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202話 Aランクへの道のりは長い?

「アーバス勝てたわ」


「おめでとう。完璧だったな」


アミールはウィッチを倒して駆け寄ってくるとアーバスとハイタッチをする。今回は目立って危ないところも無かったので過去1番完璧な立ち回りだったな。


「ウィッチ相手に完勝なんてすげぇな。Aランク昇格も近いんやないか?」


「それはないわね。属性数が足りてないわ、そうでしょアーバス」


「だな。アミールくらい完璧でも3属性は必要だな」


アミールは魔力操作が格段に上手になったことによりベースである自身の身体強化や魔力の出力が上がったことでこれまでよりも安定してAランクモンスターと対峙することが出来るようになったのだが、それでも戦えるのはAランク下位のモンスターくらいまでだろう。立ち回りの安定性も必要なのたが、それよりも使える属性数が優先されるのがAランク冒険者だからな。


「3属性ね。もし、3属性習得出来たら昇格試験って受けてもいいのかしら」


「アミール達が希望するのならいいぞ。こっちは止める理由がないからな」


なんせ昇格試験は冒険者に与えられている権利だからな。それと止めるつもりはないのだが、昇格試験は一度不合格になれば1年間受けれないという制限があるので確実に合格出来るくらいの実力があれば止める理由がないからな。


「そうなればウチもBランク冒険者を目指さないとアカンな」


と、アミールに触発されてリンウェルも冒険者ランクを上げるつもりでいるようだ。リンウェルはダンジョンで道中のモンスターを倒して腕を磨いて貰っているが、こちらも無難に倒せているからな。ボスも最下層以外は半分担当しているのだが、問題なく倒せているので順調にいけば夏休み中にはBランク冒険者の昇格試験を受けれるくらいには成長してくれるだろう。


「アーバスは冒険者ランクを上げる気はないの?」


「俺の場合は直接依頼が来るせいか冒険者ランクが必要ないからな。今の所上げるつもりはないな」


何せアーバスへの依頼は指名依頼が大半だ。暇つぶしにルーファから依頼を受ける時でも高ランクモンスターに関してはルーファ商会からの指名依頼として受けてやっているからな。

普通にクエストを受ける時は冒険者ランクがないとSランクなどの上位依頼を受けることは出来ないが、指名依頼に関しては相手の冒険者ランクが足りていなくても指名することは出来るからな。

これはリリファスが作った抜け道みたいで、これよってアーバスのような冒険者ランクに見合っていない実力者に高ランクの指名依頼を出すことを可能にしているみたいだ。ただ、リリファスがこれを使うことは滅多になく、基本はメルファスにいる時にリリファスに呼び出されて依頼を受けるということが殆どだったけどな。

それにアーバスが高ランク冒険者になると冒険者協会からの強制参加依頼が増えてメルファスの依頼に支障が出てしまうことも予想されるからアーバスは敢えて冒険者ランクを上げていないのだ。


「ランクに見合ってない指名依頼なんてどうやったら貰えるのよ」


「そう言われてもな」


俺も最初は地道にランクを上げるつもりだったのだが、リリファスから上げる必要ないと言われてからは上げることは無くなったからな。むしろ年齢相応の冒険者ランクでありながら実力は高かったのむしろ潜入依頼要因として重宝されて冒険者ランクを上げないくても良いとまで言われたからな。


「それよりもアミール、お前属性融合を使えたなんてな。練習してたのか?」


最後のウィッチへの攻撃だが、あれは属性融合だった。氷属性と雷属性の属性融合は2属性付与と見分けがつきにくいのだが、見分け方としては氷属性の中に雷属性が見えるかどうかだな。これが2属性の付与なら氷の表面に雷を纏うだけなのだが、属性融合だと氷の中を雷が纏っていて表面の纏う雷が少いのが特徴なのだ。


「思いつきよ。原理はサーラが聞いていたけど使うのはあれが初めてよ」


どうやら思いつきで使ったみたいだった。思いつきでやるにしてもサーラでも失敗するくらい高い技量が必要なのだ。それを1回の実践で成功させるなんて普通の人では難しいからな。


