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23話 エクストリームへ

ダンジョンのある施設、別名ダンジョン棟に着くともう全員ダンジョンから帰って来ているようで生徒は誰もおらず、数人の職員がいるだけだった。

 

「君、ダンジョンへの入る時間はとっくに過ぎてるよ」


生徒がいることに気づいたのか、職員の1人がアーバスへ注意してくる。教師はジャージ姿で整った顔をしているが、ポニーテールで鋭い目をしており、人によっては萎縮しそうな見た目であった。


「シエス学園長から時間外での探索許可を貰っているアーバスといいます」


「そうか、君がアーバス君か。話は聞いているが念の為学生証を見せてくれ」


学生証を見せると教員は納得したようで


「うん。本人で間違いないな。今日が初回だから一応説明するぞ」


アーバスは教員から説明を受ける。1つは売却について、売却などはもう時間外なので翌日にならないと出来ないらしい。それと入口は閉まってるので出るときは転移で出る必要があるとのことだった。


「以上だが質問はあるか」


「いえ何もないです」


「では行っていいぞ」


教員からの説明も終わり、アーバスはダンジョンへと入る。


「エクストリームでも風景は変わらないのか」


エクストリームでも相変わらずの洞窟だった。アーバスは索敵魔法を掛けるが周囲50メートルの情報がわかるだけで階層全体の情報が一切見えなかった。


「索敵阻害か?自力で探す必要があるのかよ」


階段が見えないので最短距離もわからないのでとりあえず適当に歩きだす。歩いた場所は地図に記録もされるのでそれを見ながら歩いてみる。


「お、スライムか」


アーバスは最初のモンスターを発見する。遠目で見る限りは普通のスライムだったのだが近づくとそうではなかった。


(変異種!?)


外の世界では滅多に出ないモンスターが一発目からエンカウントした。変異種のスライムはとても有名なモンスターであり、対処方を確立されてある為、倒すのはある意味簡単だ。アーバスは魔力弾を一発スライムに当てるとすぐさま光すら通さない遮光の障壁を展開する。攻撃を受けたスライムは魔力弾の攻撃を受けると青白い光と共に大爆発を起こす。爆発は暫く続き、アーバスは爆発が消えたことを確認すると障壁のを解除する。するとスライムが居た場所には宝箱があるだけで、スライムは消え去っていた。アーバスは周囲に何もないことを確認すると宝箱を開ける。


「これもか」


昨日の変異種のハイレッドドラゴンに続いてのクリスタルの指輪だった。アーバスはそれを鑑定かけると


「マジか」


そう呟いた。出てきたのは移動速度がアップする指輪なのだが、性能が驚異の60%だったのだ。ここまで来ると生産品とほぼ性能は変わらないな。ただ、強化が出来るだけダンジョンドロップの方が優秀だ。

そんなことを考えながらアーバスは探索を続ける。移動速度アップの指輪を手に入れることが出来たので普段よりも移動が早いが、階層全体を把握出来ない分攻略速度はやや遅い。道中出てくるのは全て変異種のスライムであり、対処自体は簡単だったのだがアーバスは一つの確信を持つ。


(これモンスター全部変異種だよな…)


レベル6と同じならこエクストリームのレベル1はスライムとゴブリンだけだと思うのだが、変異種のせいでその全てが凶悪になっているだろう。そう思っているとアーバスの目の前に見慣れない金色のスライムが現れた。ただ、このスライムも全身クリスタルであり変異種なのでアーバスは同じように魔力弾で攻撃すると同時に遮光の障壁を展開する。スライムは他のスライムと同じように爆発するが、色はそれまでの青白い光でなく、黄金に輝いて爆発した。アーバスは鑑定を使ってスライムを観察するが


(全然減ってない)


変異種のスライムは爆発するとHPが減っていくはずなのだが、この黄金のスライムは爆発では一切HPが減らなかったのである。アーバスはすぐに追加の魔力弾を展開しようとするが、爆発しているせいか魔力弾を打つ前に魔法陣ごと吹き飛ばされる。


(そんなのありかよ)


変異種のスライム対策で遮光も付与さている障壁なので障壁内から魔力弾を飛ばしても障壁を通過することが出来ないので、このまま爆風が弱くなるまではアーバスは放置することしか出来なくなったのである。


(やっと弱くなってきたか)


黄金のスライムが爆発してから5分。ようやく爆風が収まりだし魔法陣を展開しても問題ないくらいに落ち着いてきた。アーバスは確実に黄金のスライムも仕留める為に大量の魔法陣を展開する。そのまま黄金のスライムに魔力弾を打ち込むと黄金のスライムは光に還っていった。


「初めて見る変異種だったな」


これまで知っている変異種といえば属性が変わるだけで、変異種特有の特徴は一切変わることは無かったのだ。例としはさっきからエンカウントしてきるスライムだ。スライムの変異種は攻撃を当てると爆発し、その命が尽きるまで爆発し続けるのである。だが、今回のスライムは爆発こそしたものの爆発してもHPが減ることはなかったのである。ちなみにこの爆発だが、爆発の光にもダメージがあるので普通の障壁だけでは爆風は防げても光によるダメージで障壁が破壊されてしまうのである。


「ってことは変異種は何パターンか種類があるのかもな」


ここからわかる仮説としては変異種には何パターンかのタイプが存在しているということだ。一応この1体だけが例外の説もあるが、変異種自体がそこまでエンカウントした数が少ないので詳細がわかっていなかったのだが、少なくとも変異種に複数の種類が確認されたという報告は無かった気がする。


