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400話 超人間の答え

「ごめん。待たせた」


「決まったか」


アーバスは通信兵と最新の情報を確認していると話し合いに終えた金が話しかけてきた。どうやら話が纏ったようだ。


「その前に最後に聞きたいことがあるから聞いていいか?」


「いいぞ。何だ?」


最後に聞きたいことか。その言い方だと答えは固まっていて最後の一押しが欲しいといったところだろうか。


「本当に戦わなくていいんだなァ?」


「少なくともこっちから兵士として将兵する気はない」


確かに超人間の2人は戦闘能力に秀でており、向こうの世界では貴重な戦闘要員なのだろうが、アーバス達の世界だと2人より優秀な人材は多いので無理に将兵しないてもいいらな。ただ、冒険者といった職業に就いてしまえば戦闘は避けれないのでアーバスはこのような言い方をしただけであった。


「なら、2人でそっちで世話になることにする」


「そうか。よろしく頼む」


アーバスは2人がこちら側の世界に来る決心を決めると手を差し出す。金はそれに驚いた後、手を出してガッチリと握手をする。これで交渉は成立だな。


「リーゼロッテ、バルファーティア作戦の変更だ。捕獲しろ」


アーバスは2人の様変わりを見てリーゼロッテとバルファーティアに任せている2人を討伐から捕獲へと作戦を変更する。交渉してこちら側へ来てくれるのなら余計な血が流れなくて済むのでそれに越したことはないだろう。


「捕獲だとォ。そんな甘いことをしていいのかァ」


「問題ない。この場に投入されているのはシャドルに不満を持っている人物ばかりだからな」


「そんなこと何でわかるんだよォ」


「そりゃ、指揮官のノームの記憶を見たからな」


というアーバスに2人は驚く。さっきまでは情報を隠していたが、味方になった以上はこれくらいは流してもいいだろう。


「ノームってアイツは前線とはいえ指揮官な上に撤退も早いから捕まえるの至難の業と聞いたが?」


「その割には簡単に捕まえれたぞ」


なんせこっちには転移があるから姿と上官であることさえわかれば後は転移で眼の前に連れて来ることが出来るからな。前線を突破して捕獲するしかない金達と比べたらやり方に大きな違いがあるからな。


「ってことはこちらの作戦は既に丸裸だったってことかァ」


「全部ではないがな。本音は指揮所にいる上官から情報を引き出したかったが、それは無理だったしな」


とアーバスは残念そうに言う。さっきもこの部隊の最上官とその場所を確認したのだが、やはり最上官は指揮所いたそうで指揮所を次元艦隊の主砲で撃ち抜いてしまった以上、生きてはいないだろうしな。


「アーバス様、おまたせしました」


「早かったな」


アーバスは声のした方へと振り向くとリーゼロッテとバルファーティアそれぞれ気絶した超人間をここまで運んで来ていたのである。アーバスは気絶した超人間2人を拘束魔法で拘束する。


「そちらの2人は超人間ですよね?」


「そうだったが、仲間になった」


とアーバスはリーゼロッテとバルファーティアに仲間になった経緯を話す。といってもそこまで大した経緯ではないんだけどな。


「つまり、この方達は捨て駒ということですか?」


「うーん少し違うな。主戦力なので消えたら痛いが、消えたら反乱因子が減るから結果的にはどちらでもいいということだな」


「それって捨て駒と同じじゃねぇか」


リーゼロッテの言葉を訂正するアーバスに対してバルファーティアが突っ込む。捨て駒は消えたら非常に痛くも痒くもないが、向こうは30人しかいない主戦力である超人間を4人失うのだから減ったとしてもそこそこのダメージが入るのだけどな。だから捨て駒には出来ないが、危険な戦場へは優先的に送るというのがシャドルの方針なのだろう。


「ということはアーバス様が用意したのは彼らの暮らしですか?」


「働いては貰うけどな。でも、軍人として命令で働かす気がないだけだ」


リーゼロッテの質問にアーバスが答える。なんせ彼らも薄々使い捨てで働かせられているのを知っていて戦っていたから、それが無くなるだけでも十分だろう。


(取りあえず記憶は確認しておくか)


これから交渉するのだが、その前に本当にシャドルに不満があるのかや普通の暮らしをしたいのかを確認しておく必要があるからな。そうでないも交渉してもこちら側に来てくれないだろうしな。


「相変わらず、凄っそれ。魔法使いって皆そんなことできるの?」


「人によりますが、後遺症なく記憶を見ることが出来るのは高度な技術が必要ですね」


と集中しているアーバスの代わりにリーゼロッテが答える。なんせ下手な人が記憶を見るとちゃんと読み取れないどころか掛けられた人が廃人になってしまうからな。


「終わったぞ」


とアーバスは2人の記憶を覗き終えるとリーゼロッテのところへと戻る。この2人は金や鄭とは違う部隊みたいで、2人とは違った情報に触れることが出来たのである。


「主、どうだァ?」


「予想通り2人もシャドルに不満を持っている人物だったよ。これから交渉する予定だ」


2人ともノームの記憶通り、シャドルに不満を持っていた。後は本人次第にはなるのだが、こちらへ来てくれるかもしれないな


「その交渉だが、俺達に任せてくれねぇかぁ?」


と聞いてきたのは金でどうやらアーバスの代わりの交渉役を買って出てくれるようであった。


「初仕事か。いいだろう、任せた」


とアーバスは少し考えた後に仲間になったばかりの金に2人の交渉役を任せることとする。この交渉で相手に流されずに交渉出来るかや裏切らないかといったことを見ることが出来るだろう。これだけで信頼しきることはないが、一応指標にはなるだろう。


「主、いいのかァ。そんなことをしてェ」


「問題ない。居場所を与えるのも俺達の仕事でもあるからな」


なんせアーバス達トゥールは世界平和の為に裏社会を管理しているだけに過ぎないからな。居場所を与えて世界平和になるのならそれで良いというのがアーバスの考え方である。その為に全うな商売で社会進出をしているといっても過言でないだろう。


「アーバス様、もしかして超人間が全滅すれば向こうは攻めて来ないと考えておりますか?」


「多分な。流石に30人しかいない超人間の内5人が返り討ちに遭った上に誰も帰還しないとなれば手を出して来ないだろ」


なんせ向こうは周辺国と戦争状態にある国なので魔界ばかりに構っている暇なんてないからな。超人間5人でも全滅するような相手を再侵略するには超人間を全員投入するのが最低条件だろう。ただ、それをするとなるとシャドルの戦線を全て下げる必要があるのでそれをしてまで攻めて来ないだろうというのがアーバスの判断である。なので仲間になるかどうかは別としてこの場にいる超人間4人は絶対にシャドルに返すつもりは無かったのである。


「主、こっからは攻めねぇのかぁ?」


「記憶から確認したがめぼしい技術や鉱石は無かったぞ」


アーバスはシャドルの資源を確認したが、戦争の国な上に超人間頼みの戦闘のせいか、武器の技術はアーバス達の世界とは殆ど変わらない上に鉱物なども特に良さそうなものは一切としてなかったのである。


「待たせた。2人共こちらへ入るそうだ」


と交渉を終えた金が交渉結果を教えてくれる。結果はやはり来てくれるとのことでこれで残った超人間4人共こちらへと来てくれたようだな。


「じゃあ、これからのことだが先に説明しておくぞ」


とアーバスは4人に対して説明を始めるのであった。

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