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21話 階段が2つあるけどどうしよう

アーバス達は11層へと到着する。


「ん?」


アーバスが索敵をしたのだろうか。その結果に首を傾げる


「どうしたのアーバス?」


アミールはそれを見逃さずに聞いてくる。アーバスは言うか言わないか迷った後、アミールに達に伝えることにした。


「階段が2つあるんだよ」


まさかの次への階段が2つあったのだ。しかも隠し扉の先ではなく普通にダンジョン内にあったのである。アミールは少し考えると


「それって隠し扉の先にボスが居るってことね」


「そういうことになりますね」


階段が2つあることにアミールは午前中のハイオークを思い出していた。どうやら隠し扉があってその先に階段があると思っているらしいアーバスはそれを察してか


「そうじゃないんだよ。隠し扉とかボスがいるとかじゃなくて単純に階段が2つあるんだよ」


「どっちが近道とかわからないの?」


「わからないな。午前中にも話した通り次の階層や階段がどこに繋がってるかすら把握できないからな」


午前中にも話した通り、範囲的には索敵できるのだが、何かに妨害されているのか全く把握出来ないんだよなぁ

 

「近い方と遠い方があるのだがどっちがいい?」

 

近い方だとここから十分程度だが、遠い方だと30分程掛かる一番遠いところにあるのだ。こういう時には一番遠い所に何かあるのが普通なのだが、ここはダンジョンだからな。近い方が近道の可能性だってある。


「普通に考えると近い方がセオリーなのだけど、遠い方が何かあると思うよね」


「えぇ。私も遠い方が良いと思いました」


「なら遠い方に行くか」


2人とも遠い方が良いとのことでアーバスは最短距離で向かえるように案内しながら進んでいく。途中のモンスターはゴブリン複数体であり、特に苦労もなく進んでいく。その途中に宝箱が何回かドロップはしたが、全部銅のインゴットで装備は一切当たらなかった。アミールが悲しい表情をしていたがそこは運だし仕方ないな。


「そういえば階段って戻れるの?」


「そういえば戻ったことがないからわからないな。サーラ何か知ってるか?」


「聞いた話しならですが、大体は戻れるらしいですが、時々戻れない階段があるらしいです。詳しくはわからないそうですが」


「それはボス戦じゃなくてか?」


「そうですね。普通の階層でも起こるそうですよ」


ボス戦だと部屋に全員が入った瞬間に入口は消えるのだが、ボスじゃない階層でもそんなことが起こるらしい。あり得る話では隠し扉だ。あの扉は開けたら1分間しか開かないし閉じたらその日はもう開かないからな。その他にあり得るとしたら階段が2つある場合か。どちらかが近道だった場合、どっちも入るのを防ぐ為に戻れなくなる可能性ば十分ある。


「ちなみに普通に次の階層以外に行くことはあり得るのか?」


「隠し扉以外でのショートカットはあるらしいですね」


「ならあり得るな」


どうやら複数回階層をスキップできる階段が存在するらしい。恐らくこれはどちらかがそれだろう。


「スキップできる階段があるの?」


「そうかもしれないだけだぞ。確定したわけではない」


「それでもショートカット出来る可能性があるんでしょ。楽しみだわ」


アミールはそれを聞いて楽しそうにしながら進んでいく。当たりを引けてたらいいんだけどな


「着いたわね。どっちかしら」


「入ってみるまでわからんな。ここからでもわからないし」


階段が見えたが、ここから次の階層が目視で見えるわけはなく、かといって索敵魔法でも把握出来ない。視えてたら得な方に誘導するんだがな。


「さ、行きましょ」


アーバス達は階段を降りていく。階段自体は通常の階層と変わりなく、ボス前の階段みたいな小休止できるようなスペースもなかった。アーバスはハズレを引いたかそこまで大したショートカットではないと思っていたのだが、階段の先に見えたのがまさかの大部屋だった。


