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24話 雷刀を貸してみることにした

起床するとすぐにアーバスはリーゼロッテへ通信を行う。


「アーバス様。どうされましたか?」


「リーゼロッテ。実は調べてほしいことがあってだな」


アーバスは変異種のことについてリーゼロッテへと相談する。


「変異種ですか。メルファスでもそこまで情報がないですが、できる限り集めましょう」


「ありがとう。助かるぜ」


「それと一つアーバス様の耳に入れたい情報が」


「なんだ?」


「キングレッドドラゴンが出現したとの情報があります。既に13聖から2人派遣しているみたいですが、もしかしたらアーバス様に声がかかるかもしれません」


「キングレッドドラゴンか、流石に使徒2人なら対処できるとは思うけどそんなに問題なのか?」


「派遣されたのが政治組ですからね。もし必要であればこちらで対処いたしますが、どうなさいますか?」


政治組かぁ。それは確かに失敗する可能性があるな。ただ、リーゼロッテのその言葉には少し嬉しさがあったのだが、少し嫌な予感がするのだが気のせいだろうか。アーバスは引っかかった疑問を確証に変えるためにリーゼロッテに聞いてみる


「もしかして皆暴れ足りない?」


アーバスがメルファスに居るときはアーバスが災害級を殆ど対処していたので、リーゼロッテ達にはそういったモンスターがあまり回ってくることはなかったはずだ。


「そうですね。私やルーファは大丈夫ですが、バルファーティア達はそうでもないようですね」


バルファーティアとはこちらも大罪人で主に対人戦が大好きな奴で所謂バトルジャンキーである。強敵が大好きな奴であり、強敵も殺すまで戦うのだから倒した人間は数しれず。現在はとある村で村長をやりながら何故か畑仕事を行っている。


「問題ないならキングレッドドラゴンはバルファーティアに任せようか」


「そうしましょうか。こちらへ仕事が回ってきたら派遣するようにします」


「よろしく頼む」


こっちは変異種まみれだからな。もしバルファーティアが聞いたらすっ飛んでくるぐらいには強敵がいっぱいいる状態だしな。


「それと次回の会合が来週末に決定しました」


「詳しい話は拠点にでも資料を置いておいてくれ。目を通しておく」


「わかりました。それでは」


「あぁ」


リーゼロッテとの通信を終わる。会合とは月に1回とある会議室で集まるもので、そこでトゥールの今後の活動内容などを決めるものである。


「丁度いい時間だな」


時刻は7時半。そろそろ向えばアミール達との待ち合わせ場所に丁度いい時間になるだろう。アーバスは支度をすると学園へと向かった。


「おはようアーバス」


「おはようございます」


「おはよう」


アーバスはダンジョン前でアミール達と合流する。昨日が初日なのもあって疲れはあまり無さそうだった。早速レベル7へと入っていく


「アーバス。索敵は済んでる?」


「あぁ。もう終わってるぞ」


ダンジョンに入ってすぐにアーバスは索敵を済ませており、階段の位置や隠し扉の位置まで把握していた。エクストリームと違ってノーマルは一層まるごと索敵が出来るから攻略の速度が段違いだな。


「じゃあ。時間も限られてるし行きましょ」


「それだがちょっと待ってくれ」


アーバスはアミールに静止をかける。とりあえず先に確認することがあるからな。


「どうしたの?」


「サーラ。聞きたいんだが雷魔法って使えるのか?」


これは確認だ。もし使えないのであれば昨日手に入れた武器で習得出来るからな


「私は使えないですね。それがどうしましたか?」


「なら丁度いい武器があるんだが、雷魔法を習得してみないか?」


そう言ってアーバスは雷刀を取り出す。サーラは雷刀を見ると


「な、何ですかその剣は。私前衛はできませんよ」


サーラは話を聞く前に拒否をしてくる。そんなにやりたくないのか前衛…


「サーラ。属性系の刀ってね別に剣を振らなくてもいいのよ」


「そ、そんなんですか?」


「そうだ。手に持っているだけで属性魔法が使えるし使い込むと習得できるからな。形が剣なだけで誰でも属性魔法を使えるようにするものだからな」


だから値段が高いし滅多に出回らないんだけどな。剣で戦わなくて良いのがわかったのかサーラが少しだけ警戒を解く


「本当はアミールからだと思ったのだけど氷刀が出たところだからな。先にサーラに雷魔法を習得してからでもアミールは遅くないだろう」


既に氷属性を習得しているアミールだが、氷刀を装備することで更に上位の魔法を習得する機会が出来たからな。本人も暫くは手放す気がないだろうし。その間の期間でサーラが雷魔法を習得出来たらプラスだからな。


