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27話 リポップ

「サンダーレイン」


「凄いな。もう中級魔法を使えるようになったか」


「まだ補助なしでは使えませんけどね。この剣のおかげです」


サーラの唱えた魔法でウルフ達が光へと還っていく。今はダンジョンの7層目でサーラは雷刀の補助機能付きではあるが、中級魔法が使用出来るまでになっていた。雷属性の習得に不向きがそこまでない聖属性だが、それでもこの習得速度は異常だった。

 

「その属性剣はどれだけ優秀なのよ。いったいどこから入手したのよそれ」 


「俺も出どころはわからないな」

 

エクストリームでドロップしたなんて到底言えない。現在の探索者の最高レベルがハードのレベル1だからな。仮にエクストリームのレベル1でドロップしたことを言っても信用されないだろう。


「この調子だとレベル7をクリアする頃には上級魔法まで覚えるかもな」


「雷属性よ。それは早すぎない?」


そうなっても不思議じゃないくらいには習得速度が早いからな。最低でも次の代表戦までには覚えていそうだな。そうやって歩いている間にまたしてもウルフがエンカウントする。数は6体、来たと同時にサーラが魔法を放つ


「サンダーレイン」


上空より雷の雨が降り注ぐ。ウルフ達は横に避けたりとしながら回避しようとするが、避けきれなかったウルフ4体に雷が直撃し、光へと還る。


「やぁっ」


残ったウルフもアミールの攻撃で光へ還っていった。うん、道案内以外何もすることがないな。その後の道中も特に苦戦することなく順調に倒していく。アミール達の戦闘を見ながら次の階層へのルートを調整している時だった。


「!!!」


いきなり真後ろにモンスターの反応が出てきたのだ。アーバスは反射的に魔法陣を3つ展開して魔力弾を発射する。

出現したモンスターは抵抗出来ずに魔力弾を受けて宝箱を残して光になって還っていく。


「何だったんだ今のは」


モンスターの姿を見ることがなく光へ還えしてしまったので何のモンスターかわからなかったが、ここにいるウルフよりも強いモンスターだったのは確かだった。


「アーバスどうしましたか?宝箱…」


サーラもアーバスが後ろを振り向いたので問いかけながら後ろを振り向くと宝箱があったのでサーラも言葉を失う。


「アーバス、サーラどうしたの?って何で宝箱があるのよ」


ウルフを倒しきったアミールもやってきて宝箱の存在に気付く。

やっぱり見間違えじゃなんだな。


「モンスターが出てきたから倒したんだ。急に出てきたからどんなのかは見てないけどな」


何故直前まで一切気づかなかったのか不思議だ。真後ろでリポップした可能性が否定できないがそれでも普通のウルフよりも強かったのが不思議だ。


「私は全く気付いてないわよ。サーラは?」


「私も気付いてないですね。もし、アーバスが居なかったらやられてたかもしれませんね」    


アミール達も気付いてないらしい。索敵で確認しているから知っているが、モンスターは定期的にランダムでリポップはしているみたいなのである。今回みたいに真後ろや周囲にリポップしたのは初めてだけどな。


「気にしても仕方ないし、とりあえず宝箱開けるか」


考えれば何でもあるのでアーバスは思考を放棄して宝箱を開けることにした。宝箱自体は普段見ているのと変わらないのが救いだな。

宝箱を開けるとそこにはネックレスが入っていた。ネックレスは昨日続いて2つ目だったのだが、問題は性能だった。


「なんだこれ?」


スキルには【レア度+1】とだけ書かれており、鑑定をかけても[レア度が+1される。]としか書かれていなかった。アーバスの全く知らないスキルであり、どういう効果なのか全くわからなかったのだ。


「アーバスどうしたの?」


「なんかよくわからないスキルが出たんだ」


「どんなスキルなの?」


困惑しているアーバスにアミールが聞いてくる。アミールやサーラが何か知っているかもしれないので聞いてみる。


「レア度+1っていうスキルらしいんだが何かしっているか?」

  

「私は知らないスキルね。サーラは?」


「私も初めて聞きますね」


アミールとサーラも初めて聞く名前らしい。とりあえず、よくわからないのでここで装備するのはなしだな。悪い方向へといったら困るから実験するなら1人になった時につかわないとな。

1人なら周りに迷惑にならないからな。どうせならエクストリームで試してみてもいいかもな


「えぇ。仕舞うの?」


「あぁ。悪い方向にいったら困るからな。調べてからでも遅くはないだろう」


調べるだけなはそこまで時間はかからないしな。何ならルーファやシエスに聞いてみるのもありだな。


「取り乱してすまないな。先へ進もうか」


アーバスは気を取り直してダンジョンを進んでく。


(それにしてもなんだあれ、ゴーストの類いなら魔力弾では落ちないしな)


ゴースト系はとの特徴から壁をすり抜けることが可能で、ダンジョンの階層の移動なら可能ではないかとアーバスは思う。


(ただ、魔力弾は無属性だったからゴースト系の特徴と一致しないんだよな)


