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242話 上位天使ミゲール

「半分か。上等だな」


アーバスは自身が放った魔法と主砲の一斉射で討伐数を数えて満足する。先程の攻撃によって倒れた天使の数は65体で、天使達はいきなり消えた味方に一瞬、動揺するものの何事も無かったかのように隊列を組み直すとアーバス達の方向へと進み始める。


「主、後は次元艦隊のみで倒せますので艦橋へ戻って頂いて大丈夫です」


「そうか。少ししたら戻るから、キリコは引き続き指揮を続けてくれ」


アーバスはキリコにそう言うと屋上で戦闘の状況を見守りながら索敵を続ける。アーバスがここに留まるのは戦闘機が優勢に戦闘を運べるのかを見たいのもあるが、それよりも気になることがあったのだ。


(親玉はなしか)


天使というものは個別に人間界へと降りてくることはなく、何かしらの理由があってやってくることが大半だ。その規模は様々で大抵は10体程度なのだが、今回みたいな100体規模となると天使だけということはなく、必ず親玉の上位天使が指揮をするといった形でやって来るのだ。


(もしかしたらさっきので倒れたか?)


上位天使は天使の大部隊の時には必ず何処かへ隠れており部隊が減ってから突如として現れるのがいつもの流れなのだが、今回はその現れるラインである半数を割っているにも関わらず姿を一切として現さなかったのである。なので変なところに出現していないかと索敵魔法で次元艦隊の周辺や天使部隊の周りなどを調べていたのだが、今のところそれらしき反応を見つけることが出来なかったのである。

なのでアーバスは先程の攻撃の際に巻き込まれて倒されてしまったのかと思ってしまったのだが、上位天使がいなければさっき部隊が崩れた際に部隊の再構成が行われずにバラバラになってしまうはずなので、上位天使はまだ生きているだろうと仮定する。


「キリコ、聞こえるか?」


「何でしょう主」


「上位天使がまだいる可能性が高い。現れたら俺が相手するから戦闘機は他の天使の討伐を優先してくれ」


「わかりました。戦闘機達にも警戒するようにと伝えておきます」


ここまで姿を現さないということは上位天使は何かを狙って隠れていると見て良いだろう。そうなると狙いは数を減らしている天使を狙って来る者への奇襲だろう。なので今から強襲を掛ける戦闘機達は上位天使に狙われる可能性が非常に高い。杞憂で終わるのならそれで良いのだが、アーバスは現れた時にいつでも攻撃しに行けるような態勢をつくる。

その間に戦闘機は天使達へ攻撃を開始しており、大量の戦闘機達が残った天使達に群がってダメージを与えていく。天使達は攻撃を回避しようとするが、数が多すぎるのと戦闘機の攻撃に追尾機能があるせいか全てを避けることが出来ずに一方的にダメージを蓄積させていく。中には迎撃しようとする個体もいたが、戦闘機が光学迷彩で姿を隠しているのもあってか攻撃先がわからずに闇雲に攻撃するだけで戦闘機には攻撃が一切当たっていないようでだった。


(やっと出てきたか)


戦闘機が天使を更に10体倒したところで迷彩魔法で隠れてた上位天使が姿を現す。上位天使は戦闘機達を迎撃するべく出現するとすぐに魔法を発動する態勢へと入る。


「させるかよ」


アーバスは次元艦隊のシールドの外に出ると転移で上位天使の後ろへと転移して剣で斬りつける。天使は転移で襲ってくると思っていなかったみたいでその攻撃をモロに受けて魔法の発動に失敗する。


「貴様。この私に攻撃を当てるとは………死をもって償いなさい」


「なら天界へ大人しく引っ込んでいるんだな」


アーバスは虹刀で上位天使を攻撃するものの、上位天使は先程とは違って余裕の表情で攻撃を受け止める。


「中々やりますが、私の敵ではないですね」


「勝手に言ってろ」


「では、今度はこちらからいきますよ」


と、上位天使は防戦から攻勢へと反転すると、アーバスを防戦一方へとするべく攻撃速度を上げながら剣を振ってくる。アーバスは攻撃速度を合わせるように自身に身体強化を掛けることで防戦一方になる展開を回避して互角の戦いへと持って行く。


