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231話 感想戦と反省会

「よし、勝ったわよアーバス」


「そうだな。おめでとう」


勝って喜んでいるアミールの横にアーバスは着地すると同時に祝福の言葉を掛ける。


「ちょっとびっくりさせないでよ。というか何処にいたのよ?」


「あそこだけど?」


「そ、そうなの。知らなかったわ」


とアーバスは上空を指差す。なんせアミールとリンウェルに手を出すなと言われたせいで、暇だったから上空で戦況を見守っていただけだからな。リンウェルが退場して劣勢になってもその指示は変わらなかったしな。


「というか、本当に手を出してないのね?」


「何もしてないぞ。最後もアミールが大将のクロロトを退場させての勝利だからな」


きっとアミールのことだからクロロトと倒すと同時にアーバスが本当の大将を倒したと思っているのだろうが本当に傍観していただけだからな。何ならアミールが退場するまでは一切試合に介入する気が無かったくらいである。


「そうなのね。やっと自力で勝てたのね」


「?あぁそういうことか」


アミールの言葉に一瞬の疑問を持ったが、どうやら自力でSクラスに勝てたという意味らしい。対抗戦ではアーバスの活躍でほぼ勝ったみたいなところがあったからな。一方でこの団体戦ではアミールの活躍が大きすぎてアーバスに一度も出番が回ってきていないからな。


「それじゃあ戻りましょ。勝ったから今日は祝勝会よ」


「申し訳ないがアミール、先に戻ってくれないか?どうやらターニーが来たようだ」


「わかったわ。先に行ってるわね」


アーバスはターニーがこちらへと向かっているのを目視で確認するとアミールに先に帰るように伝える。なんせ今日の主役はアミールだからアーバスが遅れていったところで何も問題ないだろう。


「アーバスさん、控え室まで一緒に行きませんか?」


「いいぞ。どうせ今回の作戦の感想を聞きたかったんだろ?」


「バレてましたか」


ターニーのことだから作戦についての感想だと思ったがやっぱりか。どうせ3組との控え室はそれ程離れていないのでその間だけなら感想と反省会をしていいだろう。


「まずは作戦なんですけどどうでしたか?」


「完璧だったと思うぞ。アミールとの戦場を分けたのには最初は疑問だったが、魔法による総攻撃の時に納得したくらいだ」


最初はアミールと残りの前衛との戦場を分けたのはてっきりアミールの範囲攻撃に味方を巻き込ませないようにする為だと思っていたのだが、まさか魔法による総攻撃で1組の前衛を削ってくるとは思わなかったな


「ありがとうございます。ですが、アミールさんの雷属性やリンウェルさんの前衛配置とこちらの予想外の事ばっかりでした。特に総攻撃後はアミールさんを集中して叩くべきでしたね」


「そりゃこちらも隠していたからな。それと総攻撃後だが、残りの前衛を倒しきってからアミールでも問題無かったと思うぞ」


なんせ総攻撃前はクロロト達はアミールと互角に戦っていたのだからアミールを叩くのは総攻撃後に残りの前衛を全て倒してからでも遅く無かったはずである。予想外だったのはアミールの実力の方でまさか属性融合をした状態で氷のフィールドを展開して雷と氷属性の2属性でダメージを与えてくるとは考えていなかっただろう。何ならアーバスも見たことが無かったので裏で練習をしたのか、本番の思い付きでやったのかはわからないが、あれはアミールにとって今後非常に強力な武器となるだろう。


「そうですか。やはりアミールさんとサーラさんをどう攻略するのかが今後の鍵になりそうですね」


「俺は倒さなくていいのか?」


今のターニーの話だとアミールとサーラさえ倒せれば勝ちのように聞こえたのだが気の所為だろうか?


