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172話 作戦は意外にもない?

「さて、ここならモンスターは来ないわね。作戦会議をしましょうか」


隠し扉の入口が閉まったのを確認すると、シエスは作戦会議の打ち合わせの合図をする。パーティーのリーダーはギルディオンだが、作戦会議はシエスが仕切っているようだ。


「と言っても変異種のハイレッドドラゴンではないですか。そこまで苦戦しないですよ」


「リス、久しぶりのパーティーでの討伐なのよ。連携の確認も必要よ」


とリリファスの余裕発言にシエスが苦言を呈す。このパーティーなら変異種のハイレッドドラゴンくらい余裕だろうが、シエスは作戦よりも連携の方が大事みたいだ。何せ学園を出てからは時々パーティーで潜っていたみたいだが、メルファスやギルドが出来てからは禄にパーティーで行動していないそうで、パーティーを組むのも500年以上ぶりらしい。


「そんなの必要ないですよ。私が前衛で他の人がサポートではないですか」


「どんなパーティーなんだよ」


リリファスの言葉に思わず突っ込みを入れてしまう。確かに前衛はリリファスでメインアタッカーとして戦うだろうが、相手はハイレッドドラゴンで上空で戦うモンスターだ。普通なら高火力の魔法を打つ時の合図だとか行動パターンの打ち合わせとかはするはずだぞ


「アーバス、嘘かもしれないが実際そういうパーティーなのだ」


「主にリスが作戦を理解してくれないからだけどね」


「そうです。リスを避けて魔法を叩き込むこちらの身にもなってください」


と、ギルディオンを皮切りにシエスとリーゼロッテもリリファスの文句を言う。リリファスがメインでサポートをしているパーティーと思っていたが、リリファスが作戦を聞けないから皆がサポートに回っているだけなのか…


「アーバス、何ですかその目は。何か言ったらどうです?」


「よく教皇の仕事をこなせてるなと思ってな」


チームプレイは出来ないのに任務を振り分ける仕事はしっかりと人を見極めて依頼を出しているなと思ってしまったのだ。


「リスはシュミレーションボードは得意ですからね」


「人に押し付けるのは昔から上手かったからな。そのせいで雑務が大変だったんだぞ」


「ちょっと、皆してなんてことを言うのですか!?」


どうやら自身が関わらないシュミレーションボードは得意だったようだ。自身がやると出来ないが、関わらなければ問題なく出来る人間か。そして困ったら全部ギルディオンに押し付けていたと


「この際なのでアーバスに普段のリリファスを知ってもらおうかなと思ってね」


「そうだな。意外とこいつはポンコツゥ」


「ギルディオン。ポンコツは余計です」


ギルディオンが言い切る前にリリファスがギルディオンを殴りつける。リリファスは何でも出来ると思っていたが、意外ととんでもない弱点があったなんてな


「そんなわけだから連携なんてものは現場で何とかしないといけないのだ」


「そうですね。メインは私達サポート側の確認ですからね」

 

「そういうことだからアーバス、変異種のハイレッドドラゴンの情報を教えてくれるかしら」


と、顔を真っ赤にするリリファスを置いておいてアーバスもシエス達に混ざって情報の共有と作戦会議に参加する。一応リリファスも参加はしていたのだが途中から話が難しくなったのか、目を泳がせながら聞いていた。


「ところで、進化覚醒のモンスターって進化しても弱点属性は同じなのか?」


と、アーバスは火属性が弱点の前提で勧めているシエス達に対して聞いてみる。外では進化の際に余計な魔力が加わったり、それまでに与えた属性で弱点が変わるのでアーバスはダンジョンもそうだと思っていたのだ。


「ダンジョンの外では進化することでの弱点属性の追加はランダムね。でも、ダンジョンでは影響があるのは進化先だけで弱点属性は変わらないのよ」


そんなことを言うシエスに信憑性があるのは気の所為だろうか。ダンジョン内ではそんなことを実験することは無いだろうからあるとしたら事故だろうか


「アーバス、何故私の方を見るのですか?」


「それが1番あり得るのかなって」


シエスの話を聞いてリリファスの方を見るとリリファスはそんなことを聞いてくる。これまでのやらかしエピソードを聞いていたら真っ先に疑うのは当然だろう。


「ミーちゃんアーバスが虐めるの」


と、リリファスは半泣きになりながらリーゼロッテに泣きつく。リーゼロッテは何も言おうとはせずにリリファスの頭を撫でている。何だろ、アーバスにあった教皇のイメージが今日1日でガラガラと崩れていっているのは気の所為だろうか。


