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213話 欲しかった武器

「余裕ですね」


とリリファスは25層のボスである変異種のボスコボルトを倒すと退屈そうにそう呟く。サーラと比べるのも悪いが道案内だけしているとはいえ攻略速度が段違いだな。アーバスとサーラの場合は調査の名目で潜っているので新しいモンスターが出るたびにデータも取っているのでその分時間をロスしているんだけどな。


「アーバス、まだ辿り着きませんか?」


「まだだな。それが分れば残りの攻略階層が分かるのだけどな」


20層目から先はアーバスとサーラは不可抗力で階層をスキップしてしまう事態となってしまったからな。そこからボス戦10回でクリアまではわかっているのだが、肝心な変異種のウルフが出てこないのでまだ全体の階層を把握出来ずにいたのだ。確かあの時のボスはゴブリンじゃなくてレアのボスオークだったからその影響もあるのかもしれないけどな。


「そうですか。わからないのも困りますね」


「でも、ウルフになってからボス戦10回なんでしょ?終わりが見えているだけマシよ」


とシエスはションボリしているリリファスを励ます。終わりが見えていないとはいえそれは合流するまでだ。エクストリームのレベル1の攻略は終えているので終わらない道を進んでいるわけではないからな。


「その分戦闘回数が増えているのだからお前にとっては朗報だろ」


「そうですが、やはりダンジョンは早く攻略したいものですからね」


アーバスがサーラとダンジョン攻略しているとはいえ1回の攻略では2層ちょっとが限界だからな。アーバスはダンジョンの攻略速度がサーラを超えないか不安であるものの、サーラとのエクストリームはまだ詰まってはないのでそこは安心かな


「アーバス、開けて良いですよ」


「えっ俺がか?」


リリファスは当然のようにアーバスに宝箱を譲ってきたのでアーバスは驚く。宝箱を開けるということはそこから出たアイテムはその人の物になるのだ。確かにリリファスのパーティーは前回の攻略でパーティーメンバーが全員開けていたのだが、パーティー外であり、道案内しかしてないアーバスにそれが回ってくるとは思わなかったのだ。


「当然です。アーバスが居なければここまでスムーズではないですからね」


「そうだな。むしろ俺達パーティーメンバーの方が仕事をしていないまであるからな」


「アーバス様、これはパーティーのルールですので素直に貰ってください」


どうやらリリファスのパーティーでは協力者であっても宝箱を開ける権利があるらしい。アミール達の時は倒した人が開けて必要な人が居ればその人に譲るルールだったからな。パーティーで宝箱を開ける方針が異なるとはいえパーティー外にも宝箱を開けさせるなんてリリファス達も懐が深いな。


「わかった。ありがとう」


アーバスは素直に感謝を伝えるとリリファスの前にある宝箱の前まで移動する。宝箱は銀色であり、これはボス戦ではいつものことだな。本当は銅色なのだろうが、レア度+1によって宝箱のランクが1つアップしている状態だな。


「お、どっちだ?」


宝箱を開けるとそこに入っていたのは薄暗い色をした剣が入っていたのだ。刀身は全体的に薄暗いものの、少し濃い紫色が入っていて真っ黒である龍刀と比べたら違うことは明らかだ。


「闇属性の剣ですか」


「これは属性剣かどうか大事だな」


出てきた剣は闇属性で、まだ鑑定を掛けていないので属性付きの剣か属性剣かまではわからないものの、これが属性剣だった時には下位属性であったとしても大当たりの性能なのである。アーバスは恐る恐る鑑定を掛ける。なんせ最初の1ヶ月に属性付きの剣や属性剣がいいペースでドロップしていたものの、それからは嘘のように殆どドロップしていないからな。稀に属性付きの剣は出るものの、それも下位属性で光や闇属性ですらなかったしな。


「暗黒属性の属性剣だと」


なんと鑑定結果は闇属性の上位暗黒属性の暗黒刀でリーゼロッテが得意とする属性である。アーバスはこれの下位属性である闇属性の属性剣でも大喜びなのにまさかの上位属性により喜びを飛び越えて呆然とする。


