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415話 カーン領主戦2

「ほぅ。ここまでついて来るとは思わんかったわい」


「そっちこそな」


先程まではアーバスがカーン領主を攻め立てていたのだが、5分程度攻撃を見たところで剣筋を見切ったのか攻撃速度を上げて反撃に出てきたのである。ただ、アーバスの方も押し切られないようにカーン領主と同じ速度へ攻撃速度を上げることで現状は均衡といった状態を保っていたのである。


「その割には余裕そうよのぅ」


「それはお互い様だろうが」


なんせ攻撃速度が上がったもののアーバスとしてはまだまだ常識的な範囲であり、これくらいであれば災害級の方が攻撃速度が速いだろう。そして、カーン領主の方も全力でく余裕たっぷりの表情をしており、既に何処で更に攻撃速度を上げようかとニヤニヤしながら考えているようであった。

攻撃速度は既にSSランク上位と同じくらいの次元にあるというのに余裕ということは最低限災害級の下位ランクの実力がありそうだな。


(今っ)


アーバスはカーン領主が剣を斬り上げて振り下ろす直前を狙って魔法陣を展開して剣での攻撃をブロックするとがら空きの胴体を狙って銃剣を振り抜く


「いよっと」


カーン領主はブロックされた魔法陣の手に力を入れて身体を浮かせてアーバスの剣をやり過ごすが、アーバスはそれを見越してカーン領主の真上に魔法陣を出現させており、そこから隠密を付与した魔力弾がカーン領主目掛けてアーバスの剣と同時に撃ち込まれていたのであった。

カーン領主はそれを身体を持ち上げてアーバスの剣の軌道から躱したと同時に横へと回避して魔力弾を回避しようとするが、それをも読んだアーバスは魔法陣をカーン領主の方へと傾けると魔力弾は反射するように軌道が変わった上に速度を上げてカーン領主へと襲いかかる。


「ふんっ」


カーン領主は反応して一気に亜音速で加速した魔力弾をジャストのタイミングで剣で合わせると魔力弾はキィンと音を立ててカーン領主の真横を通り過ぎていく。


「危ないぞいっ」


「今ので倒せたと思ったのだけどな」


タイミングまでズラして狙った攻撃は結局失敗に終わってしまう。カーン領主は間一髪で躱したその攻撃に文句を言うが、勝敗のある模擬戦な以上は倒しに掛かるのは当然だろう。完全に態勢を崩してたにも関わらず避けるとはな。


「やはり剣の腕がある魔法師は厄介よのぅ」


「それはどうも」


アーバスはカーン領主の褒め言葉を素直に受け取るが、それよりも集中してカーン領主の挙動を注視する。


「ここまでは使う気はなかったのじゃがのぅ。仕方ないちと本気で戦うかのぅ」


カーン領主はアーバスへ高速で接近しながら持っている剣に属性付与を行うとアーバスへと斬りかかる。カーン領主の剣は属性を付与をしたにも関わらず剣には一切として変化は見られず端から見れば付与した属性を隠密などで隠しているように見えるがアーバスはそれを見て冷や汗を流す。


(無属性!!)


アーバスも使うその属性の属性付与は触れた相手のバフと属性を消してしまうという凶悪の属性である。しかも無属性の属性付与というのは普通の属性付与と違って習得難易度が非常に高いので、魔法機関の最高峰であるメルファス13聖人であっても使えるのはアーバス1人だけなのである。そのような属性を一石の領主が使ってくるとは思ってもいなかったのである。


(それだけは貰うことは出来ないな)


アーバスは無属性を銃剣付与するとカーン領主の攻撃を弾く。無属性への対抗策というのは他にはあるものの、アーバスに取ってはそれよりも無属性を付与する方が手っ取り早かったので無属性でカウンターすることにしたのである。


「ほぅ。まさか属性融合に弾かれるとはのぅ。お主、何をしたんじゃ?」


「言うわけないだろ」


カーン領主からの十数手の攻撃をアーバスは全て銃剣でカウンターしきるとカーン領主は不思議に思いながらアーバスに問いかける。アーバスは無属性以外にも雷、氷属性を属性融合した状態で銃剣に付与していたのである。そのカモフラージュがあったからかカーン領主は無属性を何でカウンターされたのか正確に把握出来なかったである。

アーバスとしては無属性を使えるということは重大な情報となってしまうので当然隠すのだが、カーン領主のことだからある程度の心当たりはついていそうだけどな。


「面白いことを言ってくれるの゛ぅ」


アーバスはカーン領主が話している最中にも関わらず距離を詰めて剣を振るう。カーン領主はいきなりの攻撃に驚きはしたものの、ギリギリで剣を合わせてアーバスの攻撃を受け流す。


「人が話している最中に攻撃とは卑怯じゃろ」


「戦闘中に隙を見せている方が悪いと思うのだけどね」


と文句を言うカーン領主にアーバスは当たり前と言わんばかりに言葉を返す。なんせアーバスはここが好機と捉えたのである。安々とその隙を潰すわけにはいかなかったのである。


「なる程。そういうことか」


アーバスはカーン領主を攻め立てながら1つの確証を持つ。


(やはり系統外か)


アーバスはカーン領主の剣に付着した氷が大きくなっていくのを見てそう結論付けたのである。得意属性は恐らく無属性であり、氷属性などの特殊属性は扱えるか無属性で無効化していたのだろう。

そしてカーン領主は剣についていた氷がある程度大きくなった所で距離を取ったのだが、話している際に剣に付いた氷を火属性で溶かさなかったことでアーバスはカーン領主が火属性系統の魔法を使えないと判断。氷属性の対策をされる前に近接戦で攻め立てたのであった。


「貴様。もしかして気付いたのか!?」


「ある程度はな」


完全に手詰まったカーン領主はアーバスに問うがアーバスは曖昧な返事をするだけであった。なんせ他にも色々と隠していても不思議じゃないしな。


(そろそろかな)


アーバスは更にカーン領主を剣で攻撃することによって徐々に付着した氷を大きくさせて、カーン領主の動きが鈍ったタイミングで更に仕掛ける。アーバスは銃剣の握る手の人差し指をトリガーに掛けるとカーン領主がバックステップで避けるタイミングを狙ってトリガーを引いたのである。


「なぬっ」


アーバスの剣の持つ手は少し可笑しかったもののそういうものだも思っていたカーン領主はアーバスがトリガーを引いた時に初めてそれが銃剣であることを認識したのであった。ただ、剣に付着した氷とアーバスからの連撃を捌くに手一杯であったカーン領主は一旦態勢を立て直す為にバックステップを選択したのだったが、まさかそのタイミングを狙って銃弾が飛んできたせいで完全に反応が遅れてしまう。


(流石に防げなかったか)


アーバスは麻痺で拘束されるカーン領主を見てやれやれといった表情をする。虹属性や契約を指輪を使わずに済んだものの相当ギリギリだったな。使っていた剣が銃剣と気づいていなさそうだったからこの作戦を思いついたのだけどな。もし、銃剣だと気付かれていたらそれそれで違った作戦で戦っていただろうな。


(アミールも来てるし潮時だな)


アーバスはカーン領主が麻痺したことを確認して周囲を確認するとアミールが依頼から帰ってきたらしくサーラの隣で模擬戦を観戦していたのであった。


「属性は対策してなかったようだしこれで勝ちだな」


アーバスは倒れているカーン領主に接近して剣を振るうと一撃で魔道具の効果が発動してカーン領主を控室へと飛ばすのであった。

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