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41話 レインボーゴーレム戦

「お、キレイに分かれてくれたな」


「そうね。これは嬉しいわ」


アーバス達がボス部屋に入るとレインボーゴーレムが2体現れ、それぞれにが赤と茶色、青と緑と得意属性が分かれており、しかも弱点属性も分かれたので大凡理想な組み合わせのゴーレムが現れた。


「じゃあ予定通りでいきますか。アミール、リンウェル」


「わかったわ」


「相性有利やからな。勝ってくるわ」


2人はそういうとそれぞれ別のレインボーゴーレムと戦闘を始める。あの2人のことだから問題なく倒せるだろう。アミールは速攻でレインボーゴーレムへ近づいて赤い左腕に攻撃を入れると速攻で破壊するべく、集中的に左腕を攻撃する。リンウェルはアミール程ではないが、有利な立ち回りを作って地道ではあるが、ダメージを与えていく。


「立ち回りも問題無さそうだし順調に行けば倒しきれそうだな」


「そうですね。リンウェルさんもバフがありますので打点不足では無さそうですね」


そんな会話をしながら戦況を見守る。そして


「あ、壊れましたね」


「そうだな。このままいくとアミールが先に倒せそうだな」


アミールがレインボーゴーレムの左腕を先に破壊する。圧倒的な立ち回りをしていたとはいえ、破壊まで5分か。右腕は普通の耐性なので破壊するのに倍の時間はかかるが、本体ダメージのことを考えると思っていたより手こずっているなと感じてしまう


(手を抜いているのか?いや。そんな風には見えないが)


全力ではないだろうが、アミールは完全を手を抜いている訳ではなく、8割程度の力は出しているとは思う。アミールは次に右腕を破壊するべく右腕を中心に攻撃をし始める。すると


「は?」


「ゴーレムの腕が再生しました!?」


「ちょっ。どうなってるのよ」


なんと破壊したはずの右腕が再生してアミールに殴りかかったのだ。アミールは何とか寸前で躱したものの、予想外の行動に心底驚く。

アーバスはレインボーゴーレムに看破の魔法をかける。戦闘が始まった時点で一度鑑定の魔法はかけており、その時はレインボーゴーレムとなっていたのだ。看破をかけたのは単純にレインボーゴーレムが偽装されている可能性とステータスを確認する為である。

鑑定はモンスターの名前を確認と弱点を確認することしか出来ないが、看破は名前以外にもステータスやスキル、残りのHPも確認することができるのだ。しかも、名前も偽装されていても正式名称を確認することができるのだ。

ただ、デメリットとしてモンスターに看破を使用する時は、消費する魔力が普段の100倍であり、鑑定と比較すると1000倍の魔力消費があるのだ。

その為、モンスターに看破を使用する人は片方の指で数える程度しかいないくらいである。


「普通だが、イレギュラーか…」


「イレギュラーなのですか」


アーバスが看破で確認すると、レインボーゴーレムだったのだがスキルに普段存在しない『超再生』のスキルがついていたのだ。

これは、欠損した部位を高速で回復させるスキルであり、ゴーレム系統だと、スーパーレインボーゴーレム以上のゴーレムが持っているスキルなのである。レインボーゴーレムはこのスキルにより普段はない再生力を手に入れており、このスキルがあったからこそ高速で右腕が再生したのである。


「アミール、右腕を狙え。その方がダメージが大きい」


「わかったわ」


ただ、再生にも弱点があり、欠損部位再生はされるもののHPは回復することがないのである。その為、水属性系統が弱点である右腕が何回も再生されることになってしまうので弱点属性で攻撃し続けることが可能になってしまう。外の世界なら間違いなく最強のレインボーゴーレムだったのだが、ダンジョンではHPというものが存在している。そのせいで、結果的には弱点を一生攻撃できるレインボーゴーレムに成り下がってしまい結果的に弱体化したのである。

アーバスはアミールに指示を出すとアミールは右腕狙いに決めたようで、右腕を効率的に攻撃することで着実にダメージを重ねていく。

看破を掛けた後は残りのHPが表示されるようになり、リアルタイムで減っていってるのが見てわかるのだが、右腕に攻撃が入った時だけHPの減りが大きいのがわかる。

リンウェルの方のレインボーゴーレムには看破を使ってはいないが、恐らくアミールと同じ特性のレインボーゴーレムだろう。

リンウェルは先程の会話を聞いていたのか、レインボーゴーレムの左腕を中心に攻撃していき、左腕が破壊されると再生されるまでは無理な攻撃をせずに防御重視で戦っていく。


(戦況は安定しているな。なら)


レインボーゴーレムの腕の再生に一瞬動揺しただけで前衛は回復も必要ないくらいには安定して戦えているのだが、アミールの方がリンウェルより先にレインボーゴーレムを削り切るだろう。アーバスはダメージを調整するべくサーラに指示を出す。


「サーラ。リンウェルの方のレインボーゴーレムに雷魔法を打ち込んでやれ」


「はい。『サンダーレイン』」


サーラはアーバスの指示に頷くとサンダーレインを即座に打ち込む。コントロールされたサンダーレインはリンウェルに一発も落ちることなくレインボーゴーレムに大量に直撃する。


