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316話 最強の力

アーバスはエルダーデスウイッチが消滅したことを確認するとふーっと息を吐いて緊張を解く。


(やっぱり、やり過ぎだったか)


とアーバスはエルダーデスウイッチを倒してから後悔をする。相手が強すぎたからと契約の指輪を開放して全力を出したが、全力を出さなくても魔力の無限供給だけで十分バランスは取れていただろう。


「サーラ、終わったぞって何しているんだ?」


とアーバスはサーラの方を向くとサーラは今にも吐きそうな様子で突っ立っていたのである。アーバスはそんなサーラに疑問を思いながらもサーラは吐きそうなのを抑えてアーバスに話しかける。


「すいません。あまりにもその魔力の刺激が強すぎまして、抑えてもらってもいいですか?」


「おっとすまないな」


サーラの言葉にアーバスは今更気付いたようで周辺に展開していた自身の魔力を消すと同時に契約の指輪も封印する。といっても具現化していないだけでもし、アーバスの身に非常事態が起きれば勝手に具現化されるんだけどな。


「すぅ~、はぁ~。ありがとうございます。少し落ち着きました」


「少し休憩してくれ。宝箱を開けてくる」


とアーバスは少し落ち着いたサーラを休憩させると自身はエルダーデスウイッチからドロップした宝箱の元へと向かう。


(やっぱり、虹色だよな)


出現した宝箱は虹色であり、その強さからやはりエルダーデスウイッチはイレギュラーボスであったと理解させられる。


(何か欲しい物ってあったかな?)


最近までは所持していない属性の属性剣が欲しいと思っていたが、リリファスからの貸し出し分を込みにして全て揃ってしまったからな。どうせならアミール達にも習得出来るような装備が欲しいなと考えるのだが


「ないな」


少し考えたが、現状欲しいと思えるものがなかったのである。アーバス自身も欲しい装備はないのでアーバスは無欲で宝箱を開ける。


「銃か?エクストリームでもドロップするんだな」


宝箱に入っていた武器は銃だった。ダンジョンで銃の武器がドロップするといえばスタンライフルしかイメージがないので、もしスタンライフルとしたら被りとなってしまう


(絶妙に困るところが来たな)


何せアーバスが持っているスタンライフルはノーマル産ではあるものの、ほぼ理想値のスタンライフルなのである。エクストリーム産のスタンライフルが来ても有り難いのだが、今のスタンライフルはエバクに強化してもらってエクストリーム産相当になっているから必要ないんだよな。


「んあ?なんだこのスキル」


アーバスが鑑定に掛けるとチェインガンという名前と共に『シャドウバインド』という謎のスキルが表示されたのである。聞いたことのないスキルにアーバスは困惑しながらシャドウバインドの効果を確認すると


(そういうことね)


アーバスは説明を見て納得する。どうやら特殊属性に含まれるもののようで効果は当たった敵を一定時間身動きを取れなくするものらしい。系統としては麻痺やスタンと同じようなスキルだろう。


(バインド値みたいなものってあったかな?)


鑑定と看破を使用した時にスタンや麻痺といった特殊属性の耐性値を確認することができるのだが、その欄にバインド項目は無かった気がするな。


(とりあえず当たりということで)


今日はこれ以上モンスターとの戦闘はないので検証のしようがないのでアーバスはチェインガンをアイテムボックスへと仕舞うとサーラの元へと戻る。


「落ち着いたか?」


「えぇ。戦闘は出来ないですけど、歩く分には大丈夫です」


「もう少しゆっくりしてもいいんだぞ」


とりあえず歩けるくらいには回復したみたいでサーラは階段へと向かって歩き出す。アーバスは魔道具を取り出して残り時間を確認すると残り時間は5分程あるのでもう少し休憩してもいいんだけどな。


「そうですが、先にダンジョンのクリア報酬を回収した方が良いのではないですか?」


「それは………そうだな」


一応シエス達からダンジョン攻略時間を引き伸ばす魔道具を全て押し付けられているので後数時間は大丈夫なんだが、サーラには言ってなかったな。勝手に時間を引き伸ばしてシエスに怒られるのも嫌なのでアーバスは賛成すると一緒に歩き出す。


「あれがメルファス最強の力ですか」


「そうだ。といっても攻撃の方は全力ではないけどな」


攻撃の方は魔力弾と属性付与だけだったが、その制圧力と特殊な魔力はアーバスの全力そのものだったのには変わりない。


「それでもです。あの魔力で一気に流れが変わりましたからね」


「むしろこの魔力がないと勝てなかった敵の方が多いけどな」


なんせアーバスの強さの根幹となるものだからな。もし、この魔力を対策されるようなものが出てしまったらアーバスは最強の座から陥落するだろうと思っている。


「そうでしょうね。あんな高密度の魔力なんて初めて見ました」


「魔力もそうなんだが、魔力酔いしたのはまた別の問題なんだよ」


アーバスの系統外魔力は他の人の魔法に干渉出来るせいで周囲の人間やモンスターは必ず魔力酔いをしてしまうからな。


「そうだったのですね。というか何でそんな魔力が使えるのですか?」


「生まれつきなんだよ。むしろ普段使っている属性の方が新しく習得した属性なんだ」


むしろ、普通の属性の方が習得するのに苦労したからな。今でこそ魔力消費が気にならないくらいまで減ったが、習得した当初はあまりに魔力消費が多すぎて困った経緯があったりするのである。


「というか私の前で見せて問題無かったのですか?ジョーカーの魔法は特殊なので誰にも見せていないと聞きましたが」


「そうでもないぞ。俺の魔法を知っている13聖人は何人かいるからな。単独行動の理由はさっきみたいな魔力酔いが起こるから連れて行けないだけだ」


メルファスの面子を連れて行くと13聖人であっても魔力酔いをしてしまうからな。その点トゥールの幹部だと誰も魔力酔いをしないので大罪人は例外なんだなと思っている。


「宝箱ですね」


話をしながら階段を降りきると転移陣と宝箱が出現していた。レベル1の時は2つあった宝箱だが、今回は1つだけみたいだな。


「サーラ、開けるか?」


「いいのですか?」


「俺はもう開けたからな」


とアーバスは宝箱をサーラに譲る。ここ最近の道中のモンスターはサーラがある程度倒しているし、アーバスは既にエルダーデスウイッチから出た武器で満足しているからな。


「装飾品ですね」


「ブレスレットか」


どうやらドロップしたのはブレスレットの装飾品みたいだった。アーバスはサーラからブレスレットを受け取ると鑑定を始める。


(なんだこれ?)


鑑定して出たスキルは魔導というスキルで、パーセンテージは50%と普段ドロップする装飾品よりも少し低い目なのだが、それよりも詳細がわからないので何が上がるかがわからないのである。


「外れでしたか?」


「済まない。それすらわからないんだ」


とアーバスはサーラにスキルを説明する。といっても説明のしようが無いのだが…


「魔導ですか。私も知りませんが魔法に関係してそうですね」


「俺もそう思うな。もしかしたら複合スキルかもな」


複合スキルだったらその名前が知られていないスキルが多いのでもし複合スキルだったら複合されているものによっては大当たりとなる可能性が高いな。


「それは明日以降に検証ですね」


「そうだな」


今日はこれ以上ダンジョンの攻略はしないからな。アーバスとサーラはそのまま転移陣へと乗ると地上へと戻っていったのだった。

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