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66話 ギルド作りの相談

「面倒だけど連絡しますか」


エクストリームの攻略を終えたアーバスは拠点に戻ると早速ギルドを作る為の準備を行う。まずはリリファスからだな。ここの許可がないと他が大丈夫でも作れないからな。


「アーバスどうしましたか?」


ありがたいことにコール数回でリリファスが通話に出てくれた。前回はエクストリームの報告の為の通話だったが、今回は私用での通話だ。というかリリファスに私用での通話なんて久初めてな気がするな。 


「実は少し相談がありまして」


「アーバスが個人的な用事なんて珍しいわね。いいですよ。話してみなさい」


「ギルドを作ろうかと思いまして」


「ギルド、ですか?王都には既にあるとおもいますが…」


「その王都のギルドに不正疑惑が出ております」


「不正ですか…」


アーバスは不正について現状知っている限りの報告を行う。リリファスは特に何も言わず全てを聞くと


「事情はわかりました。ですが、アーバスがそこまでする理由がわかりません。理由を聞いても?」


「実はエクストリームの攻略ですが、確認の為に派遣した子と一緒に攻略しているのです」


「そうなのですね。と、なればその子がギルドに所属しているのですね」


「そういうことです。精神汚染も確認されているギルドに置いておくのはメルファスとしても損になりかねないですし、それなら自分達でギルドを作ろうかと思いましてね」


「そういう事情ならいいでしょう。ただ、場所や人員はこちらでは用意出来ませんのでお願いできますね」


「わかりました」


「許可証はでき次第学園に送ります。楽しみにしてくださいね」


「ありがとうございます」


とりあえずこれでギルドを作れるのは確定だな。ギルドを構成する人員については許可制にするつもりなので、見ず知らずの外部の人員は入れるつもりはないしな。


「それとアーバス」


「何ですか?」


「引き抜きはくれぐれも慎重にお願いしますね。王都のギルド側に問題があるとはいえ強引な引き抜きは問題になりますよ」


「強引に引き抜くつもりはないですよ。本人達の意思が最優先です」


「そうですね。くれぐれを気をつけてくださいね」


「ありがとうございます」


リリファスはそれを聞いて満足したのかアーバスとの通信を切る。アーバスはそれを確認するとひと息吐いて緊張をとく。


「とりあえずは何とかなったな」


正直、提案を却下されると思っていたのでこれは意外な結果だった。やっぱり不正の証拠があったのが良かったのかな。シエスに感謝をするしかないな。

アーバスは少し休憩を取ると今度はもう1人の重要人物に通話をかける。


「久しぶりだね。師匠」


「エリース、元気にしてるか」


「元気にしてますよ」


通話の相手はエリースである。サーラを他のギルドに移籍させるのだ。サーラの師匠であるエリースにはことの経緯を連絡しないといけない。後、メルファスからの依頼もあるしな。


「珍しいね。何か用事かい」


「あぁ、この案件はエリースを通さないと行けないからな」


「つまりサーラ関係かい?」


「あぁ」


すぐにサーラの話しになるあたり話が早いな。先読みしてくれるのはありがたいが時々それが困ることもあるんだよなぁ


「いくら師匠とはいえサーラは渡さないよ」


「何故そうなる。引き抜きじゃねぇよ」


「サーラは頑張って育てたんだよ。それを間近で見たアーバスなら引き抜いても不思議じゃないさ」


「政治組の弟子なら引き抜いてたけどな」


自分達でメルファスをコントロールしたい政治組なら入り浸ったら悪い方向に染まってしまうので引き抜いただろうが、エリースならしっかりとしているのでわざわざ引き抜く必要がないしな。


「それで引き抜きじゃないなら何事だい?」


「実は王都ギルドに問題が出てきてな」


と、アーバスはリリファスと同じ説明をエリースにも行う。エリースはアーバスの説明を静かに頷きながら全て聞き終えると


「で、やらかしたのは政治組の誰だい?」


とドスの効いた声でアーバスを問いただす。そりゃ大事に育てた弟子絡みなんだからそりゃ怒るよな。


「そこは調査中だ。ただ、ギルドがほぼ黒なのは確定している」


「そうかい、そいつは八つ裂きにするから誰かわかったら教えてね」


「わかったわかった。そして本題だ」


「黒幕を炙り出す作戦かい?」


「そんなのあったら苦労しないんだがね」


エリースの気持ちはわからなくはないが、話が進まないから先走るのはやめてくれ


「じゃあなんだい?」


「このまま居たらサーラ達に問題が起こるかもしれないから避難の意味を込めてギルドを作ろうと思ってな」


「アーバスがかい?それはまた大胆なことをするね。リリファス様には許可を取ったのかい?」


「さっき許可が降りた。近日中に実行する予定だ」


「つまり僕への連絡の理由はサーラをギルドへ移籍する為の挨拶かい」


「そういうことだ」


やっと話が元に戻ったな。後はエリースが許可を出してくれば実行できるな。土地と人材はルーファに言えばすぐに用意してくれるだろうしな。


「願ったり叶ったりだね。師匠、サーラをよろしく頼むよ」


「ありがとうエリース」


「後はこんなことを言うのはアレだけど、出来る事ならサーラに魔法を教えてくれないか?学園に入ってしまってから僕からサーラへ教える時間がめっきり減ったからね」


「そんなにか?まぁエリースがいいなら遠慮なく教えるが」


今の状態でもそこそこ教えているとは思うが、エリースからの許可も出たし本格的に教えてもいいだろう。


「僕は補助魔法には自信あるけど攻撃魔法は得意ではないからね。その点師匠はどっちもできるから適任だね」


「だからいって俺の補助がいるような依頼は振るなよ」

 

