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402話 撃退を終えて

「アーバス様お疲れ様でした」


「ありがとうルーファ」


一仕事終えてアーバスはタポリスの拠点のリビングで寛いでいると、超人間を送り届けたルーファが拠点へも帰ってきたのであった。


「ルーファ、超人間達は何処に泊めたんだ?」


「ガーロス国のミンダイです。あそこは設備が整っている割には街自体は小規模ですので監視が簡単なのですよ。今は精鋭の諜報部隊に行動を監視させております」


ミンダイか。あそこは街自体は小規模だが、食べ物や衣料品は充実している方だったな。しかも、小規模ということは監視するのにそこまでの数が必要ないので余計なことをしていないか簡単に確認出来るしな。


「それと少額ではありますが、食事代も渡しておきましたので何かあれば買い食いするでしょう」


ルーファは1番不満の出やすい食事に関して食べ歩き代を渡して置くことでその不満を和らげようとしていたのである。ミンダイは食事に関しては色々な種類を揃えているので何かは好みに合うだろうしな。むしろ合ったものを把握することでルーファは好みの食事を用意するつもりなのだろう。確かルーファ商会本部には忙しい本部職員の為に一流シェフが在中していると聞いたことがあるしな。


「ということは研修はミンダイでやるつもりなのか?」


「そのつもりです。あそこには商会の研修施設もありますからね」


ルーファ商会は大きな会議や新人教育の為の施設が色々な場所に点在しているのだが、そのうちの1つがミンダイにあるのである。恐らく金達がスキルを覚えるまではミンダイで研修をするつもりなのだろう。


「それと調理とかは並行して取らせるのか?」


ルーファに希望としては出した夢には調理系のものばっかりだったからな。本人達の料理の腕前次第では無くても十分なのだが、調理スキルを取らせておいても困ることはないだろうとアーバスは思っていたのである。


「そのつもりです。調理スキル習得の装飾品自体は簡単に買えますからね」


戦闘系と違って料理系の装飾品は金額さえ出せば習得スキルでも買うことが出来るからな。一応調理や錬金のスキルは戦闘系以外では人気な部類ではあるものの、それは下位ランクだけであり、高ランクなものは金額が高すぎるせいで逆に買い手が少ないと聞いたことがあるな。


「苦労をかけるな」


「いえ。私は言語スキルを覚える間だけ担当するだけでそれ以降は商会の研修担当に任せるつもりです」


商会には新人教育などをする為に研修の為の人材がいるそうで、言語スキルを覚えた後はその人物に任せるそうである。言語スキルを覚えさせれば後は誰でも良くなるのだが、相手は1人で災害級と同格の強さを誇るのである。丸投げした張本人ではあるものの、そのような人達を一般人に任せて良いのかと思ってしまう。


「研修担当といってもお菓子作りのプロを呼ぶだけですよ。後は出店する店舗を見繕えば私達の役目はそれで終わりです」


お菓子作りか。そう言えば渡した希望職のリストに女性陣はスイーツの店を持ちたいが第1候補だったな。


「ルーファ、ついでにこれも試しておいてくれないか?」


とアーバスはアイテムボックスから装飾品を3つルーファへと渡す。この装飾品はエクストリームからドロップ品であり習得スキルである為、アーバスが個人的にルーファに渡さずにストックしているものである。


「いいのですか?」


「スキルを習得すれば回収したら良いだけだからな。こちらとしては何も損しないしな」


驚くルーファにアーバスはそう答える。何せ習得スキルは習得が終わって回収すれば無限に使えるからな。戦闘スキルではないのでアーバスにとっては必要ないものではあるのだが、トゥール内で必要となるかもしれないと思っていたのだがこんな形で使うとは思っていなかったな。


「わかりました。言語スキルと一緒に試してみることに致します。返却は全員の習得が終わってからでよろしいですか?」


「それで大丈夫だ」


言語スキルもそうであるが、戦闘に関するスキル以外は中級や上級が存在しないので習得にそこまで時間が掛からないからな。アーバスは1ヶ月掛からずに全員が習得すると予想する。


「アーバス様、ところで本当に鉱石などは必要ないのですか?」


とルーファはアーバスに質問する。ルーファはアーバスがシャドルへ侵攻しない理由が建前だと気付いており、本音のところを聞きたかったのである。


「鉱石は実際に集めてみないと判断出来ないが、少なくとも武器や魔道具類に関しては情報を収集する理由がないしな」


鉱石については時間があれば転移でこちらの世界へ持ってこようと思っているのだが、現時点では必須といえるような鉱石は見つけることが出来なかったのである。


「わかりました。ですが、鉱石類については私とエバクで性能を確認致しますのでサンプルがあれば欲しいのですが?」


「はい。これでいいか?」


とアーバスはルーファに向こうで取れていて高値で取り引きされている鉱石を10種類程ルーファに渡す。


「十分ですが、どうやってこれを?」


「向こうから持ってきた」


アーバスは拠点で寛ぎながらシャドルやその周辺の情報を索敵魔法で探索していたのである。その過程でシャドルの通貨と鉱石の価値を把握しており、アーバスは鉱石を取り扱っている商店から金額の高い鉱石10種類を金庫から転移陣で取り寄せたのである。


「持ってきたってそれは強盗ではないですか?」


「というより慰謝料だな。それに今向こうでは大騒ぎでそれどころではないしな」


なんせシャドルのシンボルであり、政治の中枢であった本部棟が上空からの攻撃によって消滅したのである。次元艦隊からのレーザー砲の光は見える人全てがそれを見ていた上に光の後に消失したのを見ている人も多く、また到底誤魔化せることのできない出来事に街は現在進行形で大パニックになっていたのである。

なので、そのドサクサに紛れて鉱石を転移陣でこちらの世界へ持ってきたとしても混乱に乗じてシャドルの誰かが盗みに入ったと思われるだけで誰も異世界からの仕業だとは思わないだろう。


「大混乱ってことはこちらからの砲撃がバレたということではないのですか?戦たなら闘の準備をしないといけないのでは?」


「それは必要ないな。アウトホールはシャドル側から障壁で覆ったからな」


アーバスは大混乱を確認した時点でシャドルにあるアウトホールを自身の障壁で覆ったのである。これによってアーバスの障壁が割れない限りは魔界へ再度侵略されることはないのである。しかも、向こうは魔法とスキルが使えず物理で障壁を破壊する必要があるのでアーバスの障壁が割れる確率は限りなく低いだろうと予測しているのである。


「だから、転移システムを破壊したのですね」


「そういうことだ」


とルーファは納得する。なんせ向こうにはアウトホール以外の移動方法である転移システムがあるのだが、出口側に当たる魔界の方は既に次元艦隊によって破壊されている上にシャドル側の方もアーバスがこっそりと破壊したので転移システムでこちらへ来ることもないだろう。


「それでは今からこれを検証してまいります」


「早くないか?夜だぞ」


「早く終われば大量に回収できるじゃないですか」


とルーファは上機嫌に転移で去っていく。今頃エバクを叩き起こして検証を始めようとしているところだろう。こういうことになるのなら明日の朝に渡すべきだったかな?

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