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18話 レベル6ダンジョン

「さて午後も攻略するわよ」


昼休みを挟んですっかりとアミールの調子は元に戻ったようだ。


「さっきまで呆然としてたとは思えないな」


「そうですね。ところでレベルはどうなってるんでしょうか?」


サーラがそんなことを聞いてくる。そういえば次のレベルを確認する前に昼食になったからな。


「そうね。ちょっと確認しましょ」


そう言ってアミールはダンジョンのレベルを確認する。


「何これ」


「どうしましたアミール」


アミールがレベルを確認して驚いていた。恐らくレベルが結構上がったみたいだな。レベル6以上だと素材やドロップが落ちやすくなるので資金も稼げるし有り難いのだが


「レベル6に行けるようになってる」


「本当ですか?レベルって1ずつしか上がらないのではなかったのでしょか?」


ダンジョンをクリアするとレベルが1上がるのがダンジョンの常識だ。それがいきなりレベル6になったのだから衝撃だったのだろう。昨日俺もびっくりしたところしな 


「なんか隠し扉の先のモンスターを倒したらそれ以上のレベルのダンジョンへ行けることもあるらしいからな」


「そうなのね。アーバスそれ知ってたの?」


「昨日の隠し扉のボスを倒すまでは知らなかったな。最下層まで行ってないのにレベル上がったから不思議で調べたんだ」 


「そうなんですね。私も初めて知りました」


俺もルーファから聞いただけなんだけどな。


「これで初心者向けも卒業ですか」


「なんか呆気ないわね」


レベル2も少し攻略しただけでもうレベル6へ行けるのだからショートカットも良いところだな。ただ、これからが大変らしいけどな


「気を取り直して行きますか」


「そうね。行きましょ」


レベル6のダンジョンを選択して入ダンする。入ると相変わらずのトンネルのような構造の場所へと転移させられる。


「レベルが上がっても景色は変わらないのですね」


「そうだな。これがレベルがまだ低いからのかそれともずっとこのままなのかはわからないな」


外の世界みたいに景色などを見ながら自由に探索出来ればそれはそれで面白いんだがな。1番先を走っている探索者はどんな景色を見てるのかは気になってしまう。


「まぁそんなことを言っても仕方ないわ。先へ進みましょ」


「そうだな。まだ始まったばかりだしな」


景色は諦め、とりあえずダンジョンを進むことにする。索敵は既に済ませており、アーバスは次の階層までの最短ルートで抜ける為に曲がるところを指示しながら進んでいく。


「あれ、普通のスライムよね」


「そうだな」


最初のモンスターを発見したのだが、そこで戸惑うアミール達、それもそのはずで出てきたモンスターはレベル1のダンジョンで見かけるスライムなのである。アミール達はレベル2のダンジョンからなので普通のスライムを見たことはなく、ハイスライムからであるが、それでもレベル2で普通のスライムが出てくるのは異様な光景であった。


「なんでモンスターが弱体化するのよ」


「それは俺に聞かれてもわからんな」


ダンジョンといえば普通はレベルが上がる毎にモンスターがどんどん強くなっていくのが一般的なのだが、レベル6でまさかの退化したのである。アーバスも索敵を掛けたときに当然気付いていたのだが、ハイレッドドラゴンの1件があったのでスライムだろうと気は抜いて居なかった。


「とりあえず倒すわ」


アミールはそういうと特に何もバフを掛けずに普通にスライムを斬りつけるが、


「えっ」


スライムは一撃で消えることはなく、逆にスライムがアミールへその身体でジャンプして突撃してきたのである。


「きゃぁっ」


アミールはバフを掛けていなかったので攻撃をモロに喰らい、ダンジョンの壁へと叩きつけられた。退場してないのでHPがゼロになったのではないだろうが。それでも気絶しているようだった。


「サーラ。直ぐにアミールに回復を頼む」


「わかりました」


アーバスはサーラに回復を任せると直ぐに剣を抜き、スライムへと斬りかかる。自分の周りに障壁は張ってはいるが、特にバフを掛けずにスライムを切る


「全然だな…」


鑑定を使っているのでスライムのHP割合はわかるのだが、バフなしで実際に切って見るとダメージはほぼなく、アミールとの攻撃を合わせても1割にも満たなかった。アーバスは次に身体強化魔法を入れて斬りつけてみる。すると


「キュゥ…」


との声と共にスライムは光に還り、スライムゼリーがその場に落ちる。レベル6なだけあってドロップは一発で落ちたのだが、それよりもこの戦いでレベル6からはちゃんと身体強化魔法を入れたりして戦わないとまともにダメージが入らないことはわかった。


「なる程。こりゃ初心者ダンジョンと全然違うわ」


レベル1では何もせずに倒せていたが、レベル6ではしっかりと魔法を使えないと一切攻略出来ないみたいだな。レベル1と同じように戦うとさっきのアミールみたいに返り討ちになるだろう。レベル6で退場する人間が多いと聞くがこれが理由だろう。レベル5まではダンジョンに慣れる為だけのもので本番はレベル6からなんだと改めて実感したところだった。


「アミール。大丈夫か?」


「えぇ。大丈夫よ」


アミールは気絶から復帰しており、自分が何されたのか理解はしている様子だった。


「ごめん。油断しすぎたわ」


さっきまでのレベル2だと魔法を一切使わずに身体能力のみで戦えたのでそのつもりでいったのだろう。やっぱりレベル5までは飛ばさずにクリアするべきだったか?


