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383話 驚くような点数で

「皆さん2日間お疲れ様でした。これより結果発表を行います」


とシエスが壇上に立ってそう宣言すると拍手が講堂全体から巻き起こる。司会進行役は主催の学園がするらしく今回はセーティスが主催ということでシエスかやるみたいだな。その後ろには各学園の理事長がズラッと並んでいるのだが、その中にさり気なくリリファスとギルディオンも立っていたのである。恐らくメルファスとギルドの代表としてここへ来ているのだろうが、二人共普段と違って黒の礼服を着ており、普段のイメージと違い過ぎて気づくまで誰なのかわからなかった。


「それでは今回のダンジョンアタックの総括と発表を現ギルド本部代表であるギルディオンさんにお願いしたいと思います」


とシエスに呼ばれてギルディオンは中央にある演台に立つと今回のダンジョンアタックの全体的な総括を始める。


「アーバス、どれくらいかかるの?」


「知るか。そんなのわかるわけないだろ」


なんせこの結果発表の場にギルディオンとリリファスがいることすら聞かされないくらいだからな。いくら知り合いとはいえどもこういった大事なものの詳細までは教えてくれないからな。

壇上で話すギルディオンの話を聞いている限りだと今回のダンジョンアタックは1層目にイレギュラーモンスターがいたからか例年よりもポイントの中央値が低いそうだ。普段なら平均で言うはずのギルディオンだが、アーバスのパーティーが異常なポイントを獲得して平均値を上げまくったせいで中央値と言わざるを得なかったのだろうな。


「その中央値が低い中でも高得点を獲得した者は素晴らしいと言わざるを得ないだろう。この調子で高ランクダンジョンや依頼を攻略して頂きたいと私は思っているな」


いつもは傲慢なギルディオンもこの場ではそんな様子もなく、言葉を選びながら話をしているようでその姿を見てアーバスは中身が入れ替わったか?と思ってしまう。その後もギルディオンは奮わなかったパーティーに慰めの言葉を掛けたりしているが、段々と長くなっていく話にアーバスは眠気を感じるようになってしまう。横に座っているアミールは既に眠ってしまって俺の肩に頭を乗せて寝息を立てているが、ダンジョンで1日中戦った後で長々と話をされては疲れて寝てしまうのは仕方ないだろう。


「それではお待たせしました。本題である結果発表を行います。結果発表は上位3パーティーのみで呼ばれたパーティーの代表は壇上まで上がって下さい」


待たせたとばかりにギルディオンは力の籠もった声と大きさで結果発表へと移る。話し方がシエスやリリファスのように聞こえる気がするが、言い方に何かある訳ではないがワザと意識して話てそうな言い方だな。


「それではまずは第3位です。第3位は2767ポイントでグリーファズ、ユズリハさんのパーティーです」


第3位はユズリハのパーティーだった。去年の優勝パーティーよりも高い点数だったんだけどな。ユズリハは特に悔しさといった感情を一切として見せることをなくメダルを受け取る。ただ、パーティーメンバーはそうでもなかったようで、高得点で3位だったことに対して悔しそうにしていた。去年以上の高得点でしかも初日は順調な滑り出しだっただけにこの結果は悔しく思えても仕方ないだろう。


「2位はセーティス、テリーヌさんのパーティーで3192ポイントです」


2位はテリーヌ先輩のパーティーだった。ポイント的にどうやら挽回することが出来たみたいだな。テリーヌ先輩は呼ばれて壇上に上がるのだが、その表情にはどこか申し訳なさが見えるな。テリーヌ先輩はメダルを受け取ると壇上で講堂へ詰めかけた人へ向けて一礼するのだが、その礼がアーバスへ向けたものだった気がするのは気の所為だろう。


「‥‥‥‥」


視線を感じて横を向くとパーティーメンバー全員がジト目でアーバスの事を見ていた。恐らく情報料が何か察しがついて言いたげに見ているのだが、アーバスは適正価格だと思って情報を提供したのでその視線を見なかったことにして壇上へと向き直る。 


「それでは優勝のポイントを発表します。ポイントはダンジョンアタックが始まって歴代最高得点の32750ポイント」


と発表されるポイントに会場全体が動揺する。なんせこれまでは2500点を目標として戦っていたので3000点を越えたというだけでも歴史に残るポイントだというのに、急に優勝パーティーがその10倍のポイントを叩き出してきたのである。あまりに非常識なポイントの多さにここに来ていた人の大半は脳が理解出来ずに拒絶しただろうな。


「セーティス、アミールさんのパーティーです。アミールさんは壇上へとお越しください」


当然優勝はアーバス達のパーティーである。この点数の原因は当然アーバスにあるのだが、学年首席はアミールなのでアミールが呼ばれたのである。


「アーバス、行くわよ」


「なんでだ。俺は呼ばれてないから行けないだろ」


「むぅ~」


アミールはアーバスを壇上へと連れて行こうとするが、アーバスは呼ばれていないからと拒絶する。パーティーの代表しか呼ばれていないのに呼ばれていないパーティーメンバーが壇上へと上がるのもおかしな話だしな。

アミールはムスッとした顔をした後、アーバスを連れて行くのを諦めたのか1人で壇上へと上がっていく。


「それでは、アミールさん。なぜここまで圧倒的なポイントで優勝出来たのは何が理由かと思いますか?」


とギルディオンはアミールへメダルを渡すと優勝者へのコメントとしてそんなことを聞いてくる。当然アミールはそんなことを事前に一切として聞いていなかったので壇上で少し慌てたのも束の間冷静に頭の中を整理して話し始める。


「やはり排斥ですかね。ダンジョン攻略では人数が少ないので戦闘能力が優先されると思いますが、それ以上に索敵能力がダンジョン攻略に非常に影響を及ぼすということを実感しております。戦闘の出来る排斥というのは少ないですが、戦闘が出来なくても優秀な排斥さえいれば今回のような大量のポイントを持ち帰ることも出来るでしょう」


「なる程。排斥ですか、確かに階層を全てを俯瞰出来るような排斥がいれば最短距離で進むということも可能ですもんね」


アミールが話出したのは排斥の話であった。恐らくアーバスの話をしているのであろうアミールは今回のダンジョンアタックの優勝出来た理由としてアーバスの索敵能力を挙げたのである。アーバスは普段から自身の索敵能力について自慢することはなく当たり前のように索敵と道案内をしているのだが、その実力は一級品で、他の魔法学園を探したとしてもアーバス程の実力者というのを見つけることは早々できないだろう。それもあってアーバスの存在というのはダンジョンアタック優勝に必要不可欠な存在だったのである。


「そうですね。排斥は魔法学園では不遇の扱いを受けている傾向がありますが、私達はその排斥のお陰で優勝することが出来ましたのでこの場で感謝をしたいですね」


「わかりました。ありがとうございました」


アミールはそう締めくくると壇上から降りてくる。今さっきのアミールの言葉で魔法学園の排斥の価値というのは変わりそうではあったが、アーバスとしては満足のいくスピーチだったので戻ってきたアミールには何も言わずにギルディオンの話しを淡々と聞くのであった。

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