「暗黒属性か。エクストリームでのドロップであるからとんでもない性能なのだろうな」


「アーバス、性能を確認したいので借りてもいいですか?」


「あぁ。いいぞ」


アーバスはリリファスから性能の確認を求められると属性剣をリリファスに渡す。このパーティーは全員が鑑定を使えるのでわざわざ性能を言わなくて済むのは有り難いな。


「これは相当な性能ですね」


「そうだな。こんなのを見たら普通の属性剣がゴミに見えるぞ」


「ギルディオンそれは言い過ぎではないですか?」


「そうよ。それにしても相変わらず凄い性能をしているわね」


エクストリームの属性剣を見たリリファス達はその性能にただただ驚いていた。そりゃエクストリーム産とノーマルの属性剣を比べるのは良くないことであるのだが、それでも比べてしまうのは仕方のないところだろう。それに比べてエクストリーム産の属性剣を見たことがあるシエスにはそこまでの驚きはなく、相変わらずの高い性能に呆れているくらいだ。


「シエスは驚いていないのだな」


「雷刀を見ているからね。そういえばイレギュラーボスでドロップした龍刀も同じくらいの性能だったわよね」


「アーバス、私は聞いていませんがそれはどういうことですか?」


「ドロップ品だったから必要ないかと思ったけど少し話すかね」


アーバスは雷刀と龍刀の入手経緯について話す。といってもリリファス達が驚いたのはイレギュラーボスの方だけで雷刀の方に関してはエクストリームの宝箱でのドロップな上に今出た暗黒刀と殆ど性能は一緒なので反応はそこまで大きくなかったな。


「イレギュラーボスですか、その噂は本当だったのですね」


「俺も聞いていたことはあるが、やはり信じられんな」


「そうですね。アーバス、その龍刀はありますか?」


「今はパーティーメンバーが属性習得中でな。借りるにしてもそれが終わってからだな」


属性の習得といっても後半月もすれば終わりそうなのでそこまで時間は掛からないだろう。龍刀を引き上げている間は今ドロップした暗黒刀を使えば問題ないしな。


「そこまでしなくても良いですよ。先にパーティーメンバーの属性習得を終わらしてください」


「そうよ。このペースだと冬には終わりそうなんでしょ?」


リリファスの言う通りこのままいけば冬までには現状ある属性剣の習得は終わりそうなんだよな。残るは聖属性であるが、こっちは今のところはドロップしていないな。それにそろそろ今持っているいる属性剣の属性が被りだしてきても不思議ではないしな。


「アーバス、ちなみに足りていないのは何属性なのですか?」


「聖属性だな。それ意外の基本属性は全てあるしな」


リリファスが唐突に足りていないの属性剣を聞いてくる。アーバスはそれに疑問を持たずに答えるとリリファスはアイテムボックスから何かを取り出す。


「これを貸すので暗黒属性習得までこの暗黒刀を借りてもよいですか?返却はアーバスのパーティーメンバーが全員習得してからで構いません」


と聖属性の属性剣をアーバスへと渡してきたのだ。どうやらリリファスは暗黒属性がまだのようでその為にわざわざ聖属性の属性剣を代替えで出したようだ。


「それだったら大丈夫だ。存分に使ってくれ」


「ありがとうございます。これで全属性を習得出来ます」


どうやらリリファスが足りていない最後の属性のようだ。リリファスの適性が光属性だったようで相反する暗黒属性は普通に習得しようとしてと出来なかったようだな。一方でリーゼロッテは暗黒属性が適性であるが、聖属性の属性剣で聖属性を習得しているみたいだ。


「これで暫くは暗黒属性を覚えましょうかね。『武器変形』」


リリファスは属性剣を早速ナックルへと変形させて装備すると次の階層へ行ってコボルトを次々と狩っていったのである。

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