはその隙に壁際へと移動して貰いながらアーバスはボスオークを観察する。


「ブモォォォォォォォォッ」


ボスオークは魔力弾を避けるようにその場でステップをしながら魔力弾を避けていく。アーバスは魔力弾の魔法陣は1つしか展開していないのでそこまで避けるは難しくなく簡単に避けられてしまう。最後の魔力弾が発射されるのと同時にアーバスはそれを追うように走ってボスオークへと迫る。

ボスオークは最後の魔力弾を避けるとその後ろを走っていたアーバスへ向けて持っていた棍棒を振り下ろす。


「そんな単純な攻撃は喰らわねぇよ。これでも食らっとけ」


アーバスはその攻撃に対して魔法で身体を横へと移動させるとオークの右側から剣で攻撃する。アーバスにはそこそこの手応えがあったのだが、そこはオーク、怯むことなく今度は薙ぎ払いで対応してくる。アーバスはそれを避けることなく障壁で受けようとするが


パリィン


「えっ」


ボスオークの攻撃が障壁に直撃すると同時に障壁はなんの抵抗もすることなく砕け散っていく。後方から見ていたサーラはその光景にただ呆然とするしかなく、障壁を破壊した棍棒はそのままアーバスへと迫っていく。直撃したら致命傷、もしくは退場だろう。ダンジョンなので死ぬことはないだろうが、それでもこの光景はサーラにとっては絶望に見えた。


「あっぶねぇ。障壁破壊とかマジかよ」


アーバスは転移陣でその攻撃を回避する。転移は本来ダンジョン内では使用することが出来ないのだが、戦闘での回避のみ使用することが可能なのである。アーバスはそのことは知らなかったのだが、癖で回避で転移を使った形だな。もし、転移を使えなかったとしても身体強化と虹刀で防御の姿勢はしていたのでふっ飛ばされるだけでダウンや退場することは無かっただろう。

障壁破壊とは文字通りのスキルで、相手が障壁を張っていても触れるだけで破壊してしまうスキルのことだな。対人の戦闘スキルの中では最高峰のスキルの1つで、対策をしておかないとどれだけ強力な障壁を張ろうとも一撃で破壊されてしまうのだ。

戦闘前にボスオークに鑑定と看破を使った時には障壁破壊のスキルはなかったはずだ。アーバスは再度ボスオークに鑑定と看破を使うが、やはりボスオークに障壁破壊のスキルは付いていなかった。


「どういうカラクリはわからないが、あるとわかっていたら対処は簡単だな」


アーバスは魔法陣をボスオークの周囲に大量展開すると、そこから魔力弾で集中攻撃を行う。ボスオークはそれを避けようとするのだが、あまりの数に対処が出来ずに大量の魔力弾がボスオークに着弾する。


「サーラバフを頼む。どうやら障壁破壊が付いているみたいだ」


「わかりました。『オールアップ』」


今のサーラでは障壁破壊に対抗できるものをもっていないので障壁を解除してアーバスへバフを掛けてもらう。ボスオークのスキルを確認したが飛び道具系はなかったからな。アーバスはサーラのバフ以外にも自身の身体強化で更に強化を行う。


「ハアっ」


「ブモォ」


アーバスは爆風の中ボスオークへと接近すると、そのままボスオークへと斬りかかる。ボスオーク自体は目では見えないが魔力反応で何処にボスオークが居るのかは判っているので魔力を隠されない限りは目で見えてなくても問題はない。

ボスオークは攻撃された所に向かって棍棒を振り下ろすがアーバスは既に後ろに下がって離脱をしており空振りに終わった。


(ん?思ったより削れてないな)


アーバスはどれくらい入ったのかダメージを確認しようとステータスを確認したのだが、アーバスの予想よりもだいぶ少ないダメージしか入っていなかったのだ。

魔力弾の大量直撃と今さっき剣でダメージを与えたので相当なダメージが入っているはずなのだが、さっき見た時から少ししか減っていなかったのだ。


(これは長期戦か?でも、ダメージが少ない理由もわからないしな)


