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44話 ボス戦

「余裕を持ってここまで辿り着けたな」


「そうね。倒して即帰還は避けられそうね」


大広間に着いて時間を確認するとタイムリミットまで後30分あり、これまで通りだとボス戦は時間に余裕を持って倒せそうだった。


「30分で余裕って普通はそこまで余裕はないで」


「他は知らないけどこのメンバーなら20分あれば余裕よ」


アミールがそう言っているが実際そのくらいあれば余裕だしな。今のところ1番手こずったのは道中のスライムキングだけであるが、それもヘルファイアによる消滅待ちだったので苦戦したモンスターは今のところは出てきていないのだ。


「レベル8のボスって何でしょうね」


「どうせ倒すから一緒よ」


「お前はもうちょい見極めてから戦え」


今はボスの確認をしてから戦闘しているが、それまではモンスターが出たら直ぐに突撃してたからな。そんなんでよくBランクまで行けたな。よっぽど受付が優秀だったんだろう。


「さて。そろそろボスへ行きたいがまだの休憩したい人はいるか?」


「私は大丈夫よ」


「私もです」


「ウチもいけるで」


「じゃあ、いきますか」 


全員大丈夫とのことでゆっくりと立ち上がり、ボスの部屋へと移動していく。


「オォォォォォォォ」


「ハイオーク…」


「マジかぁ。これはどっちの方だ?」


ボス部屋でエンカウントしたのはハイオークだった。レベル6へとショートカットする際に戦ったモンスターであり、その時は勝ったモンスターだ。ただ、このハイオークがレベル8の最奥モンスターなのかレアモンスターなのかが微妙なところだな。


「アミール。いけるか?」


「行けるも何もやるしかないでしょう」


「そうだけどな。サーラ、バフを頼む」


「わかりました。『スペシャルアップ』『オートキュア』」


サーラはアミールにバフをかけるとハイオークと戦闘を開始する。

アミールは氷刀に氷属性を付与すると胴体に向かって切りつけようとするが、棍棒に防がれてしまう。アミールは手を休めることはなく、手数にてハイオークを攻撃していく。

ハイオークはアミールの猛攻に防御をすることしか出来ずにいるが、アミールもハイオークに直撃を与えることが出来ないでいた。


「厄介ね。これでもくらいなさい」


アミールは地面に氷を展開させてハイオークの動きを封じ込めようとしたが、それくらいでハイオークが止まることはなく、足先が少し凍っただけで身動きを封じ込めることは叶わなかった。

ハイオークは反撃とばかりに棍棒でアミールを攻撃しようとするが、アミールは展開した氷を滑りハイオークの真横を通って背後へと回りこみ、がら空きの背中を一刀両断する。


「オおおおお」


ハイオークに初めてダメージらしい攻撃が入る、ハイオークは痛みに悶える。アミールは追撃とばかりに更に追加で背中を斬りつけていく。


「なぁ、サーラ」


「なんでしょう」


「アミールっていっつもこんな戦い方なのか?」


「そうですね。大体はこういう戦闘が多いですね」


「そうか」


アーバスは端的に返すと再度戦闘へと視線を戻した。ただ、さっきまでの自然体な視線とは違って真剣に、何かの発動タイミングを伺うように戦闘を凝視している。

戦闘はハイオークがダウンから復帰してアミールと戦っているが、先程よりも動きが落ちており、アミールはここぞとばかりに連撃を入れていく。

ハイオークは攻撃を防ごうとするが、動きが落ちた状態では完璧に防ぐことは出来ず、ある程度の被弾覚悟でアミールの攻撃を防いでいく。


「オォォォォォ」


ハイオークはダメージ覚悟なのか攻撃を被弾しながらアミールへ棍棒を振りかぶる。


「それは甘いわね」


アミールは棍棒の軌道から外れるように横にステップして攻撃を躱すと攻撃に転じる為に足と剣に力を込める。が、


「えっ」


ハイオークは先程みたいに棍棒を地面に叩きつけるのではなく、そのまま1回転して再度棍棒でアミールを攻撃してきたのである。


(避けれない)


アミールは既に1歩目を踏み出している状態であり、2歩目でステップをして躱そうとしたとしてもその頃には棍棒が間近に迫っているので避けるのは至難の技だろう。

アミールは避けれないのを理解しつつもステップしようとしたその時だった。


ガキィィィィン


「オォォォ」


いきなり展開された障壁によりハイオークは攻撃を防がれ、その衝撃で大きくノックバックしてしまいハイオークに致命的な隙が生まれる。

アミールはその隙を見て回避しようとした足を踏みとどまらせて剣にありったけの魔力を注入して剣を振りかぶる。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ」


