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340話 練習開始

「さ、練習を始めるわよ」


アーバスが第2アリーナへ戻ってくるとアミールは練習開始の合図をするが、練習といっても何から初めたらいいのか皆わかっていないようであった。そりゃ何をするか言う前に開始の合図をしたのだから当然か


「まずは練習と模擬戦に別れるところだな。誰かこの人と模擬戦したい人っているか?」


と模擬戦を募るが遠慮してか誰も手を上げようとはしなかった。アーバスとしては順番に模擬戦をしてその間に個々を見ようかと思っていたが、目論みか外れそうだな。


「なら儂がいいか?」


とこちらで順番を決めようかと悩んでいたところでクロロトが手を挙げる。クロロトは皆の出方を伺っていたようで誰もいないのを確認して手を上げたようであった。アーバスは挙手したクロロトに対して話して大丈夫と頷いてジェスチャーする。


「アミール、模擬戦をしてくれないか?今の儂の実力を測りたい」


「いいわよ。アーバス、最初に使っていいわよね?」


「あぁ。いいぞ」


とアーバスが言うとそこから遠慮していた他のメンバーも続々と手を挙げて対戦相手を指名する。そのお陰でアーバスが決めるまでもなく模擬戦の順番が決まったのである。


「それじゃあ。練習を始めようか」


とアーバスはアミールとクロロトの模擬戦の希望を聞いてフィールドとセットした後、クロエとサポーネの総合戦の代表の練習を始める。


「練習ってアーバスくん、何をするの?」


とクロエが聞いてくる。本当ならアミールみたいに属性融合や魔力操作を教えたいところだが、期間が1ヶ月ちょっとしかないからそんな余裕はないだろう。アミールは1ヶ月で習得出来たが、本来は数ヶ月くらい掛かる前提で用意していたものだしな。


「簡単だ。2人にはこれから俺と模擬戦をしてもらう」


「えっここで?」


クロエは驚いたようにアーバスに対して質問する。なんてここは皆がいる第2アリーナなので模擬戦となれば当然動き回るので周りに迷惑が掛かるからな。他のメンバーはそれを避けるために魔法を教えるのがメインになっているしな。


「あぁ。ただ、俺からは攻撃を仕掛けずに攻撃を跳ね返すだけだから防御は考えずに攻撃してくれ」


アーバスが考えたのは普段とアミール達と同じような実戦メインの練習である。アーバスは自身から攻撃しないことを条件に攻めの練習をすることに決めたのである。これならアーバスが壁際で戦えば他のメンバーの迷惑にならない上に実戦経験が積めるからいいだろうという判断である。相手がアミールなら全部防ぎ切るのは難しいが、クロエとサポーネならそれくらいのハンデでも勝てるだろうというのがアーバスの判断である。


「わかった。じゃあ私からやっていい?」


「えぇ、どうぞ。私は様子見するわね」


のクロエはサポーネと相談して1番手を決めるとサポーネは戦いを見るために一歩引いて観察に徹する。一方クロエは戦闘態勢を取ってアーバスの開始の合図を待つ。


「制限時間は10分で5分のインターバルを挟んで交代でやる。それじゃあかかってこい」


アーバスは制限時間を決めて開始の合図をするとクロエはアーバスとの距離を詰めると様子見とばかりに剣を振るうが、アーバスはそれを楽々と弾き飛ばすとクロエに対して追撃とばかりに魔力弾が撃ち込まれる。クロエはそれに対して大焦りするようにバックステップで回避して距離を取る。


「ちょっと。攻撃はしないんじゃなかったの?」


「こちらからなは。ただ、半径10メートルはこちらのテリトリーとしてそこまでは反撃するから考えながら攻撃してくれ」


とアーバスは試すかのようにクロエに言う。これが近接戦なら魔法での反撃はするつもりは無かったが、2人が出るのは総合戦なので剣と魔法両方に対処する必要があるからその練習だな。