「もしかしてボスですか?」


「そうみたいだがどこのボスだ?」


どう見てもボスの部屋なのだが、相手のボスは見えておらず、そもそもどの階層のボスなのかがわからなかった。


「レベル6のダンジョンは全部で15層なので恐らく最下層ですかね」


「これでレベル6クリアね。さっさと倒すわよ」


「アミールちょっと待て」


そのままボス部屋へ突撃しようとしたアミールをアーバスは手を引いて静止する。


「何よ。どうせ余裕でしょ」


「それがヤバいって言ってるんだ。ちょっと落ち着け」


レベル6のダンジョンはここまで苦戦しておらずアミールのみでボス戦をクリアしている。その為、アミールに慢心が出てきており、このままでは油断して大ダメージを貰いかねないので静止したのだ。


「そもそもここが15層である確証がない。15層のボスだと思う方が良くない」


「じゃあ相手は何だって言うのよ」


普通に考えれば15層のボスなのだが、道中に例外がいっぱいあるのがダンジョンだ。アミール達には言ってないがレベル6のダンジョンだけでも既に3回隠し扉があったのだ。しかもその内2体はアミール達では勝てないモンスターだったからな。現在考えられるのは2つ。1つは15層のボスモンスター。恐らくこれならアミールだけで余裕だろう。最悪なのはハードやエクストリームのモンスターだった場合。この場合はアミールとサーラでは太刀打ち出来ないので、アーバス1人で戦う必要があるだろう。


「ハイオークみたいなパターンがあっただろ。それならどうする」


「ハイオークでも勝てたじゃない。余裕でしょ」


「それで突っ込んでHP0になってもいいが、その場合俺とサーラはレベル7に行くから1人でレベル6頑張ってくれよ」


勝手に突っ込んで死ぬのはいいが、忠告して退場する奴にそこまでフォローする必要もないしな。サーラがアミールを手伝うのであればアーバス1人でエクストリームに行ってもいいしな。


「それは嫌ね」


「なら話を聞くんだな」


アミールは静かに頷く。これでちゃんと話ができるな


「サーラ。最奥のボスが何か知ってるか?」


「えぇ。確かハイゴブリン5体だったはずです」


どうやらハイゴブリン5体らしい。アミール達なら問題ないが、Sクラスの普通のクラスメイトだと確実に手こずるな。消耗具合によっては全滅もありえる場面だ。


「ハイゴブリンならアミールだけでも問題ないだろうが念の為だ。その場合はサーラ、アミールにバフを掛けてくれ」


「わかりました」


「問題はそれ以外の場合だな。アミールでも問題なさそうならお願いするが、無理そうだと判断したら俺が出る」


モンスターの魔力で対処出来るかわかるからな。変異種の可能性もあるが、その場合だとモンスターの保有している魔力が明らかに大きいから流石に気づくだろう。


「むしろアーバス1人で大丈夫なの?」


「全員で戦わなくていいのですか?」


「大丈夫だ。そう簡単には負けないからな」


アミールとサーラが聞いてくる。が、そこは問題ないな。最悪負けても入口へ飛ばさせるだけだしな。俺1人で攻略出来なければこの学園で攻略出来る人はいないだろう。


「アーバスがそう言うならいいわ」


「そうですね。でも何かあったら頼って下さいね」


「あぁ。わかった」


簡単な作戦会議を終えてアーバス達はボス部屋へと足を進める。全員が部屋に入ると中央に魔力が集まっていきボスモンスターが現れる。


「ハイゴブリンが5体…」


現れたのはハイゴブリンが5体。だが、アミールは突撃することはなく、アーバスの方を見る。アーバスは直ぐに鑑定を行う。


「普通のハイゴブリンだな。アミール任せた。サーラ、アミールにバフを」


鑑定の結果は普通のハイゴブリン5体。特に偽装も無ければ魔力も多い個体もいなかった。警戒損ではあったが、これはこれで問題ない。


「スペシャルアップ、オートキュア」


「アーバス。行ってくるわね」


サーラのバフを確認するとアミールはそのままハイゴブリンへ向かって駆け出していく。ハイゴブリン達は火球で応戦するが、アミールはそれを速度を落とさずステップだけで全て躱す。アミールはハイゴブリンの1体の前まで行くと勢いそのままでハイゴブリンを斬りつける。ハイゴブリンは棍棒で受け止めるが、氷刀には既に氷属性が付与されて鋭く尖った氷は棍棒で砕けることはなく、逆にバターのように棍棒ごとハイゴブリンを真っ二つにする。


