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51話ルディック村

「リーゼロッテ只今戻りました」


「お疲れ様。早かったな」


リーゼロッテがアーバス姿を見ると挨拶をしてくる。アーバスはレジェンドレッドドラゴンだから戦闘はそこまで苦戦しないとはいえ、移動距離が結構あるはずだからもう1日くらいはかかるものかと思っていたが早かったな。


「会合がありましたからね。それ迄には間に合わせるつもりでしたので予定通りです」


「だからといって無理はするなよ」


「それはわかっています」


依頼の関係で会合に間に合わないと思っていたが、間に合わせて来るとはな。失敗はしないとは思うが、万が一なんて考えたくないからな。だからそこまで無理をしなくてもいいのにとアーバスは思ってしまう。


「ところで、横に居る子は誰なんだ?」


来た時からリーゼロッテの横に1人の男の子が居るのだが、記憶が正しければ孤児院に居た記憶がないんだよな。1か月程の顔を出していないのでその間に増えた孤児なのだろうか?


「この子ですか?ルー、自己紹介を」


「は、はい。レジェンドレッドドラゴンのルーです。よろしくお願いします。」


「…………」


討伐対象のレジェンドレッドドラゴンか。何でこんなところにいるんだよ。良く見たら腕にテイムの腕輪があるってことはテイムしてきたのか


「リーゼロッテ、リリファスには?」


「報告しましたが、依頼は脅威の排除でしたので問題ないとのことです」


確かにテイムしてしまえば脅威の排除と変わりないのは確かだな。たまにテイムしても脅威が排除されてないなと喚く奴もいるから困っているんだけどな。リーゼロッテのことだから有益と判断してテイムしているだろうからその辺りは心配ないけど。


「わかった。この子はどうするつもりだ?」


「バルファーティアの元に置くつもりです。主に物資の輸送がメインとなる予定です」


「つまりテイム者はバルファーティアか…」


「そうですね」


バルファーティアはトゥールの中では珍しく転移の魔法を使えないから長距離の移動がある時は転移できる人間を用意していたが、レジェンドレッドドラゴンがその代わりになるということになるのかな?というかバルファーティアがモンスターをテイムするとかどういう風の吹き回しだよ。あいつテイマーのことをモンスターの力を借りなければ戦えない雑魚とか言ってたじゃん


「そういうことか。なら良いだろう。ルー、バルファーティアに協力してやってくれ」


「わ、わかりました。精一杯頑張ります」


なんかレジェンドレッドドラゴンの割には臆病な個体だな。普通ならもっと傲慢だし、テイムしたところで無理やり命令しないと言うことを聞かない個体がが殆どなのにな。


「良かったてすねルー」


「はい」


いい返事だな。バルファーティアを気に入るなんて珍しいこともあるんだな。


「それではアーバス様、私はルーをルディック村へと連れていきますので失礼します」


「ちょっと待て、俺も今から向かうつもりだから一緒に行くよ」


今日は会合までは何も予定がないからな。孤児院とルディック村は顔を出す予定だったので丁度いい。



「ここからルディック村ですか?」


「そうよルー。今日からここで暮らすのよ」


アーバス達はリーゼロッテの転移でルディック村へと移動する。本当はアーバスが転移を使おうとしたのだが、リーゼロッテに止められたのだ。魔力消費なんて大したことないのだから誰が使ったって良いんだけどな。

ルディック村はセーティス王国のある大陸の1番北に位置する場所にある。最果てのせいなのか周囲は森や海に囲まれており、周りに脅威となる国も存在しない地域にひっそりと存在している。


「ルー戻ってきたか、戻ってきたということは許可が降りたみたいだな」


「そうね。特に何も言われなかったわ」


「アーバスのことだから大丈夫だと思ってたけどよぉ。やっぱり心配したぜ」


「バルファーティア、人を何だと思っている」


「これは主じゃねぇか。さっきのは冗談だぜ冗談」


人を殺戮マシーンか何だと思ってないか?それならトゥールなんてものをわざわざ作らないからな。


「それで、この村へ何のようだ?特に来る理由は何もないとは思うが」


「今日は夜まで何もないからな。久しぶりにな」


「主が予定なしと珍しいじゃねぇか。報告がてら村を案内するからちょっと待ってくれ」


バルファーティアはそう言うとルーを連れて村の中へと戻っていった。色々と準備をするみたいだが、ありのままでいいんだけどな。


「アーバス様のことだから今日はギリギリまでダンジョンに行っているのかと思いました」


「本当はそのつもりだったけど、パーティーメンバーの方に予定が入ったみたいでな。予定が無くなったんだ」


「それは仕方ないですね。でも、エクストリームの方へは行けたんじゃないですか?」


「それも考えたんだが、休むのもありかと思ってな」


1日中エクストリームでも良かったんだが、朝から夕方までとなると結構キツイからな。それにパーティーがあるのに朝からソロでダンジョンへ行ったとなると怪しまれるかもしれないからな。


「ちなみにこの後のご予定は?」


「この後はボナークのところに行ってから孤児院に向かうつもりだ」


ボナークとはアーバスの武器とかを作っている鍛冶師で、リンウェルの武器の修復の為に行くつもりだ。孤児院はキリコに現状と財務状況を聞いておきたいからな。会合でも上がると思うが直に見ておくのもありだろう。


