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362話 Aランク昇格試験アミール編

「準備は出来たか?」


「ええ。いつでもいいわよ」


アーバスはアミールの準備が終わったタイミングで声を掛ける。アミールは準備万端なようで、既に雷刀を構えていた。氷刀ではないのは氷刀は今はサーラが氷属性を習得中で使えないからな。その為、今使われていない雷刀でこの試験を戦うことになったのである。


「ルールを確認するぞ。模擬戦は1戦のみで使用魔法などに制限はない。勝敗で試験の結果は左右されないからアミールは全力で戦ってくれて問題ない」


「わかったわ」


この試験はあくまで実力がAランクに達しているかを確認するだけだからな。そりゃ勝てるのが1番の理想だが、相手がアーバスなので勝つのは不可能に近いだろう。本当ならAランク冒険者程度の試験官を試験担当にしてアミールの相手をさしたかったのだが、ギルディオンが来たせいでそれが出来なくなったしな。


「それでは始める」


アーバスが試合の開始の声と同時にアミールは速攻でアーバスへと迫る。アーバスはその接近を魔法で迎撃しようとせずにただ立っているだけであった。


「やあっ」


とアミールはその隙を逃さまいと攻撃を仕掛けるが、アーバスは火属性の属性付きの剣を取り出すと簡単に攻撃を受け流す。


(まずは近接戦からと)


アーバスはギルディオンと事前にした打ち合わせの通りに接近戦から始める。まずは近接戦の実力の確認からで最初はアミールに剣を一方的に受けて前衛での実力をギルディオンに見てもらう。アミールは氷と雷の2属性を属性融合させて剣に付与して攻撃していくが、アーバスはそれを火属性1つで攻撃を全て捌いていく。


「火属性だけって随分と余裕そうね」


「そりゃアミールとではだいぶ実力差があるからな」


アミールは火属性1つで攻撃を捌かれることに少し不満げではあるものの、逆にチャンスとばかりに氷と雷のフィールドまで展開してアーバスを攻めていく。だが、アーバスもその程度で押し負けることはなく氷は火属性で溶かした上でアミールの攻撃を全部弾いていく。


(頃合いだな)


それから暫く攻撃を捌くアーバスであったが、アミールの連撃をギルディオンにある程度見てもらったタイミングでアーバスは右手の属性付き剣を銃剣に変えると防戦一方から均衡状態への打ち合いへと持っていく。次の試験内容は均衡状態の対処の仕方であり、アミールがどうやって均衡の状態から優勢へ持っていこうとするのかの確認である。


(やっぱり俺が試験官なのは良くないって)


アーバスはアミールの得意技である連撃に織り交ぜた威力のある一撃を弾いてそう思う。普通の試験官ならあれは初撃で引っかかるし、仮に見ていたとしても今のタイミングの一撃を見抜いて弾くのは困難であっただろう。だが、アーバスはアミールと特訓で1VS1をやり過ぎているせいかその攻撃を簡単に見抜いてしまったのである。それからもアーバスの攻撃を受け流してバランスを崩そうとしたり、攻撃を弾こうとするのだが、アーバスがその程度で隙が生まれることはなく均衡状態のまま膠着して試合が進んで行く。


(最後は防御だな)


アーバスはここまで均衡に保っていた状況から一気にアミール連撃の速度を上げてアミールを防戦一方へと追い込む。アミールは先程の均衡状態のところから一気に攻撃のペースが上がったせいか、反撃のことを考える余裕もなく攻撃を受けることがやっとの状態でアーバスの攻撃を受けていく。


(多少は良くなったか?)


