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299話 驚愕の強さ

「アミール、そこでストップだ」


「わかったわ」


アーバスはブルーホースとの距離が近くなった地点でアミールに止まるように指示する。まだブルーホースは見えてはいないものの、あまりに近すぎるとブルーホースに見つかってしまう可能性があるので少し距離の離れた場所で作戦会議をすることにしたのであった。


「ポジションと作戦会議を行う」


とアーバスは慣れた手つきで作戦会議を始める。普段ならポジションの確認はしないのだが、今回はジテコンがいるのでポジションの確認もついでに行うことにしたのだ。


「まずは各自役割の確認だ。まず、アミールは前衛アタッカーをリンウェルはアミールの補助に回ってくれ」


「わかったわ」


「いつも通りやな。了解やで」


前衛はダンジョンと同じようにメインアタッカーがアミールでリンウェルがサブアタッカーだな。相手はAランクモンスターで外の世界ではあるものの、ダンジョンと同じ配置と役割なら問題ないという判断だな。


「後衛はサーラ任せた」


「はい。任されました」


ヒーラーとバッファーもサーラに任せる。障壁も最初はサーラに任せるが必要に応じてアーバスが介入することになるだろう。


「後は注意点だが」


「ちょっと待ってくれ」


とブルーホースの説明に入ろうとしたところでジテコンからストップが掛かる。何か問題のあるところがあっただろうか?


「アーバスくんは何もしないのか?」


「そうね。アーバスは非常時の戦力だから戦闘は基本的には私達だけね」


とアーバスに何の役割もないところにジテコンは違和感を覚えるが、アミールがいつもそうだと言うと何とも言えない表情になって黙ってしまう。ジテコンが静かになったのでアーバスは途中で遮られてしまったブルーホースの説明を再度始める。


「以上だ。何か質問はあるか?」


アーバスがブルーホースについての説明を終えて質問がないかを確認すると誰も手を上げることはなかった。今日はダンジョンではなく外なのでもう少し詳しい説明を聞いてくる人がいるのかと思っていたのだがどうやらそんなことは無かったらしい。


「無ければこれよりブルーホースの討伐に行くぞ。ここからは集中するように」


アーバスは再度パーティーメンバーの気合を入れ直すとブルーホースへ向けて再度進んでいく。


「見つけたわ」


「わかった。サーラは障壁を展開した後にバフと回復を、アミールとリンウェルはバフと回復が付与され次第戦闘を始めてくれ」


「「「わかったわ(で)(した)」」」


と3人は返事するとサーラは真っ先に障壁を展開する。


『オールアップ』、『オートキュア』


障壁の展開を確認するとサーラはバフと回復をパーティーメンバー全員に付与していく。ジテコンはその手際の良さとバフと回復の質に無言でありながらも驚いているみたいだった。


「行ってくるわね」


とアミールはそう言うとブルーホースへ向けて駆け出していく。


「なぁ、こんなことを言うのは良くないと思うのだが、本当にアミールが前衛で大丈夫なのかい?」


とジテコンは隣にいるアーバスに向けて質問する。それを聞いたアーバスは面倒臭いと思いないがらも直接答えるのではなくジテコンに質問を返す。


「ジテコンが最後に見たアミールはいつなんだ?」


カーン領主は議会が近かったからかはわからないが個人戦のエキシビションの場には顔を出していたみたいだからな。もしかしたらジテコンもその場に一緒に居たのかもしれないと思いアーバスは確認をしたのであった。


「入学する少し前だね。その頃は確かに実力ではSランク相当ではあったものの、属性が足りなくてAランクすらなれてなかったはずだ」


「そうか。なら何も知らないんだな」


どうやらジテコンは代表戦でのアミールの様子は知らないみたいだな。アーバスとしては残念ではあるものの、これからジテコンが驚くような展開が待っているかと思うと笑みが浮かびそうだったのだが、アーバスはそれを表情に出さまいと必死に我慢する。


