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171話 発見の経緯

グサッ


「キュッ…………」


ギルディオンの上空に待機していた剣がスライムを見つけるや否や剣自ら飛んでいきスライムに攻撃する。スライムは高速に飛んできた剣に反応出来ずに攻撃を受けると光となって消えていってしまった。


「所詮はスライムか。といってもドロップも何も無いのは虚しいな」


「ドロップしても大したものは出ないわよ」


「そうは言っても何もドロップしないのはモチベーションに関わるぞ」


と、倒したギルディオンはドロップが出ないことに文句を言う。ドロップしたところで大したものが出ないのはその通りなのだが、それよりもドロップが出ない方がモチベーションに影響が出るらしい。まぁ出たら出たで碌でもないものだといって勝手にモチベーションを下げてそうだがな。


「それにしてもレベル1に覚醒変異種なんて信じられないわね」


「そうですね。アーバスはどうやって見つけたのですか?」


「普通に索敵魔法に引っかかったんだよ。扉にもギミックがあったが、そっちも看破で見抜けたしな」


と、アーバスは見つけた経緯を話す。アーバスも別にエクストリームを出す目的で探したのではなく、単純に強そうなモンスターを探したらそこに行き着いただけだからな。


「隠し部屋への扉は看破で見抜けるのですね」


「そうなのですね。本当なら実際に試してみてもいいかもしれませんね」


と、リリファスとリーゼロッテは言う。隠し部屋への扉に看破が使えるとは思わないよな。アーバスも扉を開けるヒントがあるのではないかと思って看破をかけただけだしな。


「着いたぞ」


と、アーバスは目的の場所に着くと看破を掛けて確認する。看破を使うと隠し扉とギミックがアーバスに表示される。


「ここがそうですか。見た目は普通の壁ですね」


「そうだな。確かにこれだと誰も気づかないな」


リリファスとギルディオンは隠し扉の前でそんな感想を漏らす。なんせ見た目はダンジョンの壁と同じだからな。隠し扉はその殆どが発見されておらず、見つけることが出来れば幸運とも言われているそうだ。アーバスからしたら幸運でも何でもないんだけどな


「アーバス、他のダンジョンにもこの隠し扉はあるのですか?」


「どのダンジョンもあるな。エクストリームはわからないが、ノーマルダンジョンはほぼ毎層あるみたいだな」


アミール達と一緒に行っているノーマルダンジョンではほぼ毎層隠し扉があるからな。隠し扉といってもその先がモンスターの時もあれば階段の時もあるので必ず強敵のモンスターと戦わなければならないということではない。稀に宝箱の時もあるのだが、宝箱に擬態するミミックやノーマルダンジョンに不釣り合いのドロップがあるかもしれないからな。

そうなった時にアミール達が隠し扉に執着するかもしれないのでアーバスは初心者ダンジョンをスキップする為に行ったハイオーク以降は何があっても隠し扉を開けないようにしているからな。


「ほぼ毎層ですか。ということは開けてないのですか?」


「私が禁止したのよ。パーティーメンバーが置いてけぼりになるかもしれないからね」


アミールやサーラのことを考えたらもう少し先へスキップしてもいいのかもしれないが、リンウェルが今の状態でボス相手にギリギリな状態だからな。それにシエスからダンジョンのスキップを禁止されているのもあるけどな。


「でも、アーバス様のパーティーメンバーはBランク上位だったと記憶しておりますが?」


「今はCランクが1人いるからな。それにスキップすることで得られる魔力が減ってしまうのもマイナスだからな」


とリーゼロッテが聞いてくる。確かにBランク上位が2人いるのは確かなのだが、今はCランクのリンウェルもいるからな。Bランク上位しかいないのなら実力的に考えてもう少し上のランクに挑むのが普通だろう。ただ、ダンジョンでモンスターと倒すと外と同様に魔力が得られるからな。これが魔力が入らないのならもっと先へ進むのだが、スキップするとその分獲得魔力が減ってしまうのが痛手だな。