夏休み前までは毎日のように1VS1をしていたアーバスであったが、夏休みに入ってからはダンジョン攻略ばかっりになってしまったせいでアミールの現状を確認する機会が無かったのだが、アミールの防御は以前の氷属性やカウンター頼みの防御から一転してしっかりと防御して冷静に攻撃を受け流していたのである。今までなら何処かで無理してカウンターを入れようとしていたのでそこからは成長したと言えるだろう。


(でもまだまだだな)


無理なカウンターをしなくなったようでは一流ではく、防御をしながらどのタイミングで隙をついてカウンター出来るかが1番大事だからな。


(やっぱりそれは出来ないか)


アーバスはカウンターに期待して連撃を当てて様子を見るのだが、アミールからカウンターをする兆候が見られそうになかったので次の試験へと移る。アーバスはアミールが劣勢なこの状態でサンダーレインを唱えるとランダムに周辺へと落とす。


「!!!!」


サンダーレインを撃った瞬間、アミールはそれに気付いたようでアミールはバックステップでアーバスから離れると襲いかかるサンダーレインの絨毯爆撃を持ち前の身体能力で回避していく。


(やっぱり全弾避けるよな)


リンウェルやサーラのレイン系の魔法を余裕を持って避けていたので更に速いアーバスのレイン系魔法くらいは問題なく回避出来るみたいだな。


(これでも十分合格だと思うが念の為に上級魔法を使うか)


事前にギルディオンと確認したAランク冒険者の合格範囲なら今のレイン系を避けれるだけでも十分合格出来ると思うのだが、普通に避けれたこともある上に中級魔法だったのでギルディオンから見れば不合格かもしれないしな。アーバスは魔力弾を使ってアミールが近づけれないようにしながら上級魔法の発動を準備する。


【サンダーパルス】


「ちょっ。それはズルくない」


アーバスは1番魔法の発生が速いサンダーパルスを放つと不幸なことにアミールは魔力弾によってバランスを崩しているところであった。魔法を撃ったアーバス側としては完璧なタイミングであったが、最悪のタイミングで撃ち込まれたサンダーパルスにアミールは思わず文句を言う。

そんなアミールはサンダーパルスの中心にいて普通であれば直撃するような位置であったが、そこからバランスを崩した勢いを使って飛ぶようにサンダーパルスの範囲外へと逃れる。アミールが範囲外へと逃げたと同時にサンダーパルスは炸裂し、アーバスの攻撃は失敗に終わる。


(今のを避けるなんてな)


とアーバスは思わずその光景に苦笑いする。魔力弾無かったとはいえアーバスが攻撃が直撃すると思ったタイミングなのにも関わらずアミールは避けれたのである。その身体能力に思わず拍手を送りたいところであるが、今は試験中でアーバスは試験であるのでアーバスは思考を元へと戻して集中する。


(ただ、そろそろ決めにいってもいいかな?)


試験に必要な項目は全て終えたのだが、これは模擬戦なので勝敗が決まらないことには終えることが出来ないからな。このまま魔力弾と上級魔法だけでも押し切ろうと思えば可能だが、アーバスはアミールの成長を確認する為にもアミールの得意な近接戦で勝負を終わらせることにする。


(ただ、武器に関しては手加減なしでいくけどな)


アーバスはアイテムボックスから銃剣を取り出すとそこへ虹属性と氷属性を付与する。これ以上付与するともできるがアーバスは敢えて2属性でアミールを相手することにしたのである。


「せいっ」


まずは1振り目、接近の勢いそのままに振り抜かれた横薙ぎをアミールは雷刀を両手で持って受け止めるがあまりの威力にアミールが勢いを殺しきれずに後退する。


「はっ」


「しまった」


アーバスは銃剣を振り抜いた後、今度は下から切り上げるようにアミールへ攻撃する。アミールはそれを避けようとせずに受け止めようとするが、1振り目と変わらないその威力に力負けして雷刀を吹き飛ばされる。吹き飛ばされてからアミールは致命的なミスに気付いたが、もう既に手遅れだった。


「これで終わりだ」


アーバスは止めとばかりに銃剣を振り下ろすとブサーがなってアーバスの勝利で決着したのであった。

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