「まずは1体目ね」


周りのハイゴブリン達もボーッとその光景を見ていた訳ではなく、アミールを攻撃しようと近づいて行くが


「ゴブッ」


氷刀の影響か、ハイゴブリンが近づくだけでその足元に氷が纏わりつき、ハイゴブリン達は足を完全に氷漬けにされ、身動きが取れなくなる。


「そこっ」


アミールは後ろを振り向くと1番近くにいたハイゴブリンへ向かって攻撃をする。ハイゴブリンは足に気を取られて攻撃されたことに気づいておらず、気づいた頃には手遅れでそのまま光に還る。アミールは切ると直ぐに後ろへと回避し飛んできた火球を避ける。


「凍りなさい」


アミールは更に氷刀に魔力を更に込める。ハイゴブリン達の足元に出来ていた氷が更に胴体へと拡がっていく。更に身動きが取れなくなったハイゴブリンにアミールは一方的に攻撃を加えていく。


「これで最後よ」


一撃をハイゴブリンに与えると最後に残っていたハイゴブリンが光に還り、残った場所には宝箱が落ちていた。


「バフありとはいえ余裕ね」


アミールはそう感想を口にする。念の為ということでサーラからバフを貰ったが、実際はサーラのバフなしでも勝てただろうとは思う。


「そりゃサーラのバフは強力だからな」


アーバスは素直にそう口にする。アーバス自身もバフなしでも勝てたとは思っているが慢心するアミールを退場させない為に敢えてバフを掛けたのだ。これだと多少被弾してもHPが0になる心配はないしな。


「ともあれレベル6はクリアだろう。お疲れ様」


「そうね。もうレベル6クリアしたのね」


「クリアしたのに実感が湧きませんね」


苦戦せずにレベル6をクリアしたからだろうか。アミールもサーラも実感がないようだ。


「ともあれ宝箱だ。最下層のボスからは確定で装備らしいな」


最下層のボスからは装備品しかドロップしなかったりする。ボスの素材を落ちるには落ちるのだが、その場合は宝箱とボス素材と2つドロップするとのことだった。


「そうなのね。いい装備が出るといいけど」


「そうですね」


アミールは宝箱を開ける。するとそこ入っていたのはネックレスだった。


「これは装飾品ね」


「だな。使えるものだといいが」


アーバスは鑑定を行う。鑑定で出てきたスキルは魔力消費減少のリングだった。パーセントは0.5%ハイゴブリンからだけあってパーセンテージは結構あるな。


「魔力消費減少だな。大当たりだな」


「ホント。やったぁ」


スライムキングよりかは劣るがそれでも通常のモンスターから出る装飾品ならほぼ理想値だろう。道中だったら0.1%だっただろうな。


「これは誰が使うべきかしら」


「これはアミールでいいだろ。今後もメインで戦うだろうし」


消費量だけで言うならスペシャルアップとオートキュアを使うサーラだが、サーラが魔法を使う場面はレベル6ではそこまでなかった。なので各戦闘で魔力を消費しているアミールが装備する方が総合的には抑えれるだろう。


「わかったわ。使わせてもらうわね」


「あぁ。レベル7以降も頼むぞ」


「任せなさい」


アミールはそう言うとネックレスを首に掛ける。そのまま先の階段を降りると転移陣が出現し、アミール達は転移陣を起動されると地上へと戻っていくのだった。

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