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238話 団体戦の終わりに

「表彰式後すぐに呼んでごめんなさい」


試合が終わって表彰式が終わった後にアーバスはアミールを使って他のSクラスの代表を呼び出したのだ。本当はクラス代表同士での話し合いが基本なのだが、アミールはアーバスを参加させる為に各クラスから2名という制限を付けて参加して貰っている。


「いいさ。大事な話なんだろ?」


「そうね。代表戦の団体戦の話ね」


とアミールの言葉にクラス代表であるクロロトとクロエに緊張が走る。ロインは協定があることと、クラス代表の自分が選ばれないことはないと思っているのかいつもと変わらない表情だった。


「といっても私はこういうことは苦手だから後はアーバスお願いね」


「おいっ」


この話し合いの場をアミールが仕切るのでてっきりアミール主導で進めるのかと思ったらいきなりアーバスへと丸投げしてきたので思わず突っ込む。最初からアーバスが進めるという打ち合わせになってはいたけどさ


「アミールちゃんはそれでいいの?」


「いいも何も私が全権委任するくらいには信用しているわ」


とアロマからの質問に迷いなくアミールは答える。どうやらいつの間にかアミールから信頼を勝ち取っていたようだ。優しくした覚えはなんだけどなぁ


「そういうわけだからここからは俺が担当させてもらう」


と、アーバスはアミールと変わるように前に立つ。アーバスが前に立ったところで他のメンバーの表情は変わることはないが、アーバスは周囲を見渡すと本題を話始める。


「まずは協定の話だ。3組には悪いがこの団体戦が始まる前にこの3クラスで勝ったところから5人ずつ選出するという協定を結んでいた」


「そんなものをいつの間に」


とターニーは絶望する。ターニーは今回の団体戦で自身の作戦を活かして3組を団体戦2位で終わらせるという最高の結果を残したのである。1組戦もアミールさえ倒せてば勝てたかもしれなかったくらいには健闘したのにまさか選ばれないとは思っても見なかった。


「これも全てクロロトが悪いからね。人を見下すような人物は代表戦には相応しくない」


「そんなこと無いですよ。クロロトは3組を立て直してくれた立派なクラス代表です」


「ターニー…………」


「でも、実際は団体戦が始まる直前までは平民を見下していたクラス代表だった。そうだろう」


「グッ」


仲間外れの理由をロインから聞かされるとターニーは思わず反論するものの、ロインの言葉にターニーは反論出来ずに口を噛みしめる。それを見てロインは満足したのか勝ち誇った顔をする。だが、そんなロインをアーバスは冷たい目で見つめると


「この協定なのだが、重大な信用失墜行為があってな。残念ながらこの場で破棄させてもらう」


「な゛っ」


「………………」


アーバスの言葉にロインは驚いて思わず、アーバスの方を見る。対してクロエとアロマは冷ややかにロインの方を見るのだった。


「この場でだと、そんなことが許されていいのか。アミール嬢は賛成したのか?」


「したわね。何ならパーティーメンバー全員その場で賛成したわ」


ロインはまさかこの場で協定を破棄されると思っていなかったようでこれで良いのかとアミールへ聞くがアミールは無慈悲にも賛成したことを話す。


「許すも何も裏切ったのは2組だろ。悪いのはお前等だ」


「2組だと!?2組が1組に何をしたって言うんだい?」


アーバスは協定破棄の原因を2組であるというが、ロインは心当たりが無いのかアーバスへと詰め寄る。


「お前等準決勝の最終戦で4組を裏切っただろ」


「それが協定に何が関係あるって言うんだい?」


「大アリね。もし、4組が優勝しても協定も守れって騒ぐつもりだったの?」


「それは…」


アーバスとアミールに言われ、ロインはやっと事の重要さに気づく。何せこの協定は1組、2組、4組との協定なのである。その中のいずれかで信用問題に関わるような出来事があれば協定が破棄されるのは当然のことである。