「待たせたな。準備出来たからついて来い」


そんな話をしていたらバルファーティアが戻って来た。もう準備が出来たようで、アーバスとリーゼロッテはバルファーティアの後についていく。


「まず、ここが畑だな。今年は野菜の生育が悪くてよぉ。収穫が最低2週間は遅れそうだ」


まずは案内されたのは畑でこの村での主な産業だな。ここで生産された作物の大半はルーファ商会へ出荷されている。秘境と言われるくらいな場所にあるせいなのか、ここで作られた作物の品質は非常に良く、ブランド物として各地で売られていたりする。


「2週間か。それなら誤差の範囲内じゃないのか?」


「アーバス様、そうでも無いのですよ」


「生育が遅れると他の野菜にも影響が出でなぁ。順番に遅れていくと最終的に野菜が1種類作るのを諦めなきゃあ行けなくなることもある」


マジか、それは一大事だな。野菜が出荷出来ないとなると市場から得られる資金が少なるからな。今のところは黒字で伸びているが、下手すると赤字になりかねない


「つまり魔道具が必要か…」


「生憎ここにあるのは全て20%の最高級品でなぁ。これ以上となると生産で作らなきゃぁ行けなくる」


流石にSランク素材を使って農業スキルはお前らからしたら嫌だろぅ。とバルファーティアは付け加えた。確かに生産で農業スキルは作れなくは無いが、勿体なく感じるな。   


「流石に農業スキルを生産するくらいなら攻撃系統の武器を作った方がいいな」


「だろぅ。すまねぇがこれ以上は見込めなねぇんだ」


農業系統のスキルは全て農業というスキルがあれば何とでもなるからな。逆にそれがなければ補正がなく、状態や生育にも影響が出てしまうのだ。


「そういえばあったな」


昨日ダンジョン攻略中にそいうえば農業スキルのついた指輪をドロップしていたな。サーラに障壁のことを教えていたばっかりにすっかり忘れてたわ。

アーバスはアイテムボックスから農業スキルのついた指輪をバルファーティアに渡す。


「これで何とかなると思う。暫くこれで様子を見てくれ」


「これって主よぉ。これ以上上回る性能のものがある訳…」


上がないと思っていたのであろう。アーバスの渡した指輪の性能を見てバルファーティアが絶句する。


「アーバス様見ても」


「あぁ」


リーゼロッテも指輪の性能を確認すると、何かを考えごとをした後。


「これは素晴らしいですね。エクストリーム産ですか?」


「あぁ。まさか役に立つとはな」


ダンジョン攻略だと攻撃スキルくらいにしか興味がないからな。それ以外のスキルは全てルーファによって割り振りされているから何処に需要があるのかなんてアーバスは知らないからな。


「エクストリーム産って何だぁ。もしかしてこれダンジョン産なのか?」


「そうだ。ハードの1つ上と言ったら理解できるか?」


「ハードの1つ上だぁ?そんなもの何で黙っていたんだぁ。説明してもらうおうか?」


バルファーティアがエクストリームを隠していたと思ってお怒りのようだった。隠してはいないんだけどな。発見したのも直近だし。


「バルファーティア、発見されたのは直近よ。詳しい話は本日の会合でする内容よ」


「リーゼロッテは知っているんじゃねぇか。まさかお前も行ったのか?」


「そんな訳ないでしょ。現状はアーバス様のみしか入れないのよ。しかも今は魔法学園のダンジョンに入ダンしているから私は部外者よ」


魔法学園のダンジョンは外部の人間とダンジョン探索は出来ないからな。シエスの許可した人間だと入ダンできるとは思うが、その確率は絶望的だろう。


「現状は主だけか。良いだろう。条件とやらは今日の会合で聞いてやるからしっかりと説明の準備しておくんだな」


バルファーティアはここでの質問は避けることにしたらしい。それは助かるが、会合の時が逆に怖いな。


「主の言う通り、こいつを装備して様子を見ていくことにするぜぇ。期待しておくんだな」  


バルファーティアは素直に右指に指輪をつけてくれた。実験も伴っているのだが、状況が好転するといいんだけどな。


「ところでそれ以外に困り事は何かあるか?」 


「そうだなぁ。移動問題はルーで解決出来たし、週に1回ルーファ商会も来てくれるからそこまで困ってることはねぇな」


今までは非常には通信を使うしか無かったし非常時の物資も転移できる誰かがやっていたからな。ここからルーファ商会がある街まではバルファーティアでも片道で半日はかかるだろう。

それに対してルーの移動だと、2時間もかからずに到着できるらしい。レジェンドレッドドラゴンってやっぱり凄いんだな。


「そうか。問題ないならボナークのところに行ってくるかな」


「私もついていきます」


「おぅ行ってきな。ここに主が居てたら村の奴らが萎縮しちまうからなぁ」


「神格化させたのは誰だよ」


バルファーティアがアーバスを神格化してしまったせいで、今では村を歩くだけで土下座とお祈りをされてしまうようになっている。神と呼ばれる要素はないんだが、バルファーティアの奴やりすぎたろ。

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