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401話 新たな仲間

「アーバス様ありがとうございます」


アーバスは敵前線の殲滅を確認すると魔王城へと戻って来る。余談ではあるがアーバス達は誰一人として敵を元の世界へと戻ることを許さず、拠点に関しても興味のあった転移システムも込みで破壊し尽くしたのである。これは超人間をこちら側へと引き込んだ関係にも関わらず彼らの祖国をこちらから攻撃するのはご法度だと思ったからである。


「当然だ。それよりも今度からは直ぐに俺に知らせるように、繋がらなければリーゼロッテかルーファに言ってくれ」


「はい。ご心配おかけしました」


とペルロストはアーバス達へと向かって土下座をする。部下である四天王達がいる前で魔王が土下座をするのは如何なものかと思うのだが、魔王を始めとした部下達はアーバスが裏の管理人ということを知っているのでむしろ当然だと言わんばかりに頷いていた。


「主、その人達が報告にあった超人間ですか?」


「そうだ。右から金、鄭、民、孫だ」


「「「「よろしくお願いします」」」」


とアーバスは全員に紹介する。民と孫も両方共女性ということで、ここへと投入されは金以外は全員女性ということであった。アーバスは記憶を見ているから何があったかは知っているが、どれも反感を抱いてやむ無しといったような内容であった。

アーバスが紹介すると4人は丁寧に挨拶をするのだが、やはり言語の壁があるせいか察したルーファとキリコとリーゼロッテはお辞儀をして理解出来ていないレイラとバルファーティアは頭に?を浮かべていた。


「さて、ルーファ頼みたいことがあるのだが」


「承知しました」


とアーバスはルーファに頼み事をしようとするとルーファは内容も聞かずに承諾する。


「まだ何も言ってないが!?」


「言語学習と就職の斡旋と理解しましたが?」


内容の前に承諾するルーファにアーバスは冷静を装いながら言うが、ルーファはどうやら言われる内容をわかってたかのようにそのように聞いてくる。こういう時のアーバスの頼み事というのは1択しかないが、せめて最後まで言ってから承諾して欲しかったな


「察しが良いな。これが超人間達の言語と職業願望だ」


「拝見します」


とアーバスはルーファに言語と職業願望を書いた紙を渡す。なぜ願望なのかというと超人間達の記憶にある将来なりたい職業をピックアップしたからである。


「言語学習に関してはいつもの腕輪でもいいが、もし、効果が無ければ相談してくれ」


「どういうことですか?」


いつもの腕輪はというのは言語スキルのついた腕輪のことで、この腕輪のスキルをマスターするとどの言語でも理解出来るし話すことが出来るというものである。ただ、アーバスはそんな優秀な腕輪スキルの効果が適用されないのでは無いかという杞憂があったのである。


「超人間は魔力がないなからな。それに起因してスキルが習得出来ない可能性がある」


「わかりました。そのような事態になれば相談致します」


ルーファはアーバスの杞憂を理解するとそのように答える。一応、他のやり方もあるにはあるが、如何せんそんなことをするよりも言語スキルを習得してもらった方が色々と楽だからな。それに魔力がない人を1から言語学習させるのも初めてなのでどういったことが起きるのかというのも未知数だしな。


