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68 話 アリーナで特訓をしよう

「さ、アーバス。放課後もダンジョン攻略するわよ」


今日の授業が全て終わり片付けをしているとアミールが声をかけてきた。放課後にダンジョンに行くのも悪くはないが、運が良くても3層を攻略できれば良い方だろう。


「すまんな。こっちは用事があるのでな」


「何よ。ダンジョン以外でやることってあるの?」


「やることってなぁ…約束しただろ」


どうやらもう忘れているらしい。お前に魔力制御を教える約束だったろ


「私達に色々と教える約束ですよね。忘れていませんよ」


「ウチはシュミレーションボードがあるから他でやっててもええか?」


「いいぞ。アリーナ6の1番室にいるからわからないところがあったら聞きに来ててくれ」


「了解や」


リンウェルはそう言うと教室から出ていった。多分図書室だろう。アリーナ6は図書室から1番近いアリーナなので敢えてそこを選んだのもあるけどな。


「アリーナ6なんて良く取れましたね。人気のはずですよ」


「対抗戦優勝したから多少は融通が聞くみたいだな」


アリーナ6は他のアリーナより遠い位置にある施設で、大小様々な部屋があり、個人練習をする分には丁度良い広さになっている。

アーバスはその中でも1番広い部屋である1番室を練習部屋として準備していたのである。これはアミールとサーラ2人が練習していても干渉しないような広さだからというのもあったりする。

アリーナを始めとした練習施設は上のクラスから使用する優先権があり、同じクラスであっても対抗戦での序列やクラス貢献度によって更に細かい優先権かあったりする。

アーバスの1組は対抗戦優勝した上にアーバスはクラス貢献度でもトップなので1年の中では1番高い優先権を保持しているみたいで平日のアリーナ6の1番を暫くの間、貸し切りにしたのだ。


「対抗戦の順位ってそんなところにまで影響が出るのですね」


「意外か」


「そうですね。でも、知っていても優勝出来るかはまた別ですからね」


知っていたら優勝への意欲は高くなると思うが、それで優勝できるかといえば難しいのが対抗戦だ。特に1年の1期の対抗戦は実力が均衡しているからな。


「とりあえず移動しようか」


「そうね。立ち話してても仕方ないからね」


「ですね。移動しましょうか」


というわけでアーバス達はアリーナ6へと移動する。



「ここがアリーナ6ですか。思っていたよりも広いですね」


「本当ね。これなら結構動いても問題なさそうね」


「1番広いところを借りたからな。他は殆ど個室くらいの大きさしかないからな」


アリーナ6は大きな部屋が少ないからな。大抵は魔法の練習をする為の部屋なので大きなサイズの部屋は数室しかなく、個室みたいな小さな部屋が大半を占めているのである。


「さて、まずはアミールからだな」


アミールの課題は魔力制御だ。アミールは出力の高い魔力を使うのが得意な反面、細かい魔力制御は非常に苦手な傾向にある。その為、剣を使わない攻撃は範囲攻撃しかなく、狙っての魔法は殆ど使わない傾向にある。

アーバスはアイテムボックスからテーブルを出すと、その上に魔力の水晶を置く。


「アーバス、なんで今更魔力の水晶を使うのよ」


「まぁ、見てなって」


アーバスが魔力を込めると、水晶内にノイズが走り、それがやがて綺麗な球体へとなっていく


「綺麗…」


「これって魔力制御ですか」


「そうだ。細かな魔力を制御出来るとこれくらいのことは出来るぞ。アミールにはこれをやってもらう」


「それはいいんだけど魔力の水晶が先に負けないわよね」


魔力の水晶は基本は魔法適性や魔力の強度を測るものなので本来魔力制御に使うものではない。理由は上級者が魔力を込めすぎると水晶が耐えきれなくなり爆発するからである。  

なので、魔力制御は本来は実際に魔法を使いながら行うのが一般的だったりするのだ。


「それは問題ないぞ。試しにちょっと魔力を込めてみろ」


アーバスはアミールに水晶を触れさせるとアミールは魔力を水晶に注ぎ込む。水晶内は水色に染まるが、ノイズが渦巻くだけで何か形になるということはなかった。しかも、アミール相当な魔力を入れているのだが、爆発どころか亀裂すら入る様子がない


「ちょっ。アーバス」


「いいから黙って集中しろ」


アーバスはアミールの手の上に手を重ねるとそこからアミールの魔力を確認する。


(制御しようとは思っているが、上手く魔力に伝達出来てないな)


アーバスはアミールの状態を確認すると、アーバスは魔力を込めてアミールの魔力とゆっくり馴染ませる。


「アミール、魔力の感覚がわかるか?」


「えぇ」


「じゃあちょっと見本を見せるから感覚で覚えてくれ」


アーバスは自身の魔力を完全に馴染ませるとゆっくりと魔力を球体へとしていく。


「この感覚わかるか?」


「えぇ。何となくだけど」


「じゃあここから実践だな。さっきみたいな球体を作ってくれ」


アーバスが手を放すと球体は一気に砕け散りただのノイズだらけへと逆戻りになる。

  

