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481話 盗聴と作戦会議

「で、どんな作戦になったんや?」


アリーナに到着して控え室に入った瞬間にリンウェルが聞いてくる。昨日に作戦会議はしているが、アーバスの朝の発言を聞いて作戦が変更になったと思ったんだろう。


「その前にちょっといいか?」


とアーバスはリンウェルの話をスルーすると控え室に置かれた鉢植えへと一目散に向かうと鉢植えの後ろへと手を回す。


「アーバス、何してるんや?」


と意味不明なアーバスの行動にリンウェル首を傾げるが、アーバスはそれを無視して何かを掴むとそのままパキリと何かを潰す。


「もしかして盗聴器ですか?」


とサーラは初日のことを思い出しながら聞いてくる。アーバスが初日に潰した物よりは小型だが、ここに仕掛けるのは盗聴器しかないだろう。


「そうだ。しかも2つな」


とアーバスは露骨にイラッとした表情で答えながら机の下にあった盗聴器も取り出してアミール達の目の前で握り潰す。初日に速攻で潰したのでもう仕掛けて来ないだろうと思っていたがまさかこんな大事な日に仕掛けてくるとはな。


「アーバス、盗聴器って誰が仕掛けたの?」


「さあな。ただ、少なくともセーティスを警戒している連中だろうな」


盗聴器の件は色々と調査をしたけれど結論としてはどの組織が仕掛けたか不明となっているからな。1度目の時はアーバス達がヌーリスへと来る前だったので誰の仕業かまで完全にわからなかったが、2度目の場合は既に誰が仕掛けたのかまでの詳細は判明したからな。ただ、背後関係の調査が終わっていないので現状はどの組織か仕掛けたかまでは不明となっている。

厳密に言えばサード・オプティマスの可能性が非常に高いけどそれを証明するものはないというのが正しいのだれけどな。


「私達に仕掛けるってことはファルフォスじゃないの?」


「俺達が狙わているのならそうだけどこの控え室は他の学園も使用するからな。対戦相手のファルフォス以外の可能性も十分にあり得るぞ」


「ここは団体戦の控え室でもあるから当然やろうな」


午前中は連続で何試合かすることもあってか控え室は1つではなく複数存在しているのである。その中でも今日のアーバス達のパーティーに割り振られた部屋は午後の団体戦の控え室にも使用される部屋であったのだ。午後の試合はグリファーズと現在新人戦6位の順位であるクワナペの試合でこの控え室がグリファーズの控え室として使われるので、対戦相手のクワナペ側が仕掛けたという可能性もあるけどな。アーバスとしては調査結果が出るまでは何処の学園の仕業かまで断言しないようにしていたのであった。


「とりあえず安全が確保出来たし作戦会議を始めようか」


「そうだったわね。それでどうするつもりなのよ?」


アーバスは索敵魔法で盗聴器の類が無いことを確認すると作戦会議(本題)へと入る。アミールは作戦が変更になることを思い出すとどう変更になるのかを聞いてくる。事前の作戦と違うことになるのだから大事そうに聞くのは当然か。


「まず索敵や妨害といった部分だが、これは今までの試合と同様で試合開始直後から行う」


「これまで通りやな。やはり妨害は有効なんか?」


「それは実際の相手の動きを見てみないとわからないが有効な可能性が高いだろう」


アーバスは事前にファルフォスとツオークの団体戦とパーティー戦の新人戦、最上位戦の全試合を確認したのだが、索敵や通信の妨害をしていたり、妨害を無効化した痕跡が無かったのだ。そもそも使える人間が非常に少ないので確認出来た試合数が少なすぎるのだけれどな。なので実際に妨害された時の行動は見てみないと指示を出しにくいのではあるが、今のところは有効だろうという仮定で進めて問題無さそうだろう。


「アーバス、妨害が有効の場合ってやっぱり初手は奇襲でいいのかしら?」


「そのつもりだ。油断してがら空きの相手に奇襲は基本戦術だしな」


妨害が有効ということは相手視点からすると何処からでも攻撃される可能性があってずっと警戒し続けないといけない状態になるので妨害し得というのがアーバスの考えであった。


「わかったわ」


「ポジションはこっちで指示を出すからアミールは魔道具の指示通りに動いてくれ」


アミールは奇襲ができるものの、ポジション取りやタイミングというのを見極めるのが苦手だからな。だからアミールにはアーバスがポジション取りやタイミングを魔道具経由で指示を出しているのであった。


「アーバス、ウチも前衛やんな?」


「申し訳ないないがリンウェルは実力が足りないから本陣で待機だ」


実力が足りないというのは語弊のある発言であるが、少なくともアミールの実力でも勝てるかどうか危ういのにそれ以下の実力であるリンウェルは足手まといと言わんばかりにアーバスは本陣での待機を命じたのであった。


「何でや。前衛に出させろや」


「明日の試合ならいいんだけどな」


明日の試合はクワナペとの試合なのでリンウェルが前衛に出ても問題なく勝てるだろうしな。残りのパーティー戦で厄介なのは明後日のツオーク戦だが、そっちは今日のファルフォスとの試合を見て判断するつもりである。


「言ったな。約束やで」


「あぁ。だから今日は大人しくしてくれ」


何かあった時に2人を同時に守るのは厳しいので、アーバスとしては人数差で不利になるのを承知でアミールに相手の前衛の相手をお願いすることにしたのであった。


「アーバス、私は普通に戦えばいいの?」


「いいぞ。こっちでは特に属性とかは制限するつもりはないから存分に戦ってくれ」


残りの強敵の試合はファルフォスとツオークのみだからな。その2カ国共に闇武器を使用してくるので真正面から戦って勝つには全力で戦わないと厳しいだろう。


「後は注意事項だが、勝てないと判断して時点で撤退してくれ。くれぐれも退場してでも人数を削ったりしようとしないようにな」


「ん?何が言いたいのかはわからないけどわかったわ。無理せず撤退ね」


「頼んだぞ」


普段ならあり得ない注意事項にアミールは疑問符を浮かべながらも了承する。なんせ相手が何処まで不正してくるかわからない以上は勝つことよりも被弾を一切せずに試合を終えるのが重要だからな。


「アーバス、私はどうすればいいのですか?」


「サーラはアミールに全力でバフと障壁と回復を付与してやってくれ。サーラ達の障壁は俺が受け持つ」


事の大きさに気付いたのかサーラが自身の役割を聞いてきたのでアーバスは先に答えておく。なんせ今日の試合は温存が出来ないような試合なのでサーラのバフや障壁が重要となってくるからな。回復に関しては障壁があるので不要だとは思うが、相手が何をしてくるかわからない以上は回復を付与しておいて損はないだろう。


「アーバス、そんなに強敵なんか?」


「見当違いの可能性もあるが、ファルフォスとツオークは優勝候補の対抗馬筆頭だ。なら最大限の評価と対策をする必要があるのじゃないか?」


「それもそうやな」


アーバスがファルフォスを最大限に警戒している理由は闇武器をあるがやはりずっと優勝候補いう実績が理由なのである。なので相手の傾向や対策というのは当然しているし、研究もしているのであった。


「何か質問はないか?以上で作戦会議を終わる。これを勝つと新人戦の優勝がとても近くなるから絶対に勝つぞ」


とアーバスは気合いを入れると試合に向けて準備を始めるのであった。

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