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80話 普通のギルドはアイテムバッグを貸してくれないのか

「ちょっとアーバスどういうことよ」


「何がだ?」


「なんであんなところにギルドがあるのよ。聞いてないわよ」


商会から出るとアミールが詰め寄ってきた。どういうことって言っても大した理由じゃないぞ


「ギルドの為の部屋を借りようと相談したらあの場所を貸してくれてな。好意に甘えることにした」


「好意でそんなところ借りれるものなの?」


「普通なら絶対に貸してくれませんよ」


「そこは創業から関わっているのもあるのかな?」


創業から関わっているとはいえ、これが他の人ならルーファも絶対に貸さなかっただろうな。たぶん別の物件を提示していただろう。そう考えると権力を使っているみたいで申し訳なくなるな。

ちなみに移籍の書類も既に提出済でルーファが後でギルド本部へと送るそうだ。俺としてはそのままリリファスに出しても良かったのだが、それだとギルドからの反発があるかもしれないということでルーファに任せた形だ。


「それにしてもギルドからアイテムバックが支給されるとはね」


「そんなに意外か?」


サーラに渡した大容量のアイテムバックは特注品だが、普通のアイテムバックならそこまでの値段はしないしギルドから貸し出しされていても不思議ではないんだけどな。


「そうですね。普通なら自分で買うしかないですからね。買うにしても少量が限界でしょうけどね」


どうやら普通のギルドだとアイテムバックの貸し出しはないみたいだ。それを持って消えられると損失が大きすぎるから仕方ないか。ルーファも信頼があってかつ高ランクの冒険者でもない限りアイテムバックの貸し出しは行わないだろうしな


「アイテムバッグが無かった時は倒したモンスターはどうするんだ?運べないだろ?」


モンスターは倒しても報酬が貰えるが、それ以上にモンスターの素材の方が価値があるのだ。その為、倒して証拠だけ取って帰還するなんてのは結構な損失になってしまう。


「大抵は運んでもらうポーターを頼んでいましたけど結構な値段がかかるんですよね」


「そうね。素材と釣り合わなかったら連れて行かずにそのまま放置して帰らないと行けなかったし、アイテムバッグは凄い助かるわね」


ポーターってそんなに値段がするのか、後でルーファに相場を聞いておこうかな。


「アーバスってアイテムバック持ってないわよね。素材とかどうしてるの?」


「俺はアイテムボックスがあるから使ったことないな」


アイテムボックスは結構最初の方で習得したのでアイテムバックなんて持ったことがなかったな。だからアイテムバックの相場を知らないしルーファ商会用のアイテムバックもルーファが頼んでるから値段なんて知らないしな


「そうなの!?」


「アイテムボックス持ちなんて知らなかったです」


「そりゃ言う必要もないしな」


アミールとサーラは驚いたように言う。アミールはともかくサーラはエクストリームの時に使っているのを見ているはずだから知っているはずだからわざとだろう


「それにしてもアーバスがルーファ商会と知り合いだなんて思いませんでした」


「ルーファ商会がまだ出来たての時に知り合ってな。それから贔屓にしてもらっているな」


本当はルーファ商会はトゥールの組織の一部なのでアーバスが場所を空けてくれといったら本当に空けてくれるだろうが、流石に私的な理由でそこまではやりたくない


「そうだったのですか。それにしても結構な信頼関係なのですね」


「半分専属みたいなとこがあるからな。指名依頼も普通にあるしな」  


トゥールからアーバス宛にくる依頼の中にはルーファ商会からの依頼もあるからな。それ以外からの商会からの依頼は一切受けてないし、ルーファ商会の依頼は全てトゥールに出しているからな。


「それじゃあここで解散だな」


「そうね。今日はありがとうね」


「まぁ頑張ってくれ」


学園まで戻ってきたのでアミール達と解散する。本当には商会前で解散した方が拠点に近いのだが、何かあったら面倒なので学園まで送った形だな。



「アーバス様、おかえりなさい」


「ルーファか。仕事はいいのか?」


拠点に戻ると既にルーファが戻ってきており、夕食を作っているところだった。本来ルーファは食事を摂る必要はないのだが、一度外食に連れて行った時に食事の美味しさを知ったみたいだ。なので時々外食したり、こうして自身で料理を作ったりしているらしい。