「今のをやれってこと?」


「そうだ。感覚は教えたから頑張って球体にしてくれ。それが第一段階だ」


「わかったわ」


アミールはそういうと魔力の水晶に手を当てて魔力制御を始める。魔力の水晶内で球体にするのに結構な技術が必要だからな。暫くはこれで問題ないだろう。


「次はサーラだな。こっちでやるからちょっと来てくれ」


「はい。わかりました」


魔力がコントロールできずに爆発する魔力暴発はないと思うが、念の為にお互いの距離を離しておく。


「じゃあまずは練習だな。サーラこれはできるか?」


アーバスはそう言うと手の平に赤色の球体をつくる。この球体は魔力であり色がついているのは火属性だからだ。

属性融合させるには2属性以上の魔力を合わせる必要があるのだが、下手に最初から魔法陣を使ってやるよりも、属性を付与した魔力を融合させる方が、余計な魔力や消耗が少ないのだ。

アーバスも始めは魔法陣を使って練習していたのだが、途中からこの練習方法を発見してからは属性融合を練習する時にはこれで練習しているのだ。


「やったことないですが、やってみます」


サーラはゆっくりと魔力を放出すると、手の平で小さい赤い球体をつくる。サーラが作ったそれは徐々に大きくなっていき、最終的には拳大程の赤い球体か出来上がる。


「初めてにしては上出来だな。次は同じ要領で左手に雷属性を出してくれ」


「はい」


アーバスは左手に雷属性の球体を作ってサーラに見本を見せる。今は右手に火属性左手に雷属性の魔力の球体がある状態だな。

サーラはアーバスの見本通りに左手に雷属性の球体を作ろうと魔力を放出していくが


「あっ」


習得したばかりの雷属性だったからかサーラが球体にする前に魔力が霧散してしまう。失敗だな。更に失敗したことで集中力が切れたのか右手にあった火属性の魔力の球体も霧散してしまった。


「最初は良くあることだ。習得したばかりの雷属性を先に作ってから火属性を作るようにしようか」


「はい。わかりました」


「両方を安定して作れるようになったら呼んでくれ」


アーバスはサーラに集中してもらう為に離れた位置で壁際にもたれかかる。


(やることが無くなったなぁ)


二人にやることは伝えたし、成功したら声をかけてくるだろう。それまではやれることがないので、その間にリンウェルと一緒にシュミレーションボードをやろうと思ってたのでこれは想定外だった。


(そういえば最近ちゃんとした属性融合を使ってなかったな)


普通のモンスターであれば魔力弾に少しだけ属性を混ぜてあげると弱点属性の判定になるので同じ魔力弾でも攻撃力が桁違い上がるからそうしているのだけなので、しっかりと属性魔力を込めての属性融合は使用していないな。


(久しぶりにやりますか)


「障壁展開。『遮光』『遮音』付与」


アーバスはそう唱えるとアーバスの周囲数メートルに障壁を展開する。本当は無詠唱でも展開は出来るのだが、言葉にして唱えると同じ魔力でもより強力なものが出来上がるのだ。

今回付与した遮光と遮音のスキルは外からは勿論のこと中からの光や音を外に漏れないようにするものを付与している。


「『魔法陣展開』、起動。」


アーバスは自身の上空の周りに等間隔で魔法陣を展開すると、それを一斉に起動させ、魔力弾のような魔力の塊が魔法陣の上に出現する。この魔力の塊は各上位属性の塊であり、非常に高濃度な魔力で形成されている。


(魔法陣の展開速度、起動からの形成スピードは特に衰えなしか)


アーバスは高濃度に魔力が濃縮されていることを確認するとアーバスは一安心する。あんまり起動していないと衰えないか不安になっていたが、どうやらそんなことはなそうだ。


「『属性融合』開始」


アーバスは展開された属性全部を一斉に手の平に集約していく。アーバスはそれを暴発しないように魔力制御していくが、


(ヤバい、魔力が足りない)


魔法陣と魔力維持で相当な魔力を使っていたのか、今のところは魔力は制御出来ているが、展開した高濃度魔力全てを属性融合すると魔力制御の魔力が足りずに暴発してしまうだろう。

アーバスは直ぐさま魔法陣への魔力の供給をやめて暴発しないように制御を開始する。魔力の供給が止まった魔法陣は維持することが出来なくなり、展開さてれいた高濃度魔力はそのまま霧散していく。

アーバスは残った魔力で属性融合していた魔力の塊を霧散させると、障壁を解除してその場に座り込む


(バレてはいないか)


相当な高濃度魔力だったが、遮音と遮光が効いたのかアミールとサーラは気づかずに集中して各々の練習に取り組んでいた。


(簡易版でも発動は不可かぁ。まだまだ、練習と魔力を上昇させないとな)


正直、完全に発動できるとは思っていなかったのでそこは驚きだったが、後少しで発動出来ただけに悔しさが残る。


(魔力制御と魔力の効率化をもう少し頑張らないとな)


アーバスはそう思いながら自分自身も魔力制御を始めるのだった。

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