「上達早くないか?」


「それは雷刀のお陰ですよ」


サンダーレインのコントロールは他のレイン系よりも難しく完璧にコントロールが出来れば他の上級魔法も問題なく使用できるくらいと言われるくらいには難しいのだ。それをサーラは殆どの雷の雨を1体のモンスターに集中的に振らせて直撃させるくらいに上達しているのだ。習得2日目にしてこの上達は普通の人は出来ないだろう。


「そっちが先か」


「先にリンウェルさんの方が落ちましたね」


「そりゃあれだけ直撃しているとな」


アミールの方のレインボーゴーレムの方が先に落ちると思っていたのだが、サーラのサンダーレインの直撃が多すぎたせいかリンウェルの方のレインボーゴーレムが先に光になって消えていってしまった。

そしてリンウェルがアミール方へと向かおうとした時にアミールの方のレインボーゴーレムも光となって消えていき、宝箱がその場所に落としていった。


「お疲れ様」


「アーバスどうなってるのよ。再生するなんて聞いてないわよ」


「俺も知らなかったからな。まさか超再生を持っているなんて思わなかったな」


俺も再生持ちなんて知らなかったよ。というかHPがあることにより再生することが救済になるなんてな。レインボーゴーレムは本来有利属性を破壊するとその部位は再生されないので等倍以下で戦うしかないので複数の属性を持っていないと非常に時間がかかるモンスターなのだ。


「まぁまぁ、勝てたのでいいじゃないですか」


「よくないわよ。気付くのが遅れていたら被弾していたわよ」


「それはすまなかったな。スキル持ちモンスターは見分けるのが大変なんだよ」


進化個体だと魔力の大きさで判別できるのだが、イレギュラースキル持ちは看破を使わないと見分けられないのが面倒だな。

メルファスの仕事で戦うモンスターは強敵揃いなので最初に看破を使うのだが、ダンジョンのしかも低レベルでイレギュラースキル持ちが居るとは思わなくて魔力節約の為に看破を使ってなかったからな。


「そもそもアーバスは何で超再生持ちなのがわかったんや?鑑定だとスキルまでは確認できないやろ」


「鑑定ならスキルとかわかるんじゃないの?」


「鑑定は名前と弱点だけでスキルまではわからないですね」


「そうなの!?じゃあ何を使ったのよ」


サーラはその辺りにも詳しいんだな。そのせいでアミールにも鑑定じゃないのがバレたじゃないか。  


「普段と違うから看破を使っただけだ」


「看破ってまたトンデモないものを使ったんやな」


「偽装されたイレギュラーモンスターだったら前衛が全滅するまであったからな」


「それはそうですけど…」


アミールはそこまで驚いてないのだが、モンスターに看破を使う非常識さを知っているサーラとリンウェルはドン引きだった。  


「あまりに不安ならボスの時は毎回使った方がいいか?」


「そこまでやらなくてもええわ。今回みたいにイレギュラーな時だけでええわ」


「そうですね。そんなに毎回使われると申し訳なくなりますし、魔力も心配になりますからね」  


「えっ、どういうこと?」  


看破を使える人間の魔力がどれくらいかは知らないが、1日数回くらいなら魔力を回復する量の方が遥かに多いのでそこまで問題ないだろう。ダンジョンボスを看破するくらいなら魔力はそこまで痛く無いしな。 

アミールはまだ事の重大さに気付いてはいないらしい。ある意味知らぬが仏かもしれないな。


「アミール、もしかして看破の消費量知らないん?」

 

「そんなの知らないわよ」 


「まじかぁ」


「アミール、ちょっといいですか?」


といってサーラがアミールと連れて行く。これは怒られるのかな?別に怒る必要はないとおもうのだが


「それにしても魔力は大丈夫なんか?モンスター相手に看破を使うなら数回が限界やろ?」


「ボスに使うだけなら魔力切れにはならないくらいにはあるからな。安心していいぞ」


「どんな魔力容量してるんや。普通はそんなに使えないで…」


リンウェルがそんなことを言う。魔力容量自体はそこまで大きくないんだよなぁ。ただ、装飾品と魔法で消費量を大幅に下げているので乱発できるだけだけどな。


「お待たせしました」


「早かったな」


サーラがアミールを連れて戻ってくる。思ったよりも早かったな。サーラはいつも通りに戻っているのだが、アミールの方はちょっと泣きが入っている。いったい何を言ったんだ?


「内緒です」


「そうか」


顔に出ていたのだろうか、サーラが察してそんなことを言う。内緒なら聞くまでもないな。

 

「サーラありがとうな。バフが無かったら苦戦するところやったわ」

 

「そんなことないですよ。バフが無くても勝ててましたよ」


サーラがそう言うが、バフが無かったら結構苦戦したと思うぞ。場合によっては俺がフォローに入っていたかもしれないしな。 

アミールは無言で突っ立っているだけで特に会話に入ろうとはしなかった。そろそろアミールも放置するのは良くないから宝箱に触れることにするか

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