「そ、そういうことでしたら使ってみましょう」


サーラは恐る恐る雷刀を手に取る。昨日ドロップした杖には申し訳ないが雷魔法を習得するまではアイテムボックス行きだな。 


「それにしても何処で手に入れたのよその雷刀は、最上級品じゃない?」


そこに気付くとは流石アミールだな。昨日ドロップしたのだが、それを言うと怪しまれるからな。誤魔化しておくか


「昔、雷属性を習得するときに使っていたものでな。昨日整理したら出てきたから習得に丁度いいと思ってな」


「ふーん。ま、いいわ。私も習得出来るならそれは有り難いし」


アミールだけは怪しんでいたが、自分も習得出来ることもあってかアーバスの言い訳に納得したようだった。


「言いたいことは終わったし、進みますか」


「そうね。行きましょ」


少し時間は掛かったが、サーラに雷刀は渡すことが出来たので後は習得まで頑張ってもらおう。



ダンジョンを進むとすぐにコボルト達がエンカウントした。数は5体でアミールに1体だけ残してもらい残った1体で練習してもらう。


「サーラ、まずは初級のライトニングから初めてみようか」


「はい。頑張ってみます」


サーラはそういうと魔力を込めていく、初級魔法であるが初めて使う属性なので緊張している様子だ。


「ライトニング」


サーラの手から雷が放たれ、直撃したコボルトが光に帰っていく。雷魔法を使える状態にあるとはいえ、一発で成功するとはな。普通は雷刀を装備してその属性がすぐに使える状態ではないから魔法を使ってもそんなすぐには成功しないんだがな


「やったぁ。やりました」


サーラは雷魔法が発動出来たことに喜んでいるようだった。発動や威力に問題ないし思ったよりも早く習得できるかもな。


「後は反復だな。アミールに1体残して貰うから繰り返し使って覚えるんだ」


魔法を発動出来たからといっても習得出来ている訳ではなく、ここから回数を増やして身体に雷魔法の使い方を覚えていく必要がある。この繰り返しでやっと新しい属性の魔法を習得できるのである。

そのままアミールに1体残して貰ってサーラが止めを刺しながらを1層目、2層目とやっていく。アミールも最初は1体残しに時間が掛っていたが、なれてきたのか氷魔法で相手を足止めしてから1体残してすべて狩っていた。


「サーラ。1回雷刀を外して雷魔法を放ってみようか」


「えっもうですか」


まだ、雷魔法を練習して2時間も経ってないのだがアーバスはそんなことを言い出した。


「試しだ。まだ使えなければもうちょい装備して戦えればいいだけだし」


「そ、それなら」


サーラは雷刀を外して杖に持ち変える。幸いにも次に出てきたのはコボルトが3体だけでアミールも慣れた手つきでコボルトを2体倒していく。


「ライトニング」


残った1体にサーラが雷魔法を放つが、電流はコボルトの遥か上を通り過ぎていった。


「やったぁ。発動しました」


「狙いがまだまだだな。もう一度やってみようか」


「はい」


そこからはアミールが氷で拘束してるもあってから数発発動させるだけでコボルトに電流が直撃し光へと還る。


「やりました」


「凄いわねサーラ。もう使いこなすなんて」


「それもこの剣のお陰ですね」


ノーマルの属性刀だと個人差はあるが、初級魔法でも習得まで早くても3ヶ月、遅い人や相性が悪いと半年くらいかかるのだが、エクストリームの雷刀だから習得にそう時間がかからないとは思っていたがまさか2時間で初級魔法を習得するとはな。アーバスもお試しで言ってみただけなのでこれには驚いた。


「それもあるが、サーラのセンスも凄いな」


「いえいえ。それほどでもありません。魔法攻撃はあまり得意ではありませんし」


そういえば聞いてないことがあったな。本来はこれを聞くのはご法度なのだが丁度いい機会だし聞いてみよう


「そういえばサーラって適性属性は何なんだ?」


得意属性というのは人によって様々なのだが、聞いてはいけない理由に苦手属性を当てられない為であるのが大きい。苦手属性相手だと負ける確率がグンと上がるし、汚い貴族だとワザと苦手属性で相手を暗殺したりするからな。


「私ですか。本来は教えては駄目ですが、アーバスだからいいでしょう。私の適性属性は聖属性です」


「やっぱりか」


回復や支援が得意らしいので聖属性か系統外だと思っているたが、聖属性の方か。聖属性は回復や光属性が得意な一方で闇属性は全く使えないし相性も悪いからな。ちなみに光と闇はお互いに弱点属性だったりするので得意な属性は一切なく、他の属性も普通に習得できるのである。


「ところでアーバスって適性属性は何ですか?属性を一切使ってないように見えますが」


サーラから逆質問が来る。まぁそうなるわな。話したくないが仕方ない


「正直に話すか、実は系統外なんだ。」


この国では差別は無くなってきているもののそれでも系統外への差別は少なからずあったりする。それを加味して言いたくは無かったが自分だけ隠す訳には行かないしな


「系統外…」


「意外か」


「いえ。そんな気がしてました」


「私は結構衝撃だったけどね」


アミールは全く気付いてなかったがサーラは気付いていたらしい。対抗戦では一切属性を使ってなかったとはいえ系統外とわかるなんてな


「きっかけは入学試験です。アミールの氷属性を破れる属性は私の知る限り系統外しかないので」


「そういうことか」


他の属性だと氷属性に勝てる属性は風属性上位の雷属性だしな。恐らくだが、アミールから雷属性でもないのに氷属性を対処されたのを聞いたのが大きいか


「Sクラスで系統外とは相当強いのですね」


「そこまで強くはないさ。系統外がバレてたら他のクラスの対応も違ってただろう」


「それはそうですね」


特に2組はな。透明化を使っていたから恐らく光か風属性だと思われていただろうからな。系統外以外で使える属性はその2属性しか使えないしな。


「それはそうと先に行くか。時間がないんだろ?」


「今日中にレベル7攻略しないといけないんだから早く行きましょ」


「そうですね」


思わぬカミングアウトはあったが、このままだとお昼前には5層目へ辿り着けるだろう。

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