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341話 総合戦の模擬戦

「さてと、練習はこれくらいで終わるか」


それから交互にアーバスとの練習と休憩を挟みながらある程度の回数をこなしたところでアーバスは練習の終了を宣言する。


「「‥‥‥‥‥」」


そんな終了の声に2人は疲れ切っているのか返事すらせずにハァハァと息を切らしながら頷く。どうやら返事する気力も残っていないらしいが、その姿を見ると最後の反省会をちゃんと聞いていたのか疑問に残るところだな。


「アーバス、終わったでって何やこれ?」


「リンウェルか、こっちも丁度終わったところだ」


アーバス達総合戦のアリーナ練習の前の番である近接戦のアリーナ練習が終わったようでリンウェルがアーバスへ報告しに来たのであった。リンウェルは疲れ果てている2人を不思議そうに見る。


「アーバス、やり過ぎはアカンで?」


「普段通りなんだけどな」


リンウェルはそれを見て何かを察したようでアーバスに注意するように言うが、アーバスとしては普段の特訓と何ら変わらないので何故こうなったのか不思議で仕方なかったのである。


「それはアミールやからやで、あの体力と身体能力は飛び抜けているんやから常人が出来る訳ないやろ」


「リンウェルも付いてきてたはずだが?」


と一般論を教えるリンウェルにアーバスはリンウェルも付いてこれたとツッコミを入れる。アミールだけなら仕方ないと思っていたがリンウェルも付いてこれていたのでてっきりクロエ達も大丈夫なのだと思っていたんだけどな。


「えっ。リンウェルちゃん達はついていけるの?」


「ウチは実家でキツイ訓練を受けていたからな。あれくらいは普通やったんや」


と驚くクロエにリンウェルは理由を説明する。そういやリンウェルの家はスパルダだったとか言っていたな。だからアーバスの練習に付いてこれただけでこの反応が普通だったとはな。


「そりゃ、どうりで強いわけだよ。ちゃんと努力をしているんだね」


「そうですね。こんなにキツイ練習を積んでいるなんて思いませんでした」


クロエとサポーネはアミール達の強さに納得する。強いと単純に言うのは簡単だが、そこに至るまで裏で結構苦労していたりするからな。


「回復したのなら第1アリーナへ行くぞ。時間も限られているしな」


と2人が話せるくらいにまで回復したことを確認するとアーバスは第1アリーナへと移動する。アーバス達が第1アリーナでの練習が1番最後とはいえ時間は限られているからな。アリーナでの練習機会と少ないから時間は有効に活用したいからな。


「これからやることを説明する。今からは今日の練習を踏まえた上でクロエとサポーネには時間まで2人で模擬戦をしてもらう」


アーバスは2人にこれからやることを説明する。今日のアリーナでの練習はさっきまでの練習を踏まえての模擬戦である。


「えっ。アーバスくんじゃないの?」


「俺が相手すると試合にならないのでな。2人でやってもらうつもりだ」


クロエはてっきり対戦相手がアーバスだと思っていたので非常に驚く。クロエとサポーネには少しばかりの差があるものの、今日のアドバイスをちゃんと聞いていればいい試合になるのではないかとアーバスは思っていたのである。


「俺は観客席で見てるから時間まで模擬戦を続けるぞ」


一応各試合の間に5分の休憩時間を入れるものの、基本的には2人で時間一般まで模擬戦を続ける方針だ。アーバスは2人にそう言うと試合を見るためにアリーナの観客席へと移動する。アーバスが観客席へと着くと2人共準備が出来たのかカウントダウンが始まって模擬戦が開始させる。


「お久しぶりですね」


「テリーヌ先輩か」


今日2人が学んだことを理解しているかどうか確認しながら見ているとこっそりと観戦していたのであろうテリーヌ先輩がアーバスに話しかけて来たのである。アーバスはてっきりシエスが話し掛けてきたと思ったので振り返った際に少々驚く。


「練習は順調ですか?」


「他はわからないが、総合戦は順調だな」


とアーバスは2人模擬戦を見ながら順調であると答える。2人共今日の反省会をしっかりと聞いていたようで、実力差を感じることはなくほぼ互角な戦いをしていたのである。


「2人共立ち回りを変えましたか?」


「矯正したといった方が正しいかな。安定して勝てる戦い方を教え込ませただけだ」


魔法が苦手なクロエには魔法と剣の両立を、剣が苦手なサポーネには剣術と2人への教え形はそれぞれ別物であったものの主目的は魔法と剣術のコンビネーションを使った連撃であり、それを習得させる為に2人に戦い方を教えたのである。


「そうしてもここまで様変わりするとは思いませんでした」


「そんなことはない。魔法や剣術も2人の技量はあんまり変わっていないさ」


様変わりといってもここまでたった数時間である。それくらいの変化なので特に大したこともないし、明日には元に戻っているなんてこともあり得るしな。


「あまり期待していないのですね」


「そんなことはないが、出来ることは限られているのでな。後は本人次第だと思っているだけだ」


とアーバスはそう答える。なんせ短期間での育成となると本人の意志による部分が大きいからな。なので、アーバスは伸びたらいいやと思いながら教えているのである。


「それでもです。最初会った時はやる気があるのか心配でしたが真面目に教えているようでよかったです」


とテリーヌ先輩は一安心する。アーバスとしてはそう言われるのは心外だが、殆ど練習しないと言われてはそう思われていても仕方ないなと自身の態度を反省する。


「テリーヌ先輩は練習をしなくていいのか?」


「今日の午前中は自主練習にして私だけ1年生の様子を見に来たのですよ」


勿論学園長に許可を取ってですけどねとテリーヌ先輩は付け加える。セーティス王国が優勝する為には1年生の成績も重要視されるのでテリーヌ先輩は1年生の現状の仕上がり具合を確認しておきたかったのだろう。


「今年の1年生は凄いですね。実力もある上に更に上に行こうとする努力。他の学年も見習ってほしいですね」


「学園長が歴代でもトップクラスだと言っていましたからね。それに代表戦の目標は1年生の総合優勝ですから皆気合いが入りますよ」


とアーバスはテリーヌ先輩に1年生の目標を話す。なんせ近年では新人戦も込みで優勝出来ない年が続いているのでセーティス王国としては1年生でも総合優勝は悲願であったりするのだ。


「といったところで相談ですが、いいですか?」


「アーバスくんから相談なんて初めてね。いいですよ」


とアーバスはクロロトとの会話の時に出た練習日の追加の話と協力のお願いをする。なんせアーバス達はダンジョン攻略で忙しいので追加の日程が取れそうにないしな。


「わかりました。その程度ならこちらでご用意しましょう。日程もこちらで決めてもいいですね?」


「はい。お願いします」


と2つ返事で引き受けてくれるテリーヌ先輩にアーバスは感謝する。始まった時にクロロト以外の代表メンバーにも希望の日程を聞いたら全員何時でもと言っていたしな。アーバス達との練習と先輩達との練習の週2日あればある程度は濃厚な練習をすることができるだろう。アーバスはテリーヌ先輩と代表戦の話をしながら2人の試合を見守るのであった。

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