「それはわかっているつもりだよ。依頼もこれまでくらいの難易度しか出さないつもりだよ」


本当にわかっているのかわからないが、エリースはそう答えた。そう言っておいて無茶な難易度を出したりしてくるから油断できなんだよな


「そういう訳だから窓口が出来たらまた連絡するわ」


「わかったよ。にしてもギルドが不正ねぇ」


「ギルドは普段使わないから知らなかったしな」


「確かに下っ端の時はしょっちゅうギルドは使っていたけど、13聖になってから使った覚えがないや」


「ある意味盲点だったな」

 

13聖クラスになるとリリファスからの直接依頼なのでギルドではなく通信になるせいでギルドに行くことは無くなるし、メルファスの下っ端や普通の冒険者だとそもそもモンスターのレートを知らないので差額を着服しやすいと。相当考えられてるな、計画的にも程があるだろ


「しかも、黒幕が出てきてないのが余計にたちが悪いね」


「そうだな。モンスターの素材にギルドの取り分はなかったはずだしな」


ギルドの運営はクエストの依頼料であり、クエストの数をこなせばギルドが儲かるという仕組みになっている。モンスターの買い取りは行ってはいるが、取っているのは商会への手数料だけであり、そこにギルドの取り分は発生しないのだ。


「ちなみにどれくらい引かれてたんだい?」


「確認したら最低ランクの買い取り金額から3割以上は引かれてたな」


「それは一大事だね。確か手数料は1割のはずだよ」


買い取りの際の手数料は素材の金額から1割までと決まっているのだ。これは冒険者達が損しない為と大商会と他の商会との差がないようにという意味もある。

ベースの買い取り金額に差があるかもしれないが、それでも販売価格はどこもそこまで変わらないはずだ。つまり意図的に仕入れ値を低くしているかギルドが抜いているかとのどちらかになる。


「まぁ、黒幕が出てくるまでの繋ぎの予定だがよろしく頼むわ」


「こちらこそ。サーラを頼むよ」


そういうとエリースは満足した様子で通信を切る。


「あら、アーバス様戻っていたのですね」


「ルーファか。丁度いいところに来たな」


リビングのドアが開いたと思ったらルーファが来た所だった。まだ呼んでないんだがどうしたんだろう。


「ルーファ、何かあったのか?」


「?ここはアーバス様の拠点でもありますが、私の自宅でもありますからね。帰ってくるのは当然だと思いますが」


「そうだったのか。むしろ良いのかよ」


どうやらこの拠点はルーファの自宅でもあるらしい。鍵の掛かっている部屋が何箇所かあったのでそこがルーファの部屋なのだろうが、ルーファが帰ってくるところを見るのは初めてだぞ


「私は人外ですからね。睡眠はたまにで大丈夫なのですよ。ここに帰ってくるのだって2カ月振りです」


「そんなんで大丈夫なのか?無理はするなよ」


ルーファは普段は人型で生活しているが、本来は別の形だ。最初の頃なんて人型を維持するだけでも相当苦労してたのだから人型で2カ月は相当苦労を掛けてそうだ。


「無理はしてませんよ。人型が馴染んでからは日に日に負担が減っていますからね。それで本題を聞いても?」


「そうだった」


アーバスはルーファにギルドを設立する経緯を伝える。ルーファはそれをサラサラとメモを取ると


「なる程。それだとある程度セキュリティのある場所じゃないと駄目そうですね。アーバス様が問題ないのであれば商会本部の部屋の1つを割り当てましょうか?」


「いいのか?問題ないとはいえ外部からの人物が入ると思うのだが」


「そこはセキュリティチェック用の魔道具を使えば問題ないでしょう。受付も商会本部の事務員にやらせれば問題ないでしょう」


「事務員の負担は大丈夫なのかそれ?」


「窓口と比べたら事務はそこまで多くないですからね。それにメルファスからの指名依頼以外は商会の素材集めをしてもらえたらこちらとしても損がないですからね」


「なる程な。それならいいか」


商会本部を使用するのは今後更に拡大した時に困るかもしれないが、一時しのぎで使うには丁度いいか。人が増えるようならどこか場所を借りればいいしな。


「ルーファがいいならそれで頼む。世話をかけるな」


「いえ、いつも色々と助かっていますのでそのお返してす」


これでギルドは始動できそうだな。アーバスは安心すると自室に戻りゆっくりと寝るのだった。

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