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64話 攻略者は少ないのか

「入るぞ」


あの後、宝箱を開けて一通り騒いで解散した後、アーバスはいつも通り校長室を訪れるとソファーに腰掛ける。


「まずはレベル9の攻略おめでとうございます」


「まだ何も言ってないんだが?」


向かいに座ったシエスがそんなことを言ってくる。確かに順調にいったら今日はレベル9の攻略日ではあるのだが、クリア前提なのはどうかと思うぞ


「アーバスのことだから攻略して当然ですよ」


「俺が攻略に加担している訳ではないんだが…」


俺はサポートしているだけだからな。攻略のメインはアミールとリンウェルに任せているのでタイムアップまで十分考えられると思うんだが


「それでもですよ。全滅しそうになったらサポートするでしょ」


「それはするな」


「だからですよ」


どうやらそこまで読まれていたらしい。ルートも最短ルートを通っているのも伝えているので総合的に考えるとそうなってしまうのか


「パーティーメンバーも1年生の中では優秀すぎますからね。多少のことでは詰むことはないでしょう」


「そりゃ1年の中では優秀かもしれんが、このまま順当にいっても詰む可能性が高いぞ」


なんせレベル9でスキル持ちのハイオークだからな。ノーマルは100レベルあるはずなのに序盤でこんな強いモンスターが出て来ていいのかとは思うが


「何処かで躓くことはあるでしょうが、それはもっと先になると思いますよ。そうですね、今の状態でも気を抜かなければ30までは大丈夫でしょう」


「それは成長も入れてか?」


「そうです。最短ルートって案外戦闘数が多いですからね」 


毎回思うのだが、最短ルートを通ろうとすると実は近い代わりにそこそこの戦闘数をこなす必要があるのだ。最小戦闘数のルートもあるにはあるのだが、遠回りになってしまうのと、前衛がアミールとリンウェルというレベルの高い2人がいるのもあって最短ルートを突っ切った方が結果に遠回りするよりも早かったりするのだ。


「彷徨って探索する方が成長するとはおもうんだがねぇ」


「その代わりにクリアが遅くなりますからね。低レベルダンジョンだと彷徨っても魔力はそこまで多くないですよ」


まだ、入ダンレベルを上げるほうが結果的に成長が早いですよ。とシエスは続けた。レベル3〜5を飛ばしたとはいえ、レベル6からは明らかにモンスターは強くなったし、貰える魔力も増えているからな。下手に低レベルのダンジョンを探索するよりかはレベルを飛ばした方が結果的には良かったな


「そういえばレベル9のクリア者って学園でどれくらいなんだ?」


シエスがおめでとうというくらいだから相当数が少ないのだろうと想像がつく。最上級生のSクラスが複数パーティーくらいが妥当なところかな?と思っているのだが、シエスから返ってきた答えは意外なものだった。


「最上級生の4年生のSクラスは結構な数がクリアしていますが、2年生だとまだ誰もいないですね」


「結構バラつきがあるのだな」


「これでも普通ですよ。1年生のこの時期でレベル9クリアは歴代最速ですね」


どうやら最上級生でSクラスは所属なら攻略できて当たり前らしいが、2年生だとこれからレベル9の学生が出てくるらしく、2年生でもこの時期のクリアパーティーが出るのは相当珍しいそうだ。


「余談ですけど、今1番進んでいるパーティーでレベル25ですね」


「意外と進んでいるな。もうちょっと遅いのかと思ったぜ」


「これでも進んでいる方なのですよ。レベル20も攻略出来ずに卒業なんて良くあることですよ」


「そうなのか」


レベル25は結構進んでいる方らしい。1年とはいえ、Bランクのアミールでレベル9のボスに手こずるくらいなのでレベル20のボスは強敵なのだろうな。


「それと、聞きたいことがあるんだがいいか?」 


「どうしましたか?」


「イレギュラーモンスターって毎回出るものなのか?」


レベル6の攻略からずっと思っていたのだが、イレギュラーモンスターがここまで連続してエンカウントしているのだ。イレギュラーというには出会う確率が高すぎるのだと思うのだが


「毎回は聞いたことがありませんね。もしかして出たのですか?」


「あぁ、今回はヒュドラだったな。あんなのアミール達でも速攻で全滅するレベルだぞ」


イレギュラーモンスターは通常のレベルよりも遥かに高いモンスターがエンカウントするのだが、こんなモンスターが毎回遭遇するようだったらダンジョン攻略は学生だも非常に難しいものがあるぞ


「これはあくまでも推測だけどいいですか?」


「あぁ」


「もしかして私達が気付いていないだけで、毎回イレギュラーモンスターは発生しているんじゃありませんか?」


「それは…………あり得るな」


そういえば普通の学生だと1日数層が限界だったはず、ということは日にちを跨いで攻略すればイレギュラーモンスターを遭遇せずに攻略するとは可能だな。


「それだとなんで報告が少ないんだ?」


ただ、それだと一定確率で遭遇するはずなのでここまで遭遇報告が少ないのは何故なのだろうか?遭遇を故意に隠すとは思わないしな。もしかして豪運で避けれている?そんなことを考えているとシエスが