「それがどうしたんだい?たった数ヶ月で変わるなんてこと…………」


と言いかけたところでアミールがブルーホースを射程に捉えると腰に差していた鞘から剣を引き抜く。今回はブルーホースの討伐ということで今は誰も使っていない雷刀をアミールに貸していたりする。アミールは雷刀に魔力を通すと雷刀はその刀身に雷を帯び、更にアミールから供給される雷属性付与で雷がより一層激しさを増す。


「でりゃあああぁぁぁぁぁっ」


「ヒーン」


それにようやく気付いたブルーホースは戦闘態勢を取るのだが、気づくのが遅かったこともあってかアミールの一撃を避けることが出来ずに攻撃がクリティカルヒットする。


「アミールが雷属性だと………」


「アーバス、ちょっと刺激が強すぎたのではないですか?」


「そんな訳無いだろ。あれくらいで驚かれては困るんだがな」


アミールが雷属性を操っていることに驚愕するジテコンにサーラはやり過ぎだとばかりにアーバスの方を見るのだが、アーバスはこれくらいは序の口だと言わんばかりの言い方をする。他の事に比べたら雷属性の習得など可愛い?のではあるが、何もジテコンからすればたった数ヶ月で他の上位属性を扱えるなんて思ってもいなかったであろう。


「どういうことだ。アミールがいつの間に雷属性を…………そうか、さてはアーバスあれは属性付きの剣だな」


「違うぞ。あれは属性剣だし、アミールはとっくに雷属性をマスターしているぞ」


とアーバスは追い打ちを掛けるようにジテコンに事実を伝える属性付きの剣でもあれくらいの火力を出せないことはないのだが、それだとアミールが氷属性ではなく雷属性を付与していることの説明になっていないんだよな。


「マスターだと………そんなの数ヶ月でマスターできる理由ないだろ?」


「いえ、1ヶ月もあれば可能ですよ。私も1ヶ月で習得致しましたよ」


と現実逃避を続けるジテコンにサーラまでも追撃を放つ。アーバスに刺激が強すぎると言った割にはサーラも刺激の強い事を言うな。


「嘘だ。普通は習得に1年掛かるはずだ。どうなってやがる」


「そこは企業秘密だから聞かれても答えることはできないな」


厳密には口止めされていて公言できないだけだけどな。そんなことをジテコンは知らないし知る必要が無いのだが、迂闊に漏らすと何処から広まるのかわからないからな。


「何か普通のパーティーみたいなことを言っていたがどう見ても普通じゃないじゃないか」


「不正な手段で強くなったわけではないからな。だから誰でも再現できるぞ」


「ただ、条件は教えれないということだね」


「そういうことだ」


不正をしていないので条件さえ整えれば誰でも同じように1ヶ月で属性を習得することは可能だからな。ただ、前提条件となるエクストリーム産の属性剣かそれ相当に強化された属性剣を持っている必要があるが、その為にはエクストリームに入る必要があるので普通の学生には無理な話だけどな。


「それと気になっていたのだがアミールの出力が明らかに上がっているよね?」


「というより無駄が無くなっただけだけどな」


と雷属性のことで動揺していたジテコンだったが、少し冷静になったところでアミールの魔力が明らかに向上していることに気付いたみたいでアーバスに聞いてくるのでアーバスは簡潔に答える。


「どういうことだ?初等部の先生や俺達の先生ですら魔力操作を教えることが出来なかったんだぞ?」


「そりゃ理論派には無理な話だからな。アミールなら理論派よりも感覚で教える方が一番だからな」


先生のような理論だけでアミールに教えようとしたらアミールがキャパオーバーでフリーズするからな。それなら理論を教えずに感覚で教えた方がマシだからな。


「何かとんでもないことを言ってないか?」


「そうでもないぞ。ただ、先生気質の人は一生理解出来ないのかもしれないけどな」


と全く理解が出来ないジテコンをアーバスはやれやれといった表情で眺めるのだった。

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