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375話 優勝への情報

テリーヌ先輩に連れてこられた場所はアリーナ6にある個室の1つで、テリーヌ先輩は個室に入ると鍵を締めて椅子へと座る。アーバスは念の為に遮音の障壁を張ると机を挟んだ対面の椅子へと座る。


「まずは、ダンジョンアタック中の申し出を受け入れて頂いてありがとうございます」


「礼ならアミールに言ってくれますか。俺は断る気でいましたので」


とアーバスはテリーヌ先輩に正直に答える。なんせ事前に打ち合わせとかをしたのではなくアミールが独断で言い出したのだからな。


「それでは本題へと入ります。アーバスくん、ダンジョンアタックは順調ですか?」


「詳細は答えれないが順調ではあるな」


「そうですか、それは良かったです」


テリーヌ先輩に初日の感想を聞かれて普通に答える。何処まで攻略したかは絶対に答えれないが、少なくともどんな感じかまで答えていいだろうと思い答えたのだが、それを聞いて安心したテリーヌ先輩には安心以外にどこか悲しみも混じっていたのは気の所為だろうか?


「そういうテリーヌ先輩はどうですか?」


アーバスは情報交換なのかと思ってテリーヌ先輩のダンジョンアタックの状況を確認したのだが、テリーヌ先輩の表情が曇ったのである。アーバスはこれを見て何故テリーヌ先輩がアーバスを呼んだのか、そしてアミールがアーバスを送り出したのか理解してしまったのである。そして、アーバスは自身がタブーを聞いてしまったことを後悔すると同時にテリーヌ先輩が語りだしたのである。


「1層目でイレギュラーモンスターであるマスターゴブリンに全滅しました。明日も1層目からの攻略ですので上位入賞は厳しいでしょう」


それを聞いたアーバスは無言になる。雰囲気からして途中で全滅したのだとは簡単に想像がついたのだが、まさか1層目で全滅とは思っていなかったな。


「本当なら今日中に3層目まで攻略した上でアーバスくん達が苦戦しているようなら情報共有しようかと思っていたのですが、こんなザマでは言い訳にしかならないですね」


アーバス達のパーティーをライバル視していたとはいえ同じ学園ということで攻略に行き詰まっていたら手助けをするつもりだったようだ。ただ、この状況でそう言われても言い訳にしか聞こえないの事実でもあるのでアーバスとしてはテリーヌ先輩の言い分が本当だと信じるしかないだろう。


「ですが、アーバスくんのところは順調そうで良かったです。もし、私達がボロボロでもセーティスにある程度のポイントが入りますからね」


ただ、アーバス達のパーティーが順調だと聞いてホッとしたようで、もしこれでテリーヌ先輩のパーティーが上位へ残れなかったとしてもアーバス達のパーティーが残る可能性が高いと踏んだのだろう。なんせポイントが入るのは上位3パーティーまでしかない上にポイントは個人戦優勝程度入るので無視出来ない点数だしな。


「そうですか。テリーヌ先輩、2日目を頑張ったとして何処までいれそうですか?」


「4層‥‥‥いや3層目で終わるでしょうね。運が良ければ4層までいけるでしょうけど上位入賞の基準である5層目攻略は不可能ですかね」


とテリーヌ先輩は終了時点での予想を話す。上位のラインはやはり5層目であり、5層目ボスの攻略ポイントが上位争いに大きく関わっているようであった。


「だから、今からはアーバスくんのアシストへと回ります。何でも答えるから聞いてください」


「それなら去年の優勝した際の攻略状況を教えてください」


テリーヌ先輩が何でもと言ったのでアーバスは1番聞きたかったことを質問する。なんせダンジョンアタックは合計のポイントだけで内訳は完全非公開であり、公開されることはないからな。なので昨年優勝パーティーが何処まで攻略したのかという情報は非常に重要なのである。


「Aランクダンジョンの6層目の途中で終了しましたね。モンスターの討伐数まではわかりませんが、レアモンスターは合計で2体倒しましたね」


6層目途中か、アーバスはレアモンスターが各階層に配置されていることを見て、何体かは倒しているのだろうなと予想していたが2体倒していたとはな。昨年のテリーヌ先輩のパーティーは2500点くらいだったはずなのでやはりレアモンスター討伐は数百点のポイントがあるみたいだな。対抗馬のユズリハも恐らくこの辺りの攻略階層だろうからSランクダンジョンのポイントを考えてやはり3000点が本来の優勝ラインといっていいだろう。


「後は他のパーティーの攻略状況ってわかりますか?」


とアーバスは1日目の他のパーティーの攻略状況について聞いてみる。1層目で退場したということは他のパーティーが戻ってきた時間を知っているはずである。なので、現時点でどのパーティーが進んでいるのかを把握しているはずだからな。逆にアーバス達は1番最後に戻ってきたので他のパーティーの状況というのを全くしらないからな。


「まず優勝候補のユズリハさんですが、アーバスくん達の20分前に出てきましたので退場することなく順調に攻略していると見ていいでしょう」


1番の本命であるユズリハのパーティーであるが、全滅せずに初日を終えたみたいだな。恐らくテリーヌ先輩と同程度の進行具合と予想しているので初日は3層目もしくは4層目で終えたということだろう。ただ、ダンジョンアタックは普通のダンジョンと違って構造が複雑なので恐らく3層目だろうな。


「他のパーティーですが、時間ギリギリまで攻略していたのはガーロスのクイケラさんのパーティーくらいでそれ以外は午前中に全滅していましたね」


そもそも午後まで攻略していたパーティー自体が少ないようで午前中に全滅したということは大半が1層目のでやられたということなのだろうか?アーバス達なら午前中で5層目まで攻略できるが、他のパーティーなら1層目攻略中の可能性が高いので1層目で何かがあって全滅したということなのだろう


「なんで大半が全滅したんだ?」


「それは他のパーティーもイレギュラーモンスターに負けたからだと思います。ダンジョンアタックは不公平を無くすために各階層の構造とモンスターの配置が同じですからね」


ダンジョンの構造とモンスターが同じか。流石にランク毎に出るモンスターは違うだろうが、それならイレギュラーモンスターに遭遇して全滅したパーティーが多数いたという事実を信頼してもいいだろう。そして回避出来た他の2パーティーは運良く回避したか、索敵で発見して回避したかのどちらかということか。


「ということは2日目はガーロスとグリーファズのもう一つのパーティーが上がってくるということか」


「でしょうね。なんせ今日の情報は共有されているでしょうからね」


なんせ両国共もう一つのパーティーは1層目で脱落しているので先に進んだパーティーの攻略情報は死ぬ程欲しいだろうしな。しかもパーティー同士の接触は禁止されていないので宿舎などの個室で情報共有は全然あり得るだろうからな。


「ということは俺に接触したのは情報を教えて欲しいということか?」


「そのつもりはありません。どちらかと言えば優勝への協力ですね。仮に情報と受け取ったところで、3位のパーティーとは大差を離されている状況です。ここからの逆転は不可能といっていいでしょう」


どうやらテリーヌ先輩からすればここからの逆転3位は厳しいらしい。まぁ、アーバスみたいに全てを俯瞰しながら進んではいないはずなので当然ではあるか。


「アーバスくん。私達の代わりに優勝を任せましたよ」


「わかりましたを必ず優勝します」


テリーヌ先輩から応援されたアーバスは力強く答えると個室から退出するのであった。

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