「凄いなアーバス、本当に看破で隠し扉のギミックがわかるのだな」


「あぁ、ただまだ起動はしないでくれよ」


隠し扉のギミックを確認して興奮するギルディオンにアーバスは念の為に言っておく。なんせ皆確認したいみたいだからな。この扉は1分しか開かないので開けられると急いで入る必要があるからな。他のメンバーも次から次へと扉に看破を使って検証していく。


「アーバス、他の扉も全て同じギミックなのですか?」


「それはわからないな。ただ、ハイオークと戦ったレベル2ダンジョンの隠し扉はここと同じ魔力を込めると解錠される形だったな」


他のレベルでは最短距離のルートに隠し扉が設置されていないので質問されても困るんだよな。それにもし、最短距離のルートに隠し扉があったとしてもアーバスは万が一の事故を防ぐ為にそのルートは避けていただろうしな。なのでアーバスが他のレベルで隠し扉を鑑定してギミックが同じがどうかを確認するのは困難なのである。


「そういえばハードへ行く為の隠し扉のギミックってどうなっているんだ?」


ルーファから聞いた話だとハードまで進んでいる最前線の探索者達はノーマルダンジョンを全てクリアしたのでなく、70層付近にある隠し扉のボスを倒してハードへ進んだという話だ。この話が本当だとしたら何かしらの方法で隠し扉のギミックを解除したということだろう。


「興味が無かったので聞いていませんでしたね」


「学生はハードへ行くことが無いのでギミックまでは聞いてないわね」

 

「私も基本はメルファスなので探索者については調査しておりませんね」


と、リリファスとシエスとリーゼロッテはそこまで興味がなかったのかギミックまでは知らないみたいだ。まぁ、ハードレベル1なら既にこのパーティーは攻略しているので今更近道が発見されたとしても興味が惹かれないだろうしな。と、アーバスはダメそうな目でギルディオンを見る。ギルディオンはその視線に気付くと


「何故残念そうな目で俺を見る。俺は知っているぞ」


と、抗議の声を上げる。というか知っていたんだな。リリファス達はギルディオンの言葉にへぇと頷くだけで特に関心は無さそうだ。そこは大事なことなんだから関心を持って欲しかったな


「条件だが、扉のギミックはここと同じで扉に魔力を流し込むと開くようだな。ただ、こっちは1分だが、向こうは30秒と扉の開いている時間が短いから効率良く入らないと1人だけ入れなくなるか。外から魔法で戦わないといけなくなるみたいだな」


最初に見つけた人物も入ることは出来たが、扉の開いている時間が30秒しか無かったせいでパーティーメンバー全員が入れなかったそうだ。


「ただ先にいたのが、ハイスライムキングだったみたいでな。それであっさりとクリアみたいだ」


ハイスライムキングとかスライムキングの上位モンスターであるものの、普通のスライムキングと違って物理耐性が極端に低いモンスターである。そのため、魔法アタッカーが少い冒険者や探索者からしたらボーナスと呼べるくらいのモンスターで、割られない障壁され張れれば難易度は非常に簡単だからな。


「なる程。それでハードへ行っている連中がそこそこ多いのか」


「だが、ハードのレベル1のモンスターはスウィントウルフだからな。誰も対処できずに負けまくっているらしい」


スウィントウルフとは高速と連撃に特化したウルフで、身体強化とバフがきっちりとしていなければ勝てないモンスターだ。普通なら障壁でしっかりと守って連撃を防ぎたいのだが、障壁貫通を持っているせいでこのウルフを倒すには自身が速度で勝つしかなかったりする。


「リリファス達はどう対処したんだ?」


普通に攻略したとはいえ、リリファス達がそれをどう倒したのかは気になるな


「私が殴り倒しましたよ。あれくらい勝って当然ですからね」


どうやら前衛アタッカーのリリファスが倒しきったらしい。前衛が勝てるのならそこまで苦戦しなさそうだな。


「ここで長話も良くないですししさっさと行きましょうか」


シエスがそんなことをいう。周囲のモンスターは弱いものの、なんせ今いる場所は隠し扉の前だからな。アーバスは隠し扉を解錠すると全員で隠し扉の中へと入っていくのだった。

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