アーバスはボスオークに攻撃しながら原因を考える。ボスオーク自体は普通のボスよりも攻撃力と速度は上がっているものの、鑑定したステータスから予測した通りであり、それ以外ではさっきの障壁破壊以外に変なステータスは無い。


(それとも別のモンスターがいる?そもそも看破を使っているし魔力反応もないしな)


アーバスは光が集まり出した時から魔力反応を確認しているが、出現したモンスターはボスオークの魔力反応のみであり、それ以外のモンスターの魔力反応は見つけていない。もし、隠れるモンスターが居た場合でも、魔力を隠すのはスキルなので最初の魔力が2つあるはすだ。モンスターがボスオークではない可能性も考えられるが、その場合は看破で何のモンスターかわかるのでそれも違うだろうな


(となると棍棒か?)


アーバスはあらゆる可能性を考えた時にその答えにたどり着いた。普通、スキルはモンスター側にあり、武器にはスキルがないことが普通だが、アーバス達が装備している武器にはスキルがあるのが普通だ。アーバスは何気なくボスオークが持っている武器に対して鑑定と看破を使うことにした。


「おい、マジかよ」


鑑定結果は大当たりで、ボスオークの棍棒には10個のスキルが備わっていたのだ。その中には障壁破壊や魔法ダメージ無効。更に無効化したダメージを回復に変換するスキルがあったのだ。ダメージが少なかったのも魔力弾で全回復してから攻撃したのでダメージが殆ど入ってないように見えただけだったのだ。


(武器攻撃ならダメージは入るけどそれ以外だと回復に変換されるのか。しかも障壁破壊付きと)


アーバスは棍棒のスキルを確認するとそう結論づける。魔法攻撃の魔力弾が回復されるのにボスオークが回避行動したのは恐らく棍棒のスキルをわかっていないからだろう。普通のモンスターであれば魔法ダメージが入らないのであれば無視して攻撃してくるので無効を予測することが出来るのだが、それも無く、しかも武器にスキルが付いているというのを予測するのは初見だと無理だろうな


「カラクリもわかればこっちのものだな」


幸いにも遠距離攻撃のスキルは無かったのでサーラに魔法が飛んでいくことはないだろう。アーバスはそれを確信してボスオークへ攻勢をしかけていく。サーラからバフも貰っているのでボスオークに優勢を取るのは簡単だしな


(それにしてもその武器欲しいなぁ)


アーバスはボスオークを攻撃しながらそんなことを考える。棍棒はボスオークの武器なので倒したら消滅してしまうのだが、普通に作るのなら災害級モンスターの素材が大量に必要だろう。しかも、つけれても生産だと5つが限界だしな。それと比べてこのボスオークの武器は10個もある上に全てが有用なスキルなんだよな。


(ドロップで出るのかなぁそれ)


ボスモンスターって倒しても武器のドロップはあるが、装備している武器や防具を落とすところなんて見たことないな。これが外のモンスターなら武器を回収できるんだけど、武器にスキルが付いているのを見るのはこれが初めてだしな。


(外でも出てきてくれないかな)


武器や防具を持っているモンスターの数は少ないが、スキルの付いた武器を持っているモンスターとか出てきてくれれば生産の必要が無くなるので少しはモチベーションが上がるんだけどな。


「ブモォォォォォォッ」


「悪い。それもう見切ったんだわ」


何度目かのボスオークによる棍棒の薙ぎ払いをアーバスは角度を変えるように弾くと、ボスオークは仰け反る形となって隙が出来る。アーバスは虹刀を一度鞘に仕舞うと虹刀に大量の魔力を注入する。


「それじゃあな」


アーバスは虹刀を抜刀すると、刀に大量の魔力を帯びた虹刀がそのままボスオークを斬りつける。


「オォォォォォォォッ」


ボスオークは断末魔を上げるとそのまま光となって消えていき、ボスオークがいた場所には金色の宝箱が落ちていたのである。

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