「気を抜いたな。レベル6からは難易度が上がるみたいだ。今まで倒せてたモンスターでも倒せなくなるから気をつけろよ」


「えぇ、次はうまくやるわ。アーバス道をお願いできるかしら」


アミールは先へ進むとのことなのでアーバスは道案内を行う。モンスターが少ないルートを通るか一瞬考えたが、アミールの為にならないと思い、いつも通り最短ルートを選択する。


「今度は油断しないわ」


その道中、またもやスライムとの戦闘になりアミールは油断しないと言った通り、身体強化の魔法をかけており、しかも氷刀に氷属性を付与までしていた。そこまでしなくてもスライムを倒せるとは思うのだが、そこはアミールなりの決意だろう。アミールはそのままスライムを切ると今度は一発だったようでスライムはスライムゼリーを残して光に還っていった。


「ふぅ…」


「やりましたね。アミール」


「身体強化なしだと厳しいけどこれなら余裕ね」


属性剣まで使ってはいたが魔力はそこまで込めてないようでアミールもまだ余裕そうだった。


「あまり油断はするなよ」


「えぇ。ただ、使う魔力は調整した方がいいわね。無駄に消費するのは良くないし」


「そうだな」


その後、次の階層まで何回かスライムとエンカウントしたが、アミールはその度に魔力の出力を調整しながら戦っていき、次の階層に着く頃には出力の調整は終わったようだった。


「ありがとうアーバス。力の使い方が何となくわかったわ」


「俺は道案内をしてるだけで何もしてないぞ」


「確かにそうね。次の階層もお願いするわね」


「あぁ」


アミール達は2層目へと階段を降りていく。そして2層目に降りてアーバスが索敵魔法を掛けた時だった。


ガキィーン


と障壁にとんでもない衝撃が走る。アーバスは索敵魔法の使用をやめて障壁を更に強固なものへと張り替え、遠距離攻撃のみ対応していた障壁を全てを通さない障壁に変更する。


「アーバス今の何?」


「さぁな。ただ、強敵なのは確かだな」  


アーバスは障壁の安全を確認すると再び索敵魔法を掛け、2層目の全ての情報をサーチし終える。


「やっぱりか」


2層目のモンスターは相変わらずスライムだらけなのだが、その中で1つ異質な存在がいたのだ。アミールでは完全に実力不足であるが、昨日のハイレッドドラゴンと比べればまだ楽な部類だろう。


「アーバス何かわかったの?」


「あぁ。1体だけやけに強いモンスターがいるな」


「へぇ強いのね」


「アミールはやめとけ。返り討ちだそ」


「えー。残念だわ」


アミールが露骨に残念がる。後々に出るとは思うのでそう残念がらないでほしい。幸いにもそのモンスターはすぐそこなのでアミール達と一緒に移動する。移動中にも攻撃は飛んで来てはいるが、障壁がしっかりと機能しており、さっきみたいな衝撃は一切なかった。


「これはスライムですか?」


「そうね。親玉って感じかしら」


「そうだな。スライムキングだっけか?」


歩くこと数分。そこには特大に大きいスライムがいたのだった。相手がスライムなので恐らくは突然変異か進化が一番あり得るだろう。ダンジョン内でも進化することは昨日確認したからな。あり得ることとしてはハイスライムか何かに進化してしまってその個体が探索者を狩りまくって更に進化していき今に至るのだろう。外の世界でもそうだが、モンスターを倒すと魔力が上がったりするのだが、それはモンスターも同様でモンスターも他のモンスターや冒険者、探索者を倒すとまた成長するのだ。


スライムキングは息を吸ったかと思うと、小さなスライムを亜音速で吐き出し障壁に直撃する。さっきの衝撃はそれが障壁に当たったことで起こったのだと確信する。


「確かにこれを避けるのは私じゃ厳しいわね」


「本来はもっとレベルの高いダンジョンのモンスターだろうからそれまでに実力をつけてくれればいいさ」


初心者がスライムキングに立ち向かうのは厳しいからな。本来ならどこで出てくるのだろう?後で情報を色々集めようかな。


「サーラ。丁度いいからここから魔法でスライムキングを攻撃してくれ」


「わかりました。ちなみに弱点とかありますか?」


「スライムだからな。火が弱点だ」


モンスターは変異種にならない限りは弱点は変わることはない。スライム系には青いブルースライムというのがいるのだが、こいつは水属性の攻撃をしてくるのにも関わらず火が弱点であり、水属性なこともあって更に風属性まで弱点が追加されているのだ。ただ、共通の弱点よりかは属性の弱点で攻撃したほうがダメージは出るので使えるのなら属性の弱点で戦うのがセオリーだ。スライムキングは属性の弱点がないので火しか弱点はないのだけどな。


「行きます。ヘルファイア」


サーラより火属性の中でも上位の魔法がスライムキングへ向けて飛んでいく。スライムキングは身体が大柄なこともあって避けることも出来ずに直撃し燃え上がる。


「ギュゥゥゥゥゥゥ」

 

スライムキングが燃え上がりながらもスライムを飛ばして来るのだが、それはアーバスの障壁によって阻まれる。このスライムキングは基本動くことはなく、移動したとしてもゆっくりな為、逃げようとしても簡単に追いつけたりする。なので亜音速で飛んでくるスライムさえ何とかしてしまえばただのカカシなのである。サーラがヘルファイアを打ち込むこと数発、スライムキングは光に還り、スライムキングのいた場所には宝箱が落ちていたのである。

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