ゴースト系の弱点は光属性であり、それ以外の属性は直撃してもノーダメージかすり抜けるかしかないのである。アーバスも実践でゴースト系と何度も戦ったことはあるが、全て光属性じゃないとまともなダメージを与えることが出来なかったからな。

むしろゴースト系に対応する為に光属性を習得したといっても過言でない。


(あり得るとしたら変異種で弱点属性が変化したパターンか。でも、今のところはゴースト系は見てないしな)


現在7層目であるが、ここまでゴースト系のモンスターは確認されてない。ただ、下層で出てくる可能性が否定出来ないので聞いてみる。


「サーラ。レベル7ってゴースト系は出てきたりするのか?」


「私は聞いたことがありませんね」


サーラでわからないか。つまり隠し扉の先にいるゴースト系が脱走してきたか、それ以外のよくわからないモンスターかだな。


「アーバスはゴースト系だと思っているのですか?」


「その方が考えるのが楽なだけだ」


隠し扉のボスの方に賭けたくなるな。よくわからないモンスターだった場合は常に警戒はしている索敵のレベルを更に上げる必要が出てくるのだ。索敵って低レベルだとそこまで魔力は食わないが高レベルになると維持し続けると結構魔力を持っていかれるんだよな。


「ちゃんと警戒度は上げておくから安心してくれ」


「アーバスがそういうなら良いのですが」


サーラも不安ながらも安心してくれるようだ。奇襲はあるかもしれないと思ってはいたがレベル7からあるとはな。

その後はウルフはしょっちゅう出てくるのだが、さっきの奇襲してきたモンスターは一切出てくることはなかった。


「サーラ、雷魔法には慣れてきたか?」


「そうですね。まだ、細かいコントロールはできませんが使う分には問題なさそうですね」  


中級魔法のサンダーレインは雷を降らせる魔法であるが、他の範囲魔法とは少し違う特性があったりする。普通の範囲魔法なら範囲を指定するだけでそれ以上細かい指定は出来ないのだが、サンダーレインはその降らせる雷の場所もコントロール出来たりするのだ。

ただ、これには高度な魔力制御が必須なので出来る人間がそもそも少なく、またそもそも制御出来ることを知らない人が多いのだ。これは雷属性が風属性の上位属性であり、そもそも使える人が少ないのも原因だったりするが


「覚えたばっかりの中級魔法でここまで出来るなんて凄いな」


「いえいえ。全てはこの剣のお陰ですよ。この剣がなければ雷属性を覚えようとは思わなかったですし」


「たまたま、良いものが出てきただけだ」

 

習熟度がここまで早いなんてな。まだ、中級魔法を完全習得した訳ではないし、サーラっていうこともあるが、1日で中級魔法を使えるようになるなんてな


「ただ、昨日出てきた杖の出番がなくなったのはちょっと寂しいですけどね」


「雷魔法を満足いくところまで覚えたらまた使ってあげればいいさ」


「そうですね」


雷刀のせいで杖の出番が無くなってたな。サーラからしたら初めてドロップした武器だから愛着が湧くのも仕方ないと思う。でも、属性剣は魔法を覚えたら後は出番がなくなるので暫くしたら使う機会が出てくるだろう。最終的に使うとしたら俺かアミールだしな。


「ところでアーバスあれからどうですか?」


あれからとは奇襲の話だろう。


「特にそれっぽいのはいないな」


今は8層目まで来ているがそれっぽいモンスターはまだ見つかっていない。隠し扉もあるか探しているのだが、7層目、8層目共になかった。エクストリームような索敵妨害で隠し扉の部分が見ることが出来ない可能性はあるが、他の階層では隠し扉から先も見ることが出来ているので確率は低いと考えた方がいい


「やっぱりイレギュラーか」


「そんなに強かったのですか?」


サーラがそんなことを聞いてくる。そういえばどの程度が行ってなかったな。


「スライムキングと同じくらいの強さだったな。ただ、敵を確認する前に反射的に倒してしまってな」


「スライムキングレベルのモンスターを速攻で倒したのですか…」  


サーラが訝しげな目でこちらを見てくる。すまない、魔力弾を制限なしで使った場合、Aランクのモンスターくらいならあれだけで倒せてしまうんだ…


「だからサーラ達には任せるのは危険だし、ましてや奇襲だったからな」


スライムキングなんて攻撃を完全に防いで一方的に攻撃したからな。それくらいお膳立てしないと今のアミールやサーラでは有利な属性じゃない限り安定して倒すことが出来ないからな。


「そうですね。私やアミールだと、今の状態では相性が良くないと倒すのは厳しいですからね」


「そういうことだ」


もう少しレベルが上がると安定して勝てるとは思うけど今はまだ実力を更につける必要があるからな。そんな話をしていると9層目へと繋がる階段が見えてきた

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