「詳しく調べる前にまずは宝箱か」


アーバスは宝箱を開ける。中に入っていたのは刀であったが、普通の刀と違って刀身はクリスタルで出てきていた。


「武器は初だな」


道中何体かスライムは倒してはいるが、すべて装飾品で武器は一切ドロップすることはなかったのでこれが初ドロップである。さてさて性能はと


「雷の属性剣か」


武器の名前は雷刀で今日ドロップした氷刀の雷版だな。特性も同じでだが、雷属性の強化率と雷属性の習得速度が氷刀と比べて格段に違うな。アミールは氷しか使えないのでアミールに渡したいくらいだが、氷刀がドロップしたばかりのこのタイミングで渡しても使ってくれはいだろう。アーバス自身は全属性を習得しているので今更雷属性を習得する必要もないしな。


「サーラでもいいかもしれないな」


氷刀もそうだが、属性剣は属性魔法の習得がメインになるので刀であるが武器として振るう必要はないのだ。雷属性を習得していないならこの際に使って貰って習得してもうのもいいのかもしれない。本当はアミールのサブ属性として使ってほしいんだけどな。

その後もアーバスはスライムを倒して進んでいくが、先程の金色のスライムはもう一度エンカウントせずに、次の階層への階段へと辿り着いてしまう。


「結構時間が掛かったな」


ここまで来るのに既に結構な時間が経過しており、魔道具の残り時間も残り1時間を切っていた。恐らく次の階層の階段までは辿り着けないだろう。


「まぁ進むだけ進みますか」


2層へと進む。2層も1層と索敵範囲は相変わらずであるが、エンカウントするスライムが1体から2体へと増えていた。


「この場合ってどうなるんだろ」


外では変異種の複数体の同時エンカウントの報告なんて聞いたことない。何ならスライム1体が爆発したときにもう1体のスライムがどうなるのか気になってしまう。アーバスは2体いるスライムの内片方に魔力弾を打ち込む。アーバスが障壁を展開すると同時にスライムは青白い光と共に爆発する。そしてもう1体のスライムも爆発に反応したのだろうこちらも釣られて爆発する。アーバスは爆発が収まるまで暫く待つと宝箱が2つ落ちていたのである。


「爆発したら他も巻き込まれるみたいだな」


1体目が爆発し2体目が爆発するまでの間、2体目のHPがちょっとずつではあるが削れていたのである。変異種のスライムの爆発は他のモンスターにも少ないダメージではあるが、攻撃判定があることがわかった。アーバスは残った宝箱を開けるが、装飾品のみで武器とかは特にはドロップしなかった。そのまま次の階段を求めて彷徨っていると足元に転移陣が現れる。


「今日はこれで終わりか」


そのまま入口へと戻されるとアーバスは魔道具を確認する。魔道具の残り時間も0となっており、これ以上の探索をする場合はこの魔道具をドロップする必要が出てくるだろう。

 

「最初の割には成果は上々かな」


モンスターはちょっと予想がではあったが、ドロップがクリスタル系だとは思わなかったし、性能も市販のものと比べたら比較にならないくらいの物が出てきたしな。


「後は売り先か」


ここまで性能の良い魔道具だ、普通に売り飛ばせば確実に誰が売ったかバレるし、そうなったら学園どころか世界中で大騒ぎになるだろう。売却元もしっかりと隠してくれるとなると


「ルーファしかいないか…」


ルーファだと身元もわかってるし、大手商会なので売っても身元がバレないようにうまくやってくれるだろう。ただ、昨日もルーファを呼び出しているので今日も呼ぶとなると気が引けてしまう。


「貯まったら呼ぶか」


暫くは自分で管理していても何も問題ないだろう。それにダンジョンには毎日潜るのでその都度となったら毎日に呼び出すことになってしまうしな。

既に入口は閉まっているのでアーバスは転移でダンジョン棟から移動する。移動距離自体は王都内であれば問題ないようでアーバスはそのまま拠点へと転移する。


「収穫はあまりなしか」  


移動速度上昇と雷刀は当たりだったが、他はそこまでだったな。何なら全部商会へ流してもいいな。生産で作るとなるとここまでの性能を出そうとしたら素材が希少だから値段が非常に高くなるのでハズレでも高額で売却できそうだな。ダンジョンだと素材を使わずに簡単に作れるのはいいんだけど、特定のスキルを狙えないのが悪いところだな


「エクストリームは結構大変かもな」


アーバスだから何とかなったが、普通なら一瞬で退場だろうな。ハードのレベル1ですら探索者はクリアできないのだからエクストリームなんて普通の人間は辿り着けない領域だろうから心配していないが、万が一エクストリームに行けるとなっても1層目すらクリア出来ないだろうな。

ここを攻略出来るとしたらシエスとリリファスのパーティーだろう。ハードの10をクリアしたと言っていたが、それは学生時代の話で今ならエクストリームもある程度攻略出来るだろう。

  

「とりあえず変異種をもう一度調べる必要があるな」


変異種の特性を調べたいがメルファス本部じゃないと情報が集まらないだろう。調べる為にはリーゼロッテを使うしかないだろう。今日は時間が遅いので明日にでも呼ぶか。アーバスは明日に向けての準備をするとそのまま就寝した。

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