「おい、実年齢800超えた奴がそんなことをしても痛いだけだぞ」


「五月蝿いですね。見た目は20代なのでセーフです」


「そうですよ。実年齢は関係ないです」


「むしろ見た目は20代なので痛くはないはずよ」


「それは実年齢を知らない時しか有効にならないんだぞ」


と、ギルディオンに泣きながら反抗する。アーバスもギルディオンと同じことを言おうとしたのだが、先に言ってくれたお陰で助かった。後シエスのは何も擁護になってないからな。


「でもやらかしたのはパーティー全員なのよね。最初は攻撃チャンスと思って総攻撃したのよね」


「それで災害級になったのは良い思い出ですね」


と、シエスとリーゼロッテは振り返る。どうやらダンジョンに入って間もない頃に進化に遭遇して総攻撃をした結果超強化されたモンスターに全滅したそうだ。


「ではエクストリームを解放しに行きましょうか」


「そうね。アーバスもそれでいいわね」


「良いも何も決定権はそっちだからな」


アーバスは助っ人としての立場だからな。道案内できているので戦闘には参加しないつもりでいるからな。

と、そのまま隠し通路を歩くとやがてレッサーレッドドラゴンのいる部屋へと辿り着く。


「あれが例のレッサーレッドドラゴンですか」


「そうだな。で、どう戦うんだ?」


アーバスはそう聞きながらレッサーレッドドラゴンを指差す。レッサーレッドドラゴンは空中で飛んでいる状態で、リリファスが攻撃しようにも届かない位置にいるのでリリファスに任せるにしても1回地上へと落とす必要があるだろう。


「それはこうやるのだ」


ギルディオンはレッサーレッドドラゴンに向けて剣を大量に飛ばし始める。剣の軌道は1本1本計算されており、レッサーレッドドラゴンは精一杯回避をしているものの、徐々にその高度を落としていく。途中何度か上昇しようとしたのだが、飛び上がろうとした上空には既に剣が飛んできていたのでレッサーレッドドラゴンは上空へ逃げるのを諦めて回避に専念したのだった。


「ギルディオンもういいですよ」


リリファスはレッサーレッドドラゴンを射程に入れるとその俊足で一気にレッサーレッドドラゴンへ近づくと拳を振りかぶる。


「せいっ」


と放たれた拳はレッサーレッドドラゴンと捉えると、一撃で進化するラインまで体力を削ったのかレッサーレッドドラゴンはその場で進化を始める。


「所詮はレッサーですね。進化が無ければ今ので一撃で倒していたのですがね」


威力は調整していなかったみたいでもしこれが外の世界だったら進化すらさせて貰えずに倒されていたのだろうな。アーバスは進化した方が素材の価値が上がるので進化させてから倒しているのだが、素材を気にしなければ一撃で倒す方が楽だろうしな。

ただ、ダンジョンでは外の世界のように上手くはいかず、一撃で倒せるダメージを与えたとしても倒れずに進化するみたいだ。


「ギャオオオォォォ」


と、進化を終えたハイレッドドラゴンが咆哮をあげる。その表面はクリスタルで覆われており見ただけで変異種とわかるくらいだ。


「本当にレベル1で変異種のハイレッドドラゴンが出るのですね」


「そうね。こうして直接見ないと信じれないけどね」


とリーゼロッテとシエスが変異種のハイレッドドラゴンが出たことに感想を言う。アーバスも実際にこの光景を見ないと信用しないだろうな。


ズドーン


そんなことを考えていた直後いきなりの衝撃と共にハイレッドドラゴンが宝箱へと変化していたのだ。


「変異種でも所詮はハイレッドドラゴンですね。まさか一撃で退場するとは思っていませんでした」


と、宝箱へと変化させた張本人は嗤うのだった

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