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354話 参考にならない

「こんなものだな」


アーバスはガルブロスを倒すとそんなことを言う。本当ならガルブロスを剣だけで倒したかったのだが、蜥蜴種に特攻のある武器を持っていなかったのでどうしようも無かったしな。


「とまぁSランクモンスターを相手にする時はこうやって戦うのだが」


「参考になるかボケー」


とリンウェルが説明し始めるアーバスに対して怒りながらツッコミを入れる。アーバスとしては簡単な倒し方を教えたはずなのだがどうやら気に入らなかったらしい。


「アーバス、普通は魔法陣を破壊された時点で打つ手はありませんよ」


サーラは苦笑いしながらアーバスにソロ魔法師の常識を話す。本来ガルブロスというのはパーティーで戦うモンスターであり、前衛がタンクとしてガルブロスの攻撃を防ぎながら後衛の魔法で削り切るのが普通なのである。その後衛も2人以上配置してガルブロスの尻尾が対処しきれないくらいの魔法を撃ち込まないといけないので魔法師自身もSランクでないとそんなことは出来ないだろう。


「本当よ。そもそもその武器は何なのよ」


そのサーラの話に賛同しつつアミールはアーバスの使っていた武器を聞いてくる。イレギュラー戦で時々使っている銃剣だが普段は透明化の魔法で隠した上で銃か剣どちらかでしか使っていなかったのであるが、メルファスの時の癖で武器を透明化せず普通にガルブロスと戦ってしまったのである。アミールの言葉にアーバスは初めて自分がミスしたことに気づいたのだが、手遅れな上に誤魔化すことも出来ないこの状況でどうするか考える。


「これは銃剣といってな。銃と剣が一体になった武器なんだ」


アーバスは開き直って武器が銃剣であることを伝える。銃剣自体はメルファス仕様ではないものの、銃剣のせいでアーバスがジョーカーであることがバレないかヒヤヒヤする。


「へぇ。そんな武器があるのね知らなかったわ」


「絶滅武器やんけ。よくそんなの使ってんな」


「色々試した結果これが1番だったんだよ」


アミールとリンウェルは銃剣と聞いて驚きながらそう言ってくる。サーラに関してはアーバスのことを知ってるからか無言だな。


「で、なんてそんな絶滅武器まで使ったんや?」


「1人だと魔法陣の数が足りないんだよ」


「あの展開力でですか‥‥‥」


アーバスも魔法陣の展開力には自信があるものの、契約の指輪なしでガルブロスの尻尾の速さを掻い潜るだけの魔法陣を展開することは出来ないからな。なのでそれを補う形で銃剣を使用しただけである。


「確かに全部破壊されとったもんな」


「え、あれ全部破壊されてたの!?」


リンウェルはその理由に納得するがアミールは魔法陣が全部破壊されていたことに気付いていなかったようでとても驚いていた。結構な数を展開していたのでまさか全部破壊されていたとは思えないよな。


「ガルブロスは魔法攻撃への対応力が高いからな。他のSランクモンスターならあそこまではいかないんだけどな」


なんせガルブロスは近接武器のダメージが入らないせいで近接は強くないからな。他のモンスターだともう少しダメージは入るがその分近接戦も強くなってしまうからな。そこをどう考えるかはパーティーの構成次第だな。


「でも、銃も打撃武器ですよね?ダメージが入らないとおもうのですが」


「魔弾仕様の銃剣だから魔法判定になるんだよ」


「ん?銃も魔法で撃つから打撃武器やないんか?」


「そうでもないんだよ」


やはり銃という武器は一般的な武器でないのかリンウェル達も詳しくは知らないみたいなので銃の仕様の説明をしておく。付け足しておくとアーバスの銃剣と銃は特殊な仕様をしていて本来銃というのは弾丸が必要な武器なのだが、アーバスは弾丸を魔法で作っているので弾数を気にすることなく無限に撃てるのである。ただ、魔弾仕様だと弾丸は必要ないだが、その分魔法攻撃判定になってしまうのが一長一短なんだよな。


