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215話 生贄達のその後

「主様お帰りなさい」


「ルーか、どうしたんだ?」


「主様に報告することがありまして来ました。詳しくはリビングでお話します」


アーバスがエクストリームの攻略を終えて拠点へと戻るとルーが拠点に来ていたようでアーバスが帰宅すると同時に玄関まで迎えに来てくれたのだ。拠点はしっかりと施錠していたはずなのだが、奥にルーファの姿が見えたのでどうやらルーファが中に入れたようだ。アーバスとルーファは定位置の椅子に座るとルーは空いていてルーファの隣の椅子へと座る。どうやら1人で来たようでシムタイやチッタの姿は見当たらないようだ。


「それでどんな報告なんだ?」


「はい。儀式に使われていたドラゴン達ですが、シヴドラ様の息子以外のドラゴンについては無事元の一族へと戻りました」


「そうか。それは良かったな」


シヴドラの野望阻止した後、目覚めた生贄のドラゴン達は衰弱していたようで元気になるまではルディック村で保護観察していたのだが、無事に元気になったみたいでルーはシムタイと一緒に元いた一族の所へと順次連れていったみたいだったのだ。


「はい。他の一族は全て無事だったようでした。ただ、生贄で連れて行かれたドラゴンについてはやはりシヴドラから脅されたのが原因だったようです」


「全面戦争をすると負けるから素直に渡したと?」


「そのようです。しかし目的がマハード復活とは知らなかったようです」


どうやら他の一族は戦争すると負けるからということで素直に差し出したらしい。何処の一族も求められたのは直系のことは理解していたのだが、まさかマハードを復活させるとは思っていなかったようで報告を聞いた時に驚いたのと同時に感謝されたそうだ。


「そうか。これでドラゴン達も危機感を持ってくれるといいな」


「それに関しては他の一族もこれを機に教育してくれるみたいですね」


龍王シヴドラの一族のみ壊滅したが、またマハードを復活しようと企んでくるドラゴンが出てこないとは限らないからな。なのでドラゴン達には第2のシヴドラが生まれないように教育して欲しいな。


「ところで龍王の直系が消えた場合って封印はどうなるんだ?」


アーバスは気になった疑問をルーに聞いてみる。何せシヴドラのところの直系のドラゴンは生贄として使われたドラゴン以外誰もいないのである。ドラゴンは長寿ではあるものの、何かの拍子でドラゴンの直系が消えた場合に封印に影響が出てしまわないかをアーバスは心配したのである。


「そこはどういう影響が出るかはわかりませんが、オルコンくんには他の一族ではありますが婚約者がいますので子孫が誕生すれば一旦は保留に出来るかと思います」


「そうか。細かい話はルーに合わせるよ」


オルコンとはシヴドラの息子の名前で、シヴドラの一族はオルコンを除いて全員ドラゴンゾンビ化してしまっていたようで、シヴドラと倒した際に全員死体となってしまった唯一の生き残りである。そのオルコンには他の一族に婚約者がいて、今回の1件を謝る際に同行したそうなのだが、その際に婚約破棄にはならずに今後成長した際に結婚するとのことらしい。なので結婚して子供が生まれれば当分は封印のことは気になくて良いとのことみたいだ。

ただ、一族が誰もいないこともあって1人で生きていくのは危険だとルーは判断したそうで一人前になるまではルディック村で生活してもらうこととしたそうだ。


「それと封印のことですが、これから情報を集めて精査という形にするつもりです。現状だと何処に封印されているかすら不明ですので」


「シヴドラが儀式したあの場所じゃないのか?」


「違うみたいですね。ただ、あの魔法はコラモカ山で行わないと意味がないとシムタイ様が言われていました」


どうやら封印されている場所と解放する場所は別々みたいだ。シヴドラの魔法も発動して効力を発揮する前に破壊したので発動した魔法が何処へ向かったまでアーバスは確認していないからな。魔法陣も解析せずに破壊してしまったので再現は難しいか


「そういえば次元艦隊には再現機能があったな」


再現機能とは次元艦隊の艦橋の中央にあった模型に当時の状況を再現出来るという機能である。次元艦隊が読み取った模型なので細かい場所がズレるかもしれないが、大まかなものだと模型上で再現出来るかもしれないな。


「そんな機能があるのですね」


「これを使えば他の場所で魔法陣を再現しても良いかもしれないな」


コラモカ山でこの魔法陣を発動させればうっかりで大変なことになるかもしれないがら何も無さそうな場所で再現してしまえば誤ってマハードが復活するといったことはないだろう。


「ですがその際は幹部を始めとした主力は用意しておいた方がよろしいかと思います」


「言われなくても最初からそうするつもりだよ」


誤って復活なんてしたら世界情勢がとんでもないことになりかねないからな。なので再現をする時には面倒ではあるが、リリファス達勇者パーティーにも来てもらうつもりだ。


「それとなのですが、他の龍王達から主様達にお礼をしたいとのことで宴会を開けないかと要請されました」


「こっちは私的に動いただけだから感謝されることなんてないんだけど?」


トゥールは売られた喧嘩を買っただけで向こうから喧嘩を吹っかけられなければマハードが復活するまで放置していただろうな。マハードがどの程度かは知らないが、世界情勢に影響が無ければドラゴンの住処が襲われようが何もしなかったかもしれないしな。


「主様がそうなのは知っていますが、僕の面子の為に参加して頂けると助かるのですが」


「まぁいいだろう。ルーには世話になっているしな」


「ありがとうございます」


これがシムタイだったら不参加を通達していただろうが、ルーの為だから仕方ないな。


「日程は何時がよろしいですか?」


「土曜日だと助かるな。他の日だと学園やダンジョンがあるせいで自由な時間が取りづらいからな」


ジョーカーとして活動している時なら自由に時間を調節出来たのだが、学園に入ってからは授業やダンジョンで時間が縛られる生活を送っているから今では土曜日しか自由な日はないからな。


「わかりました。では再来週の土曜日でもよろしいですか?」


「いいだろう。一応トゥールから3人幹部を連れて行くつもりだからその席は用意しておいてくれ」


「はい。用意しておきます」


ルーがいるとはいえ場合によっては敵地となり得る場所に1人で行くことなんてないからな。一応宴会ということなので社会性に問題ない幹部を連れて行くつもりだが、よく考えたら社会性に問題のある幹部って少数派だったのでそいつ等を外せば問題ないか。


「ルー、そういえばエバクから完成したシールを受け取っています。このアイテムバッグに入っていますので宴会の際に使用感を聞かせてください」


宴会の話が纏まったところでルーファがルーにそう話す。ルディック村に直接持っていくという話だったが、ルーファに納品で会った際についでに渡してきたとのことだった。話は先週だったはずなのに一週間で試作品を用意してくるとは流石だな。


「はい、ありがとうございます。僕中心に試してみようと思います」


ルーはそう言ってルーファからアイテムバッグを受け取る。ルーからの報告と相談はそれだけだったようだったのだが、ルーは転移使えない上にもうを街の外には出れないのでアーバスは転移でルーをルディック村へと送っていったのだ。

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