「3組が束になったとしてもアーバスさんは倒せないでしょうからね。それよりもエースのアミールさんやバフの要のサーラさんを倒す方がまだ可能性がありますからね」


「それにどちらかが大将なのでしょう?」とターニーは続ける。アーバスはそこまで手の内を明かしたつもりはなかったのだがターニーには筒ぬけらしい。アミールとサーラどちらも大将に置いても問題ないのだが、それを気づかれて狙われるのなら今後はアーバスが大将をしようかなと思ってしまう。


「ただ、やっぱり実力の底上げが急務ですね。今回の戦いで実感しました」


「そうだろうな。でももう少ししたら夏休みだからそこでじっくりとレベルを上げたら何とかなるだろう」


「そうですね。次の対抗戦までにはある程度追いついておきたいですね」


何せ夏休みが終わればまた対抗戦があるからな。次の対抗戦では3組も警戒されるだろうから相手が楽に勝てると慢心しないだろうしな。


「それでは、ありがとうございました」


「あぁ。今日は楽しかったぞ」


控え室への分かれ道でアーバスはターニーと分かれるとそのまま1組の控え室へと戻る。


「?お前らなんで静かになるんだ。騒いでていいんだぞ」


「そうは言ってもなぁ。反省会はするんやろ?」


「当然だろ」


なる程な。リンウェル達はこれから反省会だからと静かになったわけね。反省会はいつも放課後なんだが、どうやら前衛の大量退場のせいでこの場ですると思ったみたいだ。本当なら放課後にするつもりなんだが、まぁいいか


「じゃあまず、リンウェル。相手の魔法による総攻撃は気付いていたか?」


「相手の前衛を削ることに集中していて気付いていなかったわ」


「他に気付いていた前衛はいるか?」


まずはこの試合のターニングポイントである前衛が魔法攻撃で退場したことから始める。やはりリンウェルは気付いていなかったようで、他の前衛もアミール以外は気付いていなかったみたいだな。まぁ、アミールだけ戦闘している場所が違うかったし、魔法が飛んできたとしても持ち前の身体能力で回避してそうなんだよなぁ。


「いないか。後衛はどうだ?」


「気付いてはいましたが、まさか前衛狙いとは思わなくてリンウェルさんには報告しませんでした」


というのは後衛のリーダーのサーシャでどうやら魔法による総攻撃には気付いていたものの、後衛狙いだと思ってバフから1人を障壁に回して後衛が撃ち抜かれて退場しないように守りを固めていたらしい。


「バフを障壁に回して守りを固めたのは良かったが、気付いていたならリンウェルに報告した方がよかったな」


「はいっ。次から報告するようにします」


リンウェルが気付いているかどうかに関わらず、そういうところは報告した方がいいだろう。なんせそれで気づかなかったせいでリンウェル達前衛が退場してしまったからな。もし、報告していたら魔法での総攻撃を回避していただろうから前衛主力が全滅という事態まではいかなかっただろう。


「続いて作戦だが、何か気になるところはあるか?」


「なら質問いいか?」


と手を上げたのはまさかのジャックだった。アーバスはてっきりサーシャやリンウェルから質問があるのかと思っていたが、まさかジャックが真っ先に質問てくるとはな


「戦術なんだが、ここまでの団体戦全試合同じ戦術だろ?そろそろ何かしらの変化を入れないと今回みたいに対策されるんじゃないか?」


ジャックの言うことはその通りでここまでの試合は全試合同じ戦法で戦っており、今回前衛への魔法攻撃は同じと見越しての作戦だったのだろう。なので対策されるのも仕方ないのだが、アーバスはジャックにこう続ける。


「それもいいんだが、相手からしから今の戦法ってどう見えているのか知ってるか?」


「そういや考えたことねぇな」


ジャックは戦術について理解していなかったようで作戦自体を理解してないみたいだった。この組は戦闘メインで戦術面では疎い人物が多いから今の戦術を説明するのに丁度いいタイミングか。


「そういうことだったのか」


「確かに考えてみたらそうですね」


とアーバスが説明を終えるとやっと理解出来たのかジャックやサーシャ達が納得した表情をみせる。アミール達は既に説明しているので特に驚くといったことはなかったみたいだ。


「だから致命的な弱点が発覚するまではこの作戦を続けるつもりだからそのつもりでな」


一応予備の作戦もあるのだが、そっちはまだ使わなくて良いだろうというのがアーバスの判断だ。その後は特に質問がないということで午前はこれにて解散ということになった。

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