「でも、そうなると何でガルブロスは銃剣を攻撃しなかったのですか?」


「魔法陣への対処だけでギリギリだったから銃剣まで手が回らなかっただけだな」


なんせガルブロスはアーバスの魔弾に気付いて攻撃しようとしたくらいだったしな。ただ、尻尾で魔弾まで迎撃しようとすると魔法陣の破壊が追い付かないことを悟って諦めたみたいだったけどな。


「で、ウチらはアレから何を学べばええんや?」


「そりゃ魔法を使った前衛の戦い方だな。魔法も1種類しか展開していないから複数展開も簡単だしな」


とリンウェルから聞かれたアーバスは今さっきの戦い方で必要なところを話す。Aランク以下の冒険者だと前衛が魔法を使う必要がないのだが、Sランク以上となってくると前衛も魔法を使えておいた方がいいからな。一応ランクアップの要項や昇格試験には関係のない項目であるが、アーバスみたいにソロで戦う人やアミールみたいに4人パーティーではないところなら使えないとこの先が大変になるはずだからな。


「銃剣は?」


「必要なら教えるが基本的には必要ないものだな」


銃剣を使うにしても剣と違って武器の持ち方や立ち回りが変わるので今のままで冒険者を続けるのであれば必要がないからな。アーバスとしては銃剣を使う人が増えるのは歓迎ではあるものの、本当に教えて欲しい人以外には教えないし勧めないスタンスだしな。


「アーバス、魔法ってどう配置しているのですか?」


「魔法師の魔法と一緒で相手モンスターの後方に展開するようにしているな。それとモンスターの回避方向も制限するように魔法を撃ち込むようにしている」


前衛で戦っている時にモンスターにされる1番面倒な行動は回避行動で、モンスターとの距離を離されるのは勿論のこと、横に移動されるだけでも目線を動かしたり身体をモンスターの正面に向けたりとどうしても隙が出来てしまうのである。なんせモンスターへ目線や身体を向けている間に攻撃されて不利な体勢で攻撃を受けないといけないということがあるからな。

それを防ぐ為にもモンスターに回避されたら困る場所にも魔法を放っておくことで相手モンスターが本能で逃げる逃げ先をいうのを制限しておいたのである。ただ、モンスターによってそれでもお構いなく回避されたりするので有効なモンスターなのかを事前に確認する必要はあるんだけどな。


「なる程な。アーバスが魔法も使える理由はそれもあるんやな」


「使えるといっても魔法陣を使った魔法が大半で魔法師が使うような魔法は殆ど使わないけどな」


アーバスは範囲攻撃の魔法以外は使うことはないのであるが、これはアロー系の魔法だと術者自身の眼の前から攻撃が発動するのでモンスターを牽制することが出来ないからな。仮に前衛で初級魔法を使うのなら魔法陣から撃てるボール系の魔法を多用しているだろう。


「アーバス、何でさり気なく宝箱を開けたの?」


「何で気づくんだよ」


「流石に気づくわよ。私の目を誤魔化すなんて100年早いわ」


アーバスは話をしながら宝箱を開けてドロップした指輪をアイテムボックスに仕舞おうとしたのだが、アミールにいち早く反応されてしまったのである。そのせいで気付いていない2人にも気づかれてしまったじゃないか


「ちなみにそのスキルは何だったのですか?」


「これは消費魔力軽減20%だな」


「最高級品やんけ‥‥‥」


とアーバスが指輪の性能を伝えるとリンウェルは顔を引き攣りながらそう呟く。そう言われてもエクストリームでそれ以上の倍率の装飾品を見ているので何とも思わないのだけどな。


「使わないの?」


「あぁ。それ以上の物を持っているしな」


アミールに聞かれるが、エクストリームに行っているせいでアーバスとサーラはそれ以上の装飾品を持っているので必要ないんだよな。


「なら、私が使っていい?」


「いいぞ。持っていても仕方ないしな」


「ありがとう大事に使うわね」


とドロップした指輪をアミールへと渡す。アミールは自身の装飾品と入れ替えるとアーバスにお礼を言う。アーバスにとってはただの換金アイテムなので喜んでくれて良かったがな。

そのせいか知らないがやる気になったアミールが次の階層へと急かすのでアーバス達は最下層へと移動するのであった。

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