「わかったよ。絶対に一撃入れるんだから」


クロエはアーバスの挑発を受け入れるかのように接近戦でアーバスを崩そうとする。クロエは総合戦で優勝しているものの魔法はそこまで得意ではないみたいで、殆ど魔法を使うことなく剣技中心の攻めてアーバスを攻めたてる。


(うーん。総合戦ならもう少し魔法を使いながらの方がバランスがいいんだけどな)


総合戦が近接戦メインとはいえ、近接戦に頼りすぎても勝ちきれないからな。全員出揃ってないとはいえ代表戦本番だと剣術の技量よりも魔法とのコンビネーションの差が勝敗に直結しそうな気がするしな。


(そろそろ攻め方を変えますか)


アーバスは剣術による迎撃と魔力弾による追撃に飽きたのか、やり方を大きく変更する。具体的には追撃に使っていた魔力弾をクロエから見て後方へも展開する。


「ちょっと。それはやり過ぎじゃない?」


「ルールの範囲内だぞ」


前方どころか後方からも飛んでくる魔力弾にクロエはキャパオーバーになりながらも必死で回避して徐々に範囲外へと後退していく。その視覚のみでは限界を越えた魔力弾にクロエは抗議するが、アーバスとしては代表戦のルール内であることを伝える。魔力弾の回避で精一杯で隙だらけのクロエにアーバスは大丈夫かと疑問に思いつつも、自分はここから動かないと決めていたので何回攻撃を当てれるか数えながらクロエの回避を見守るのだった。


「よし、10分経過だ。5分反省会した後にサポーネの番を始めるぞ」


「ハァ‥‥ハァ‥‥」


アーバスは10分経ったことを確認するとインターバルの時間へと入る。インターバルでは先程の10分の反省会を行う時間にするつもりだったのだが、クロエは息切れするくらいには疲労していたのでアーバスは本当に反省会をしていいのか迷ってしまう。


「いいよ‥‥私は大丈夫だから遠慮なく言ってね」


とクロエがそんな事を言う。アーバスとしては次のインターバルでも良かったのだが、本人がそう言うなら始めようか


「まず、攻守のバランスだが、剣術の腕は問題ないが魔法の頻度が少ないな」


「総合戦と言っても近接戦メインだもん。魔法の割合は減るわよ」


総合戦は見ている分には近接戦に魔法が混ざった感じに見えてしまうのだが、実際は別物だということをクロエは理解していないようであった。


「総合戦というのは魔法で牽制しながら近接戦で戦う競技なんだよ。魔法の技量次第では上級魔法で攻撃しながらになるから魔法が当たって勝敗が着くということも珍しくないみたいだな」


「ということは魔法と剣の両方を使いながら戦うってこと?」


「そういうことだ。次の10分では魔法を使いながら戦ってくれ」


「わかったよ。次は意識して戦うね」


クロエの戦いを見ている感じでは魔法と剣を混ぜながらというのはやったことはなさそうなのでこれから意識しての練習となりそうだな。威力の低い初級魔法でも当てることが出来ればダメージが入るからな。ダメージさえ入ればその蓄積で有利に戦えるので総合戦では必須の技術だとアーバスは思っている。


「後は魔力感知や索敵を使って後ろの魔法を躱して欲しかったが、出来ないんだろ?」


「よくわかったね。後ろの魔法は気づくことは出来るけど射線までは確認できないんだよ」


「なら、次も同じようにするから回避も頑張ってくれ。それで少しはマシになるかもしれん」


クロエはアーバスの指摘にお手上げとばかりに本当のことを話す。クロエの魔力弾の回避の仕方でそれがわかったのだが、総合戦だとそれも課題になるな。ただ、それも1ヶ月で直せるものではないものだからそのままで本番に挑んでもらう形になりそうだな。


「さてと、初回の反省会はこの辺りにして次はサポーネの番だな」


「は、はい。お手柔らかにね」


今さっきの10分のせいで怖い印象を植え付けてしまったのかサポーネがビビりながら答える。アーバスはそんなサポーネを不思議に思いながら練習を始めるのであった。

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