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29話 レア度+1の効果とは?

「やぁっ」


アミールがコボルトを斬りつけるとコボルトは光に還る。11層目からはコボルトとウルフの混合で、これまで倒してきたモンスターである。ただ、混合は初めてなこととこれまでより若干強化されており、同じだと思って戦うと苦戦する敵ではあるな。


「またドロップなしね」


「そうですね」


「不思議だな」


現在は12層目で前の11層目も同じ敵であったが、11層目ではドロップはなく、現在でもまだドロップはなかった。

レベル6以降は宝箱や素材の違いはあったが、1層で何かしらのドロップがあったのがそれがピタリと止まってしまったのだ。


「その指輪が悪いんじゃないの?」

 

アミールはアーバスの着けている指輪に目を向ける。確かに違いと言えばこの指輪しかないのだが、たった1層でその指輪のせいにするのは可愛そうだった。


「アミールが着けろと言ったんだけどな。嫌なら外そうか」


元々この後のエクストリームで試すつもりだったものなので外しても別に良いと思っていたのでアーバスはそう言ったのだが。


「冗談よ。どうせ良いドロップ無かったのだから丁度いいわ」


アミールはそう言ってダンジョンを先へと進む。ただ、アミールが少し悲しそうなのは気のせいなのか?ウルフからは確率が低いとはいえ宝箱がドロップしていたのでそれがドロップしなくなったので落ち込んでいるのだろうか。


「それにしてもどんな効果なんでしょうね?」


「さぁな。未検証のスキルだから何が起こっても不思議じゃないけどな」


そうこうしている内に再度ウルフとコボルトがエンカウントする。今回のモンスターも前までの階層より少し強化された個体だったが、アミールは関係なく普通のウルフとコボルトを倒していく。そして全部倒し切ると最後に倒したコボルトから宝箱がドロップする。


「これ…宝箱よね?」


「確かにそうだが…」


ドロップした宝箱にアミールは困惑し、アーバスも思わず鑑定の魔法をかける。困惑するのも無理もなく、ドロップした宝箱の色が銅色だったからである。宝箱と言えば木箱で普通であり、他の色があるという報告はこのレベルでは聞いたことがない。アーバスもドロップはしたが、宝箱に擬態するモンスターであるミミックを疑って思わず鑑定の魔法を使ったのくらいだ。結果はただの宝箱だったのだが…


「アーバス。とりあえずこれは宝箱?なんですよね」


「鑑定したが間違いないな。中身まではわからないけどな」


宝箱は外からわからない構造であり、例え鑑定の魔法を使用したとしても中身が何か見ることはできないのである。


「とりあえず開けて見るわね」


アミールは困惑しながらも宝箱を開けるとそこには装飾品であるネックレスが入っていた。ただ、そのネックレスは普通のとは違い金色で装飾されていたのである。


「初めて見るわね」


「だな。ちょっと豪華だから性能がいいのかもな」


なんせエクストリームのモンスターは倒してドロップするとクリスタルの装飾品だしな。性能も破格だしな。アーバスは鑑定で性能を確認するとその良さに驚愕する。


「嘘だろ…」


「どうしたのアーバス?」


「そんなにいいのですか?」


あまりの性能の良さに鑑定結果を二度見してしまう。その反応を見てアミールとサーラは期待の意味を込めてアーバスに質問をする。アーバスは2人を見て冷静になると性能を告げる


「鑑定の結果は魔力増幅15%だおめでとう」


鑑定結果はまさかの魔力増幅でしかもパーセンテージは15%でこれは現在の最高到達点のハードのレベル1でドロップするものと同じくらいの破格の性能である。


「凄いじゃない。最高に近い性能よ」


「そうですね。買うとなると幾らになるかわかりません」


魔力増幅は人気な為にドロップすれば結構な金額になりやすい。これは魔法を使う上では必ず使うものである為で、同じ理由で魔力消費もその傾向だ。今入手出来る上限は20%だろうと言われており、市場での最高級品は15%〜18%である。


「それの相場って幾らくらいなんだろうな」


装飾品は生産しかしていないから買う機会が無かったからなあ。後でルーファにでも聞いておこうか。ダンジョンに潜る以上は装飾品のレートは知ってて損はないしな


「売らないわよ」


「誰が売るって言ったんだよ」


このパーティーではドロップはドロップ者が権利を持っており、売却した資金や他の人が使える武器などはその都度優遇する取り決めをしている。単純に幾らか疑問があるくらいでそれ以上に他意はねーよ。


「アーバスなら普通に売り飛ばしそうだもん」


「なんでだよ。というか学園って買い取ってくれるのか?」


学生がドロップしたアイテムは原則学園が買い取ることになっている。これは商会へと買い取りに出した時に買い叩かれることを防ぐ為で、過去にそういったことがあったそうでそれから学園が買い取る形になったという歴史がある。一応自己責任という形になってもいいなら商会との売買をしても大丈夫なのだが、こちらは買い叩かれても学園側は手助け等をしてくれないので注意が必要だ。

ただ、最高級品となると買い取りでも結構な額が行きそうなので学園の経営が大丈夫か心配になる。


「高額すぎる場合は商会経由でオークションになるみたいですね。落札後、商会へ幾らかは手数料として引かれますがそれでも普通のオークションと比べて手数料は少ないらしいですよ」