「わかったなら続きを話していいか?」


「あ、あぁ」


アーバスにそう言われるとロインは自分が座っていた席へと着席する。これでやっと話の本題へと入れるな


「それで代表戦の残り10人なのだが、これを3組と4組で5人ずつの割り振りにしようと思う」


「何故だアーバス、2組もロインを始めとした優秀な人材がおるだろ。お前は私的な理由で2組を外すつもりか?」


アーバスの振り分けに反論してきたのはまさかのクロロトだったのだ。クロロトのクラスは本来なら誰も選ばれないはずだっのだが、外された2組が私的な理由で外されたと思ったらしい。


「2組が外れる理由だが、まず、3組と4組にはクラス代表の所属するパーティーに来てもらうつもりだ」


アーバスは理由を話始める。何故クラス代表のパーティーなのかというとアーバスはこのパーティーを別働隊として使用することを考えているからである。別働隊を編成する時に他のクラス混合となると連携が上手くいかないからであり、その点他のクラス代表のパーティーは大体がクラス内でのトップメンバーと組んでいるので別働隊として出すには十分な実力だと思っているのからである。


「そして、残りの枠の1つをターニー、作戦参謀としてお前に来てもらうつもりだ」


「ぼ、僕ですか」


まさかの指名にターニーは驚く。アーバスはこの協定せいでターニー作戦参謀として入れるのを半ば諦めていたのだが、破棄出来ると判明した時点でターニーを何が何でも入れることを決意していたのだ。


「そして最後1枠は誰でもいいんだが、4組のバフ兼回復を入れようと思っている」


「わかったわ。1番腕の良いのを選んでおくわね」


アーバスの言葉にクロエは即答で返事する。1組の長所は前衛が強いところだ。魔法アタッカーもいいが、長所を生かすにはバフ兼回復できる後衛が1番適任だろう。


「待てアーバス、それなら前衛兼バフ要因のロインを入れるのが得策じゃないのか?」


「話し合いが始まるまではロインだったが、さっきまでの態度を見て話が変わった。自分勝手な奴はどれだけ優秀でも士気が下がるからいらん」


アーバスはロインが不要な理由をはっきりと言う。一瞬ロインが生気を取り戻そうとしたが、アーバスの理由にまた生気を無くして椅子に座って抜け殻と化す。


「最後に確認なんだけど3組と4組はこの割り振りに賛成かしら?」


「私は文句ないわよ。むしろ感謝してるくらい」


「代表は1組だ。その決定に文句はない」


アミールは確認の意味でクロエとクロロトに聞くが、二人とも割り振り自体には文句はないようだったのでこれで決定として扱っても大丈夫だろう。


「じゃあ、これにて話し合いを終わるわ。今日はありがとうね」


アミールはそう言うとこれにて解散となる各クラス代表達は足早に戻っていく。きっとこれからメンバーの選考や報告をするのだろう。


「アーバス、2組から誰も選ばなくて本当に良かったの?」


「2組で選ぶとしたらロインくらいだったからな。それ以外は誰でも一緒だ」


「そうなのね」


アーバスはそう言うと事前に用意していた各クラスの資料を見て再確認を行う。2組の主力メンバーの中には当然後衛もいるのだが、普通の後衛よりも少し良い程度でサーラやアロマと比べた時に確実に劣っているからな。その程度であれば他のクラスの後衛に変えたところで影響は殆ど出ないだろう。


「むしろ2組の協定違反のおかげでターニー呼べて感謝だな」


「アーバスがそこまで言うなんて相当ね」


ターニーの指揮官や作戦参謀としての腕はSクラスの中で1番上だからな。ターニーがいれば試合中の作戦指揮をある程度任せられるし、作戦の幅も広がるのでアーバスの負担も減るからな。


「さ、俺達も戻るぞ。待たせているしな」


1組の団体戦優勝を祝って放課後に祝勝会をするつもりだったのだが、アーバスとアミールはこの話し合いの為に後から合流するといったのだ。が、ジャックが全員揃ってからやりたいとのことで1組の教室で準備して待っているのだ。


「そうね。戻りましょう」


アーバスとアミールはそのまま祝勝会の会場である。1組教室へと戻っていくのだった。

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