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240話 宴と再会

アーバス達はルーの後ろへと着地すると掛けていた迷彩魔法を外す。いきなり現れた人間達に手伝いに来ていた若いドラゴン達は驚いていたが、各族長のドラゴン達はアーバス達が降りてきたのを魔力で感知していたので驚くことは無かったみたいだ。


「ほぉ、その者達が今のお主達の親玉とな」


「そうだ。主様、自己紹介を」


「トゥール代表のアーバスだ。今日はこの場へ呼んで頂き感謝する」


アーバスの挨拶に一部のドラゴンがソワソワとし始める。どうやらトゥールの名前はドラゴン達にまで知れ渡っていたみたいだな。


「トゥールか、その噂は聞いておるがマハードの復活を阻止して頂き感謝する」


「こっちも成り行きでそうなっただけだ。感謝される理由もないさ」


「理由はそうかとしれませんが、マハードが復活されていれば世界は混乱していたでしょうし、我々一族も存続していなかったかもしれません」


マハードの復活の阻止なんて結果的にそうなっただけだからな。そもそもの理由もある意味真っ当な理由じゃないしな。


「それとだが、この度の騒動を持って我、シムタイは族長を降りることになった。後継には息子のルーになることが決定した」


「新しく族長となりましたルーです。これからよろしくお願いします」


まず、始めにシムタイから族長の交代をすることを告げる。ルーは挨拶をするが、皆の視線はシムタイへと集まっていた。


「騒動の責任とな?シムタイ、どういうことだ?」


「実は里をシヴドラに強襲されまして、その際に生命を落としたのです」


「ということは貴様は今ネクロマンスされた状態というのか?」


シヴドラが絶命してこの場にいるということはネクロマンスされた以外では普通はありえないからな。復活したとはいえ、そんなことをしたのかと殺気だったドラゴン達の視線が一気にアーバス達へと向く。当のアーバスはというとそんな視線は気にしてはおらず、どう話をすればいいのか悩んでいたのだが、フォローは別のところか発せられたのだ。


「待たぬか。話が最後まで終わっておらんぞ」


とそんなことを言い出したのはこの場で1番の大きさの黒龍だった。その大きさからマスター以上のブラックドラゴンだと予想できる。どこからの族長なのだろうが、その発せられる圧倒的な声からこの場で1番長い族長なのだろう。


「確かにネクロマンスはされたが、それはシヴドラによってだ。それにより我は一族を裏切る行動をしてしまったのだ。一族の皆は許してくれたが、族長としては相応しくないと判断して族長を退くこととしたのだ」


「そうか、なら仕方ない。ご苦労であった」


シムタイの話を聞くと皆納得したかのように静まりかえる。理由を聞いて引くのもやむ無しといったところなのだろう。後継のルーについては何も言われないということはルーで問題ないとのことだろう。それか、様子見ということもあり得るが


「さて、話は程々にして宴会といきましょうか。飯が不味くなってしまいます」


緑色のドラゴンがそう言うと他のドラゴン達が一斉に食事を配りだす。アーバス達にも食事が配られるが、人間が来ると事前に聞いていたからか人間が食べれるような食事が運ばれて来たのだ。


「この度はマハード復活の阻止を狙って乾杯」


『乾杯』


とドラゴン達と共にアーバス達も乾杯する。ドラゴン達は久しぶりの集まりなのか、乾杯すると近くにいたドラゴン達と近況を報告し合っていた。その様子を見ると見た目がドラゴンなだけでやっていることは人間とあまり変わりが無いんだなと思ってしまう。そんな中、1体のドラゴンがアーバス達の元へとやってきたのだ。そのドラゴンは先ほどまで威厳を放っていた大きな黒龍であった。


「師匠、お久しぶりです」


そのドラゴンはアーバス達へ向けると顔なじみかのように挨拶をする。アーバスはルーとその一族しか知らないのだが、他にドラゴンを助けたことなんてあったかな?アーバスは過去の記憶を確認するが、黒龍を助けた記憶は1つも思い出すことができなかった。


「久しぶりですねミラガロス。元気にしていましたか?」


と返事をしたのはリーゼロッテだった。てっきりこの場の全員に頭を下げたのかと思ったのだが、リーゼロッテに頭を下げたのか


「知り合いか?」


「えぇ。昔に助けたのとそのついでに魔法を教えたのですよ。あの時は小さかったですけど、随分と大きくなったのですね」


「そりゃ700年も前の話ですよ。その時から進化していますよ」


「そうですか?最後に会った時でもマスターブラックドラゴンだったはずですよ」


どうやら昔にリーゼロッテと接点があったみたいだな。久しぶりということはここ最近はあっていなかったんだろう。今がどうかわからないがマスターからでも2回以上は進化してそうだしな。


「そんなに前でしたか。師匠は一切変わっていないようで」


「魔法で老化を止めていますからね。最後までこのままですよ」


どうやらリーゼロッテは魔法で老化を止めているらしい。それはリリファス達パーティー全員がそうだろうけどな。アーバスは今のところそんなことは一切として考えたことはないが、魔法で止めるにも何か理由があってなのだろうな


「それで、コイツが今の裏の管理人ですかい」


「そうです。それでいて表の最強も兼任されています」


「ってことはメルファスの切り札ですかい。生で見るのは初めてですわい」


ミラガロスはどうやらトゥールや裏の管理人のことを知っているみたいで確認の為にリーゼロッテに聞いているみたいだ。


「あの現ドラゴン界最強と言われたシヴドラでさえ負けるとはこりゃ逆らわない方がいいですな」


「シヴドラが完封されたくらいですからね。若い時の貴方でも負けるわよ」


どうやらミラガロスが年のせいか戦闘面はだいぶ劣っているみたいなのだが、どうやら若い時はシヴドラよりも強かったみたいだな。


「そりゃ、契約の指輪持ちに逆らうなんてそんな無謀なことはしたくないですわい」


「その割には私には喧嘩売ったわよね」


「それで懲りたに決まってるじゃないですかい。しかも、裏の管理人が交代しているということはこのお方の方が師匠よりもお強いののでしょう?」


どのタイミングで逆らったのかはわからないがミラガロスは一度リーゼロッテに反抗したようで、その際にボコボコにされているようで契約の指輪持ちには反抗しないと決めているようだった。


「パーティーならまだ私達の方が上だと思うけど、個人だと今はアーバス様が最強ですね」


「最強ですかい。師匠が最強と言うなんて初めてですな。あの暴力女よりもですかい?」


「そうですね。リスは攻撃一点特化ですが、アーバス様はそれに加えて魔法も出来ますからね」


暴力女とはリリファスのことで、どうやらミラガロスは一度会っているみたいだな。暴力女と言ってる辺り失礼を働いて軽く殴られたといったところだろうか。リリファスの戦闘はダンジョンでしか見ていないが、勝てるかどうかと言われたら微妙なところだと思うのだけどな。


「初めてリーゼロッテの一番弟子のミラガロスと申します」


「アーバスだ。リーゼロッテの弟子に会えて光栄だ」


アーバスはミラガロスと挨拶すると握手をする。それからミラガロスとルー達の話やシヴドラの話について聞かれたので話しておくことにした。後は、マハードの儀式関係の話だな。こちらは詳細には聞かされなかったものの、シムタイよりもより一歩踏み込んだ話をすることが出来たな。

そんなこと宴会は何事もなく順調に過ぎていったのだった。

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