「えぇ、今日の分は全て終わらせました。アーバス様も食べていきますか?」


「いいのか、1人で食べるんじゃなかったのか?」


「2人分で準備していましたので問題ないですよ」


「なら、頂こうかな」


ルーファは料理を2人分に分けるとテーブルに向かい合うようにして料理を置いていく。アーバスとルーファは対面に座ると食事を食べ始める


「今日は時間を取らせて済まなかったな」


「いえ、大変なのはこれからですから」


「いつも迷惑をかけるな」


「そうでもないですよ。管理するのも趣味でやっていますから」


トゥールの物資やクエストの整理など、ルーファとリーゼロッテには結構な負担となっているのに何も文句を言わないこの2人には凄く助かっている。


「それにしても2人共結構な実力がありますね。本当にBランクですか?」


「あぁ、Bランクの最上位だな。Aランクでも不思議じゃないが属性が足りていないみたいだな」


「なる程。ということはアーバス様は使える属性を増やしているのですか?」


「そうだな。ゆくゆくはAランクかそれ以上になって欲しいかな」


Aランク以上のモンスターになると複数の属性を要求されることが多く、その少なさから属性関係なく指名依頼が入ることがあるのでAランク冒険者は実力の他に使える属性も増やしておかないとランクアップの対象とならないのだ。


「そうなのですか。なら依頼はBランクをメインにした方が良さそうですね」


「だな。前衛が氷属性だからそこに不利がつかなければ問題なく勝てるだろうな」


「わかりました。耐性持ちや不利属性は控えるようにします」


ギルドの構成がアミールとサーラしかいないが、ギルドの構成員に有利や勝てるような依頼を出すのも受付の仕事だからな。トゥールの依頼もギルドの依頼と同じように出しているのでアミールとサーラが受けたとしてもギルドの依頼として処理することも出来るので問題ない。


「そもそもBランクの依頼ってあるのか?大抵はギルドに取られるイメージなんだが」


モンスターの討伐依頼などは基本的にはギルドに依頼されるものであり、トゥールに依頼されるものはそこから漏れたものが多いはずだ。


「そこは問題ないですね。大国なら兎も角地方ならBランクモンスターでも討伐できる人材がいませんので自然とこちらへ依頼が回ってくるのですよ」


「でも移動はどうするんだ?地方だと日数がかかるだろう?」


「トゥールと同じように転移石と帰還石を使います。ギルドの待遇として使えば無問題でしょう」


「それなら解決するか。転移石も余裕あるしな」


転移石とは文字通りその場所へと転移できる石のことで、石に座標を魔力で設定するとその場所に転移できるというもので、逆に帰還石は転移石を使っていた場合に限り元の転移場所へと帰ってくれるというものである。最初は少量しか作れなかったのだが、現在は大量生産出来るようになっているので少し余裕があるくらいには在庫がある状態だ。

ただ、市場へは高額で少量しか流通させていないのだが、これはトゥールが使う分のあまりを流通させているのが理由だな。


「後ですが、安全にクエストをクリア出来るか確認したいのと元ギルドからの報復に備えてナイトメアを配置してよろしいでしょうか?」


「良いだろう。学園内はシエスに気づかれるだろうから学園外ならいいんじゃないか」


「わかりました。優秀なのを2体配置しておきます」


ナイトメアとはルーファが調教したモンスターの中の1種類で、黒い人型のモンスターである。主に護衛で使わており、隠密性に非常に優れていて尚且つ戦闘力も非常に強く護衛向きなモンスターなのである。更に対象の行動を記憶することができるので諜報としても使うことが出来る便利屋的な存在でもあったりする。

 

「そういえば人は増やすおつもりですか?」


「今のところは増やす予定はないな。増やしたとしても俺からの紹介制にするからそこまでの人数にはならないかな」  


あまり増えすぎるとルーファの負担が増えるからなギルドメンバーは少なめにする方針だ。


「もしよろしければでいいのですが、一部トゥールの人間をギルドに入れてもよろしいですか?」


「いいけどどうしてだ?」


「ギルドの調査をする際に職員もそうですが、冒険者として潜入出来る人材が欲しいと思いまして。戦闘員を他のギルドに入れて育てるのも考えましたが、それだとGランクからになりますのである程度の冒険者ランク育てるには自分達のギルドで育てるのが早いと思いまして」


メルファスと違ってトゥールの一般メンバーはギルドに所属していないので冒険者ランクを所持していないのだ。その為、冒険者ギルドへの潜入は職員として潜入されるか、存在を隠せる人物しか派遣することしかできないのだ。職員の場合は仮に優秀だったとしても雇ってもらえないこともあるしな。


「それだったらいいぞ。遠慮なく使ってくれ」


「ありがとうございます」


人数はそこそこ増えるだろうが、別に問題ないだろう。ギルド本部やリリファスの目には止まるだろうが、必要な時に派遣できる冒険者を育てておいてもいいだろう。

その後は魔界への対処などを話し合いながら夕食をゆっくりと食べるのであった。

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