「で?本当にシャドルには攻めねぇのか?」


金がアーバスに聞いてくる。アーバス達の実力ならシャドルの制圧は容易なのに何故攻めないのかが疑問らしい。


「そのつもりだ。攻める理由もないしな」


これはアーバスの本心である。侵略してでもメリットがあるのなら攻めるが、シャドルを始めとした金達の世界には制圧してでも欲しいものがないからな。


「は?普通は侵略して奴隷にさせてこき使うのが普通でしょ」


鄭が言うことも一理ある。確かに世界全てを制圧出来て全人類奴隷にでもすればそれはもの凄い人だろう。現にシャドルはそれを1つの目的として侵略してきている訳だしな。


「世界征服が出来ればそれが1番だろうな。問題はその世界征服に掛かる時間と人材と維持費だ」


アーバスはシャドルを攻めない理由としてそれを上げたのである。なんせアーバス達トゥールは確かに強いし、数もそこそこいるが基本は少数精鋭だ。攻める為の人材がゼロという訳ではないが、侵略を開始すれば領土が広がる度に人材を用意しないと戦線や内政を維持することが出来ないので世界征服をしようとするには相当な数の人材が必要なのである。しかも、ただえさえ足りないのにそこにトゥール側に死者が出てしまえば更に人が減ってしまうのである。さらに領土が広がるということはそれに付随して食糧やポーションなどといった兵糧も必要となってくるので今ルーファ商会にある在庫を全て使ったとしても確実に不足するだろう。

以上のことからトゥール単体での侵略は困難と判断しており、レイラ達も侵略を提言しないのはそれが理由だからである。


「なる程な。となるとシャドルは無謀な侵略をしたということになるのか?」


「最初から本隊を投入する気がないのなら無謀だろうが、侵略具合によっては本気で世界征服をする気だったから無謀では無いだろう」


なんせ相手の世界を見て侵略出来そうなら早期決着も兼ねて本隊を投入する気でいたらしいからな。本国が最終的に何処まで判断していたかまではわからないが、本隊の投入を検討していた段階まで入っていても不思議では無かったからな。


「それにシャドルはお前達の故郷でもあるだろう?これも戦争だからといって侵略してお前達に不信感を抱かせるのも嫌だしな」


なんせ仲間に入れてすぐに彼らの故郷を滅ぼすのは鬼畜以外の何者でもないからな。仮に侵略するとしてもアーバスは金達の許可を得てから侵略をするつもりであった。


「それなんだけどウチからお願いがあるんだけどいい?」


「いいぞ。何だ?」


故郷の話がでたタイミングで女性陣がコソコソ話を始めていたのをアーバスは知っていたが敢えて触れていなかったからな。話方を察するに何か意見が纏っていたのだろう。


「シャドル本部を消しててくれない?」


鄭からの提案はまさかのシャドル本部の抹消であった。そしてその意味というのはシャドル国の象徴である本部棟もだが、内部もという意味も持っているだろう。


「ウチらの秘密を知っているということは上層部がどれだけ腐っているのか知ってるでしょ。今後、第2第3の私達が現れない為にもあの糞本部に鉄槌を入れて欲しいんだよね」


「そういうことなら引き受けよう」


という鄭からは怒りじみた感情が溢れ出ていたのであった。アーバスは記憶を見ているからどれだけ酷いものであったから理解しているつもりだしな。なのでアーバスは拒否せずにその依頼をすんなりと受け入れる。


「おい。良いのかよ。アウトホールの先へと行かないといけないんじゃないのか?」


「それは必要ないな。攻撃するだけならここからでも十分撃てるしな」


とアーバスは魔法陣を展開すると意識を空間の先、シャドル本部上空へと向ける。実は先程の次元艦隊がアウトホールを砲撃した時にさりげなく何処の世界へと繋がっているのか座標を確認したのである。


(見えるなら大丈夫だな)


アーバスはシャドルへとアクセスできたことを確認すると透明化で隠した魔法陣を展開する。この魔法陣は転移の魔法陣であり、これによりこちらからの攻撃がシャドル本部棟へと当たるようにアーバスは微調整を終えると


「レイラ、ここに次元艦隊の主砲を頼む」


「はい」


アーバスはレイラに次元艦隊による射撃指示を送る。次元艦隊は既に攻撃を終えて魔王城周辺へと帰還済みなのだが、キリコは次元艦隊に攻撃指示を出すと1分程で次元艦隊からレーザー砲の一斉射が転移陣へと向けて放たれる。放れたレーザー砲は転移陣を介してシャドル本部棟上空から降り注ぐとシャドル本部棟は中にいた人物ごと消えて無くなったのであった。

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