「私の攻撃について来れるはやりますね。ならこれならどうですか?」


上位天使は身体強化魔法を掛けてその攻撃速度を一段とアップさせる。そろそろ人の目では見えにくい速度での攻防となっているものの、契約の指輪を使用しているアーバスにとってはそんな速さでも問題なく同じ速度で攻撃を捌くていく。


「主、殲滅が完了したしました」


「そうか。ありがとう」


アーバスはキリコからの通信で天使が全滅したことを確認すると身体強化魔法を更に一段強化して上位天使へと襲いかかる。


「くっ。これしき」


上位天使は先程までの余裕はどこへやらアーバスの連撃に鬼の形相でアーバスの捌いていく。アーバスはそんな上位天使を気にすることなく更に攻撃速度を上げて手数で上位天使を圧倒していく。


「グッ」


アーバスは上位天使から完全に余裕を無くすと上位天使の死角から暗黒属性の魔力弾を放ったのである。防ぐので手一杯の上位天使はその攻撃に気づく余裕すらなく魔力弾が直撃する。アーバスは直撃して怯んだ上位天使に追撃しようとするが、それは転移で後ろへと下がった上位天使によって回避される。


「やりますね。まさか人間界にこれ程の強者がいるとは思いませんでしたよ」


「それはこっちの台詞だ。上位天使のくせにこの程度か」


「な゛っ」


アーバスを褒める上位天使にアーバスは冷たく言い放つ。これはアーバスの本音でもあり、100体の天使を引き連れてくるのだがら天界でも上位の存在だと気合いに入れたのにまさかのただの上位天使にアーバスはがっかりしていたのだ。


「貴様、天界20天使の一員であるこのミゲールを愚弄しましたね」


「20天使くらいで調子に乗らないで欲しいな」


アーバスは激昂する上位天使ミゲールを見ながらため息をつく。天界の20天使とは10神、15柱に次ぐ3番目の実力のある集団であり天界の中では上から数えた方が早いものの、10神に勝ったことのあるアーバスからしたら20天使くらい脅威でも何でもない。


「貴様。その奢り、死を持って償いなさい」


ミゲールはそう言うと自身の上空に巨大な魔法陣を出現させる。アーバスは即座に魔法陣を解析するとアイテムボックスから銃を取り出して魔法陣を撃ち抜く。ミゲールは一瞬で放たれた銃弾を防ぐことすらできず、アーバスによって撃ち抜かれた魔法陣は中央から砕け散って霧散する。


「我がフェムズマゴリアが!?」


「その程度で調子に乗らないで欲しいな」


アーバスは魔法陣を破壊すると即座に魔法陣を展開してそれを起動させる。起動させた魔法陣からは聖属性の光が発生し、それが魔法陣の目の前で塊となって大きくなっていく


「そ、それはフェムズマゴリア!?何故貴様が使える」


「教えるわけないだろ」


今さっきミゲールが使おうとした魔法をアーバスがそっくりそのまま展開していることにミゲールは驚愕する。それも束の間ミゲールはフェムズマゴリアを相殺すべくもう一度フェムズマゴリアの魔法陣を展開するものの、その魔法陣は展開してもすぐにアーバスの銃弾によって叩き割られる。


「き、今日のところかこれくらいで勘弁してやる。次こそは絶対に勝ってやるから覚えておけ」


「そんなことあれば良いんだがな」


アーバスは準備が出来たフェムズマゴリアを発射させる。捨て台詞を吐いたミゲールは天界へ戻ろうと転移を試みるものの、アーバスによって転移は妨害されており何度転移で逃げようとしても今立っている場所から移動することは出来ずにいたのである。そんな状況に文句を言おうとアーバスの方へとミゲールは振り向くのだが既に眼の前まで迫っていたフェムズマゴリアにミゲールの身体は硬直する。


「ガァァァァァァァァァッ」


そしてミゲールは自身の必殺技であるフェムズマゴリアをその身に受けるとそのまま光に呑み込まれて消えていったのだった。

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