「それでも凄いですね。私もまだ安定して成功してないのですからね」


「そうだな。思いつきで成功するくらい簡単なものでは無いからな」


サーラは最初の頃と比べれば属性融合が出来るようになったものの、それでもまだ実践には投入出来るくらいの安定性は無いからな。アーバスも最初は属性融合が安定しなかったので実践で使うようになったのは属性融合がだいぶ安定してからだったからな。それと比べたら1回で成功したアミールがどれだけ凄いのかが分かるだろう。


「そうなのね。でも、偶々だと思うからこれから本格的に練習することにするわ」


「そうだな。魔力操作もこれ以上することはないしな」


アミールは放課後の練習を魔力操作をメインしていて属性融合の練習はしていなかったかったからな。魔力操作も今ではアーバスの補助なしで水晶内の形を自由に変えれるくらいなのでアーバスから教えれることも殆ど無くなっていたので新しい練習を始めるのに丁度よい機会だろう。


「まさかこんな形でアミールに追い抜かれるとは思いませんでしたね」


「そうだけど無理して焦ったら逆に失敗するから無理しなくてもいいぞ」


属性や新しい技術を身につける時に必要なのは自分のペースで習得することだからな。魔法を習得するには必ず個人差が出てくるので劣等感を感じるかもしれないが、諦めずに練習するのが習得する近道だからな。


「さてと、宝箱を開けようかしら」


アミールは自身の方針が決まったことに満足したのか宝箱の前に立つ。宝箱は金色の光を放っており、アミールが金色の宝箱をドロップするのは初めての出来事だな。


「ネックレスの装飾品よね?」


「そうだな」


アミールが宝箱から取り出したのはネックレスであり、見た限りでは市場で売られている宝石の装飾品と瓜二つにみえるがこれはれっきとした装飾品だ。普通の装飾品のネックレスは中央の装飾の部分が赤色で固定されているのだが、これは金箱からなのか水色になっているな。


「これは周囲に自身へのバフを付与出来る装飾品みたいだな」


「バフを味方に?どういうことかしら?」


アミールに大まかに効果を説明するが、理解していないようなのでこれは詳しく説明する必要があるな。


「アミールは戦闘中に自分の身体に身体強化の魔法を掛けているだろ?」


「そうね。じゃないと高ランクモンスターと戦えないもの」


高ランク冒険者は戦闘が始まると自身にバフを掛けて戦っているからな。これは誰であってもそうで身体強化の魔法なしで戦うとモンスターの攻撃についていくことが出来ないからだ。なのでこのバフがどの程度使えるのかで冒険者ランクをアップさせる上での基本的な指標となっていたりする。


「このネックレスは半径20メートル以内にいる味方にそのバフの10%を付与出来るんだ」


要するに周囲への簡易的なバフである。アミールからしたら些細なことかもしれないが、自身のバフの10%を他者に還元出来るとなると普段以上の実力を出すことが出来るからな。更に自身へのバフというところがポイントでこれによりサーラのオールアップなどの味方を対象としたバフも対象なのである。


「これ凄すぎないか?」


「大当たりと言われている装飾品の1つだな。金箱からだから強化値と対象範囲が広いのがいいな」


この装飾品は市販されていたいるものやダンジョン産が売られていたりするのだが、いずれも効果は1%多く、仮にそれ以上の効果があったとしても対象範囲が直径10メートル以内など実用的に使うには難しいものばかりが多いからな。なのでこの水準の装飾品は大当たりといっても良いだろう


「そうなのね。アーバス、これを団体戦でも使っていいかしら」


「良いけど他の武器や属性と同様に決勝からだぞ」


「わかっているわ」


わかっているのかどうかわからないがアミールはそう返事する。果たして本当にわかっているのは団体戦が始まってみないとわからないな。

ドロップの確認が終わるともうダンジョンのタイムアップが間近に迫っていたのでアーバス達は急いで帰還するのであった。

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