アミールはそのまま剣を剣を振り抜くとがら空きの胴体に直撃する。


「オォォォォォォォォ」


ハイオークは膝から崩れ落ちるとそのまま光となって消えていった。


(何とか障壁が間に合ったな)


最初のハイオーク戦でもそうだったが、アミールはその瞬発力の高さから被弾ギリギリの戦い方をしており、実際今も障壁を張らなかったら直撃していただろう。ダメージはどのくらいかはわからないが退場していても不思議じゃないくらいだ。


(もうちょっと安全に戦えないとAランク以上にはなれないだろうな)


恐らくサーラの回復力の高さもあるから多少の被弾は受け入れて回復しながら戦っているようであるが、Aランク以上のモンスターには被弾すれば即死するモンスターもいるので立ち回りも考えるとランクアップは当分先だろうな。


「クリアですね」


「あぁ、そうだな」


「なんやアーバス。反応が薄いな」


「そうか?」


リンウェルは実力不足なので今回はアーバスとサーラのところで待機してもらった形だ。実力が足りてればよかったのだが、仕方ないな。


「勝ったわよ」


「おめでとうございます」


「ホンマおめでとうやで」


サーラとリンウェルは帰ってきたアミールに称賛を送る。レベル8攻略は学園でも最上級生で数組居たらいい方だからな。この時期での攻略は初めてだろうし快挙に等しいことではある。


「アミール。最後避けた後にモンスターの行動を確認しなかっだろ」


「やっぱりバレてた?」


アミールはバレてないと思っていたのだろうがバレバレだ。回避した瞬間にハイオークの行動を確認せずに魔力を込めてたからな。


「実践なら当たりどころが悪かったら死んでんだぞわかっているのか」


「バックステップは間に合っていたから胴体直撃で吹き飛ばされるだけよ」


「それでも致命傷だぞ。サーラのオートキュアがあるから直ぐに戦線復帰出来ると思うが無ければ死んでたな」


「……」


そこまで言ってやっとアミールが黙る。普段はサーラと一緒のパーティーだからそこまで感じて無かっただろうけど、普通のヒーラーならあのダメージだと戦線復帰は厳しいだろう。


「それにAランク以上のモンスターだと掠っただけで致命傷や即死するモンスターもいるからな。Bランクでそんなんじゃあ本当に死ぬぞ」


それに致命傷からの回復待ちでサーラが襲われる可能性もあるからな。それを考えるとダメージ重視よりかは時間はかかるが安定性重視のほうがパーティーに負担がかからないしな  


「アーバス、それくらいでええんやないか?そろそろ時間やしな」


「もうそんな時間か、それなら宝箱を開けて戻りますか」


本当はもう少し説教をするつもりだったが、時計を確認すると強制帰還まで残り5分を切っていた。アーバス達はドロップをさっさと回収すると、その余韻も束の間に地上へと戻ってきた。


「お疲れ様。今日も何とかクリアすることができたな」


「そうですね。それも後、もう少しですけどね」


レベル10までは15層までなのだが、レベル11からは20層へと増えるのだ。その為、レベル11以降の攻略には最低2日間が必要になってくるのだ。


「明日も何時も通りでいいか?」


「明日はギルドからの指名クエストがありますので申し訳ないですがお休みでもいいですか?」


どうやらサーラとアミールはクエストがあるらしい。リンウェルと2人でも攻略は出来なくはないが、今後のこと考えるとあまり良くはないな


「明日は各自に任せるか。リンウェルもそれでいいか?」


「いいで。明日は戦術の勉強をするわ。シュミレーションボードも手に入ったしな」


「わかった。なら明日は自由行動な」  


明日は会議だけど夜からにしてしまったんだよな。今から時間をずらすにしてもルーファ達の調整が大変になるだけだから昼間は何処かで時間を潰した方が良さそうだな。


「アーバスは明日はどうするんや」

 

「俺は外に出るかな。やることが色々と溜まってるしな」


リンウェルの槍の修復や孤児院の様子とかも見に行きたいしな。それにリーゼロッテに任せていたものの結果を聞きたいしな


「暇なら色々聞こうと思ったが用事があるならええわ」


「すまんな」


どうやら戦術のことについて聞きたいことがあったらしい。正直、1日中戦術のことでもいいんだけどな。本来ならダンジョンに行く予定だったので何処かで時間を作って行く予定だったし。


「ここで解散だな」


「そうね。次は明後日ね」


「それでは失礼しますね。」


「また明後日な」


寮と学舎の分かれ道のところで解散すると校長室へと向かうのだった。

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