「それはまずBクラス以下になるとレベル6以上のダンジョンで詰まって卒業する人が多いのもあると思います」


「レベル6以上?何でだ?」


何故レベル6以上の攻略状況を今ここで話すのだろうか。イレギュラーモンスターなのだからどこのダンジョンにも存在しているはずだしな。あまり理解していないアーバスにシエスはこう続ける。


「イレギュラーモンスターはレベル6以上でしか報告されていないのですよ。なのでレベル5以下のダンジョンにはイレギュラーモンスターは出ないと思っていいですね」


「そんな訳無いだろ。レベル5と6になんの差が…」


あるだよと言いかけたところでアーバスは気づいたのだ。レベルが6になるとダンジョンのモンスターが強くなるのだ。この為にレベル5までのダンジョンは初心者ダンジョンと呼ばれているのだ。


「そういうことか」


つまり初心者ダンジョンであるレベル5のダンジョンまではそもそもイレギュラーモンスターは出てくることがないのでレベル6にたどり着けなかったBクラス以下のパーティーは学園生活の間はイレギュラーモンスターを見ることがないということになる。


「それに負けたモンスターがイレギュラーモンスターなのを理解できなかったり、気づかなかったりする生徒も少なくはないと思いますよ」


「それは確かにあり得る話しだな」


モンスターの種類は同ランクのモンスターであっても紛らわしいモンスターが沢山いるからな。エンカウントしたところだとレインボーゴーレムとスーパーレインボーゴーレムも混ざっている属性の数以外は普通のレインボーゴーレムと見た目はそこまで変わらないしな。


「それにしてもイレギュラーモンスターが毎回ポップしているのは不味いんじゃないか?」


「それはそうですが対策出来ないからどうしようもないですね。負けたところで死ぬわけではないのが救いですが」


「それもそうか」


ダンジョンは過去に自然に発生したものであり、発生した経緯は不明だ。今は管理者が管理しているのだが、それは発見したものだけであり、発見されていないものに関してはまだ手つかずになっているそうだ。

ダンジョンは放置していてもモンスターが溢れ出したりとかはしないそうなので、放置していて問題ないのが唯一の救いだな。


「これが事実だったとしたら流石に発表できないな」


「そうね。今よりも酷くなるでしょうね」


探索者はHPがゼロになっても死なないので無謀な突撃をしている奴が多いらしいが、これが公になってしまうと通常のモンスターをイレギュラーモンスターだと勘違いして突撃する奴が更に増えるだろうな。なのでこれ以上詮索することはせず、推測に留めておくのが最善だろう。


「そうなるとエクストリームもあり得るな。今は順調だけど、イレギュラーモンスターの対策を考えないといけないな」

 

「そうですね。ちなみに予想はついているのですか?」


「多分だけどスライムキングだな」


「…」


予想したモンスターにシエスは絶句する。恐らく、強さが想像出来ないのだろう。それにしてもエクストリームのスライムキングってどれだけ強いのだろうな。気づかずに1撃で退場したから強さがわからないんだよなぁ  


「勝てるのですか?」


「いや?少なくとも普通に張っていた護身用の障壁は破壊されて退場したな」


「アーバスの護身用が破壊されるなんてどんな破壊力なのですか…」


アーバスの護身用の障壁は非常に強固で、ないとは思うが、リーゼロッテやルーファの不意の一撃くらいならビクともしないくらいの強度がある。シエスは防御特化の魔法師であるが、この障壁を補助なしで展開して維持するのは非常に難しいだろう。

それを突破しての即死攻撃だと、更に護身用のアイテムが起動するのだが、ダンジョンでは死なない為か起動しなかったみたいだ。


「だから耐えれるようにより強固な障壁を展開する必要があるんだよな。何か良い方法あったりしないか?」


「そんなものないですね。遮光で何とかならなかったのですか?」


「遮光は多分意味ないな。光は見えなかったしな」


遮光は光にもダメージのある変異種のスライムには有効だが、攻撃される前に光なんて見えなかったんだよなぁ。障壁の割れ方的にも正面からだろうから、遮光しても意味がないだろう。


「なら強靭化や衝撃緩和を使うしかないですね。」


「やっぱりそれしかないか…」


「障壁って意外と進化していませんからね」


強靭化は障壁の強度を上げる魔法で障壁緩和は攻撃によって障壁にダメージが入るときに障壁へのダメージを軽減する魔法である。いずれもアーバスは使うことは可能だか、魔力の消耗が他の魔法よりも大きいのでアーバスは必要な場面以外では障壁に組み込んでいない魔法なのだ。


「一度に使えて魔力消耗を抑えれるオリジナル魔法って作れないかな」


「アーバスの現状によるけど障壁を突き詰めればいけそうですけどね?」


「そんな簡単に作れたらここまで苦労してないけどな」


作れたらシエスに相談してないしな。それからは時間ギリギリまでシエスと障壁のことについて話しをするのであった。    



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