397話 数が足りない
「ん?」
アーバスは超人間の数を確認する為に超索敵で相手の強さを確認しようとするのだが、敵全員が魔力を持ってないせいか、アーバスの超索敵では誰が超人間か見分けがつかなかったのである。それは索敵も同様で、索敵に看破と鑑定を併用したとしても同じ結果だったのである。
「アーバス様、どうしましたか?」
「1人足りないな」
それでも指揮官の記憶から超人間だろうという人物を特定したのだが、確認出来たのは4人だけだったのである。指揮官の記憶を見た限り5人の超人間がいるはずなのに何故か1人を見つけることが出来なかったのである。
(索敵魔法に不備か?)
と思い索敵魔法を再度使うが、魔力量が表示されないだけで索敵自体は問題なく行えていたのである。索敵魔法を欺く方法というのはあるにはあるが、魔力がない相手は索敵魔法を回避する手段を持ち合わせていないだろうというのがアーバスの見解である。なのであり得ることはただ1つ
「こりゃ巻き込まれたな」
「巻き込まれたということは先程の攻撃でですか?」
「そうだ。というか消えるポイントがあるとすればそこしかないからな」
どうやら先程の次元艦隊の主砲の一斉射に巻き込まれてたようだな。アウトホールか指揮所のどちらで巻き込まれたかわからないが、爆撃機の爆弾は簡単に迎撃することが出来る超人間であってもレーザー砲は弾くことが出来なかったようだな。
「やはり超人間は人間ということですか?」
「だろうな。記憶を読み取ったが、普通の人と比べて超越した身体能力を持っているだけでそれ以外は普通の人間みたいだしな」
アーバスも初めて対峙するが、向こうに魔力がない分魔法を使えるこちらが有利だと思っているしな。ただ、重火器を簡単に避けれる上にそれを切り捨てれる身体能力は少し厄介だけどな。
「なる程ですね。私も気を付けて戦う必要がありますね」
リーゼロッテはやる気であるはいえ、少し気を引き締める。リーゼロッテは前衛として戦えるとはいえ武器は無くリリファス譲りの拳だからな。いくら不老不死とはいえ負ける姿は見たくないからな。
「前線も粗方片付いたしそろそろ呼ぶか。バルファーティア来てくれ」
「アァ?何だよ主、緊急事態かァ」
アーバスは前線が粗方片付いたタイミングでバルファーティアを呼び戻す。バルファーティアは前線の壊滅されてそのまま敵拠点へと突撃するつもりだったらしく、アーバスの呼び止めに不快感を現す。
「拠点に入る前に共有する事項が出来てな」
とアーバスはバルファーティアに先程リーゼロッテと話した同じ内容を話す。それを聞いたバルファーティアはニタァと笑顔になると
「そいつはおもしれェ。どれ程強いのか興味が湧いてきたゼェ」
と超人間という人物にバルファーティアは楽しみとばかりに反応を示す。やはり戦闘狂のバルファーティアには未知の敵というのは興味のある代物になるよな。
「主、バルファーティアを呼んだということは誰を任せるかということですか?」
「それは無理だな。記憶を漁ったが、相手の細かい実力まではわからなかったんだよ」
リーゼロッテは対戦する超人間の割り振りかと思ったみたいだが、記憶を確認しただけでは今回派遣された超人間の実力というのものを見ることが出来なかったのである。というのも前線主力は超人間が担っているのに対して作戦指揮や指揮官は普通の人間が担っているからである。理由はやはりその圧倒的な数の少なさで、超人間は意図的に作ることが出来ないせいでどの国も慢性的に不足しており、それは大国であるシャドルも例外ではないのである。
指揮官である人物達は超人間ことは理解してはいるのだが、その圧倒的な戦闘能力を自身の肉眼では追うことが出来ないので指揮官達はスペックで作戦を立てざるを得ないそうなのである。なので、アーバスはスペックはある程度は理解しているものの、普通の人間から見た評価は価値の無いものとして扱ったのである。
「じゃあ何を決めるんダァ?」
「そりゃ1人で何人相手するかに決まっているだろ」
なんせここにいる幹部は3人しかいないので誰か1人は2人以上相手にすることになるからな。アーバスは2人くらい余裕で相手出来るのでバルファーティアとリーゼロッテが何人を相手するのかを確認したいだけだからな。
「私は1人だけで大丈夫です。バルファーティアはどうするのですか?」
「俺かァ。主、1人で災害級と同程度と言ったかァ?」
「あぁ。同等がそれ以上だな」
アーバスも相手の実力は完全に理解していないので最低でもこれくらいはあると言うのが限界だからな。なので何人相手するのは自己責任といった感じだな。ちなみにリーゼロッテはやはり近接戦に自信がないらしく即答で1人と答えたな。
「なら俺も1人だなァ。流石に無理して早死はしたくねェからなァ」
バルファーティアは悩んだ結果1人と答える。アーバスはてっきり2人相手すると思っていたので意外と思いつつも丸くなったんだなと感じてしまう。
「レイラ様より報告です。敵主力がこちらへと向かってきているとのことです。数は4」
「指揮所を潰したせいで自由になったようだな。通信兵他に動きがないか聞いてくれ」
アーバスは超人間以外の人達の行動ついてレイラ達に確認を取らせる。なんせ戦闘が始まれば2人を相手する都合上通信兵と話をしている場合では無くなるからな。なので戦闘開始前に他に動きがないか確認しておく必要がある。
「アーバス様、ここで迎撃されるつもりですか?」
「そのつもりだからそろそろ魔王軍を後ろへ下げさせるつもりだ」
敵の行動を把握しないといけない都合上、今から前に出て戦うといった選択肢を取れないからな。それに索敵だけでは超人間がわからないのでレイラ達の情報に頼るしかないのが現状だしな。それに1人が生きていた場合にどのような作戦を取ってくるかわからないしな。
「レイラ様より返信。敵の増援及び不審な行動は見られずとのこと」
レイラからの返事は不審な行動はなしか。ということは指揮所が消えて指揮に縛られることが無くなったので1番の脅威と思われる前線中央を全員で叩きに来たと考えるのが自然だろう。
「バルファーティア、魔王軍を後ろへ下がらせろ。それと通信兵、お前も戦闘に巻き込まれるから落ち着くまでは戦線離脱するように」
「はい。アーバス様、バルファーティア様、リーゼロッテ様どうかご無事で」
そう言うと通信兵は戦線を離脱するこれにてアーバスへは直接通信が来ない限りは索敵で状況を判断するしか無くなっただろう。一方でバルファーティアは周囲にいる魔王軍に大声で戦況と撤退の指示を出すと魔王軍は一斉に撤退を開始する。それを狙ってか敵前線は好機とばかりに攻撃を仕掛けようとするが、全員アーバスの魔力弾による空中からの死角による反撃によって反撃させる暇もなく次々に数を減らしていく。
「主、やり過ぎじゃねぇか?」
「どうせ全員狩るんだから一緒だろ」
アーバスの慈悲のない魔力弾にバルファーティアは文句を言うが、アーバスからすれば遅かれ早かれ倒されるのでそれなら先に倒してしまえと思ってやっているだけだからな。
「それよりもそろそろ来るんだから戦闘準備をしておけよ」
とアーバスは超人間達が来るまでの間に2人に戦闘準備をさせる。
超人間達がアーバス達のもとへ来るまで後少し