「それなら安心か」


どうやら1ヶ月に一度学生オークションが開催されているみたいで、ここに全国の学生がドロップしたレアアイテムが集められるみたいだ。落札側も手数料が少なく、相場より安価に落札できることから結構人気だそうだ。


「売らないわよ」


「わかったから、先へ行こうか」


アミールは絶対に売りたくないらしくまた言ってきた。アーバスはそれを宥めると先へと進む。次の13層目からはハイウルフやハイコボルトがたまに1体出現するようになったが、最初にエンカウントしたハイコボルトは倒しても宝箱や素材はドロップしなかったが、次にエンカウントしたハイウルフからは宝箱がドロップした。


「やっと2つ目か」


「結構かかったわね」


「もう階段も目の前ですからね。」


14層目の階段を目の前にした最後のエンカウントで宝箱がドロップしたのでアミール達からはやっとかという表情だった。宝箱はまた銅色で先程のドロップが良かったので期待ができるな。


「銅色よ。また良いのが入ってるんじゃないかしら」


「前回だけの可能性もあるから何とも言えんな」


「そうですね。期待しすぎない方がいいかもしれません」


アミールは期待しながら宝箱を開けるとそこに入ってたのはまたもや指輪だった。ただ、さっきのとは違って普通の色だな。アーバスが鑑定するとやっぱり現実は甘くない数字だった。


「効果持続0.5%、普通だな」


「なんで銅色なのに普通の装飾品なのよ」


「普通はそうですよね」


アミールは何で普通の装飾品で怒ってるんだよ、そんな簡単に最高級品が出たら相場が崩壊するだろうが。それでもさっきみたいな0.01%が出るよりかは遥かにいいんだけどな。


「それでもなんで下級品なのよ。中級品くらい出なさいよ」


「知らんがな」


下級品とは5%未満のものであり、主に低レベルのダンジョンからドロップするものだな。それに比べて中級品は5%〜10%未満の代物である。下級品だと買い取りに出してもそこまで値段がしないのであるが中級品だと安定してドロップ出来れば生活に困らないくらいには稼ぐことが出来るようになる。


「アミールが欲を出すから嫌われたんじゃないですか?」


「サーラは中級品が欲しいとは思わないの?」


「中級品を出すにはダンジョンのレベルが低いですからね。ダンジョンに入れるレベルを上げるのが先です」


本来中級品がドロップするのはレベル30を超えた辺りからで安定して中級品を出そうとすればレベル50を越える必要があるらしいからな。


「アミールは高望みしすぎです。Dランクモンスターから最高級品が沢山でたら冒険者がいなくなりますよ」


「そ、それはそうね」


探索者よりも冒険者が多いのは単純に実入りの良さの違いだ。同じランクのモンスターでも得られる収入が全然違うのだ。Dランクのハイウルフを例とすると探索者ではハイウルフからのドロップだけでは生活するには難しいのであるが、冒険者だとハイウルフだけを狩り続けるだけで普通の生活が出来てしまうのだ。この違いは命を落とす危険性があるかどうかと、外の世界ではモンスターによって実際に市民や農作物などに危害が出たりするので、脅威を排除することによって国やその土地を収めている貴族からの報奨金が入ったりするのだ。

これにより、探索者より冒険者の方が志願者多く、逆に冒険者が探索者になろうとしてもレベル1から上げないといけないので冒険者から探索者になる人間は極少数なのである。


「だから今はドロップに文句を言わずにレベルを上げることを優先したほうが良いぞ」


「わかったわ」


「それなら次の階層へ進みましょ」


サーラがそう言って次の階層へと行こうとする。ただ、既に手遅れなんだよなぁ


「囲まれてるぞ」


「「!?」」


その言葉に2人は驚いて周囲を見る。そこにはウルフとコバルトが合計で20体おり、その中にはハイウルフとハイコボルトも1体ずつ確認できる。


「アーバス、何よこの数は」


「なんで教えてくれなかったのですか?」


アミールとサーラから非難されるがそもそも気付いてなかったのか…

とはいえ障壁はしっかり張っていたのでダメージは全くないし、半径10メートル以内は障壁のせいでこいつらは侵入できないけどな


「とりあえず対処は任せるぞ」


俺が出る理由はないからな。むしろこれくらい対処してくれないと困る


「サンダーレイン」


サーラが魔法を発動する。雷の雨はアーバス達の障壁を中心に降り注ぎ、コボルトや、ウルフを次々と倒していく。


「私の出番ね」


ある程度の数が減ったところでアミールが障壁から出て、残ったコボルトとウルフを狩っていく。最後にハイコボルトとハイウルフが残ったが、どちらも禄に抵抗できずに倒されていってしまった。


「宝箱はなしか」


「そうみたいですね」


20体もいれば1つはドロップするとするとは思ったんだな。そう甘くはなかったか。ハイ系統を倒せば2回に1度目くらいは宝箱が落ちると思ったんだけどな。思っていたよりももっと低確率なのかもしれない


「気を取り直して次の階層へ行こうか」


「そうね。行きましょ」


気を取り直してアーバス達は次の階層への階段を降りるのだった。

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