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17話 vsハイオーク

「はぁぁぁぁ」


アミールがハイオークへ接近して剣を抜刀するが、その剣はハイオークの棍棒に防がれる。アミールは一旦後退するともう一度剣を振るう為に突撃する。ハイオークは棍棒をもう一度盾にしようとするが、アミールその棍棒を避けるように後ろに回り込むと膝裏を思いっきり剣で斬りつける。


「オおおおおおおお」


膝裏への攻撃が相当効いたのかハイオークは膝から崩れ落ち、膝立ちの状態になる。アミールはそれを見逃すことはなく更に背中にも剣で追撃を行ってダメージを与える。ハイオークは右足を立てるとそのまま棍棒を横に振り抜き、後ろへ攻撃しながら立ち上がる。アミールはこれ以上ダメージを与えれないと判断したのか後ろへ飛び退きこれを回避する。


「やっぱり単騎での優秀さは断トツだなぁ」


「一人で大立ち回りしていただけはありますね」


サーラはアミールが残り1人となっても回復がない中で相手の前衛をロイン以外全て倒していたことをアミールやアーバスから話を聞いていたのだが、サーラ自身もアミールの強さは理解していたものの1VS1でアミールがハイオークと互角に戦えるとは思っていなかったようであった。


「もう暫く様子見るか、サーラも大変だがよろしくな」


「私の場合は一回の出力が足りないだけで魔力量はまだまだ余裕ですよ」


「それは心強いな」


最初のやり取りを見た限りではアミールの方が優勢のようであった。アーバスはアミールが不利そうなら参戦するつもりだったが、これはどうやら参戦しないで大丈夫そうだな。心配なのはサーラのバフだがまだまだ問題ないとのことだったので当分は気にしなくていいだろう。

このハイオークを倒すと恐らくレベル6以降のダンジョンが開放される可能性が高いのだが、アミールとサーラがしっかりと戦闘に参加しているので二人共1つ上のレベルのみ開放ということはないだろう。そうなった場合は良いのだが、それより問題なのはアーバスの介入のし方である。本当であれば魔力弾による支援で相手の行動を妨害したりするのがセオリーなのだが、打ちすぎてメイン火力になってしまった場合にアミール達が本来開放されるはずだったレベルが開放されない可能性がある。そうなった場合、どこまで開放されているのかわからないのが困るところである。

どこまで開放しても本人達は喜ぶだろうが、アーバスとしては複雑な気持ちになってしまう。しかもアーバスはエクストリームまで開放してしまっているのでハイオークを倒したところで攻略できるダンジョンは増えないし、本来の開放されるレベルもわからないしでいいことが一切ないのである。故にアーバスはこのハイオーク戦はアミール達の力だけでクリアしてほしいと思っているのである。


(危なかったわ)


私はハイオークの攻撃を回避して着地するとそう思う。初撃を回避して相手の後ろへと回り込みダウンを取ったまでは良かった。オーク系などの二足歩行のモンスターは膝裏に一定量のダメージを一撃で与えると強制的にダウンするのよね。蓄積でもダウンはするけど、一撃と比べると総ダメージがより多く必要であり、ダウンしたとしてもダウン時間はそこまで長くなくすぐに反撃してくるのよね。私は反撃されることも含めて攻撃していたのだけれど、ハイオークの復帰が思ったよりも早く反撃してきたのは予想外だっわね。膝立ちした時点で少し嫌な予感がして後ろへと飛んでいたので回避することが出来たけれど、後少し回避の判断が遅れていたら恐らく直撃だったでしょうね。


(初撃は上々。恐らくこの手はあまり多くは使えないわね)


初撃はほぼ奇襲攻撃だったのだけれど、これ以降は同じ行動をしても対応されてしまうのがオチね。次に同じことをするにしても何手か先でやらないといけないでしょうね。私はハイオークへ近づくとハイオークは棍棒を振り回して攻撃してくる。私はそれを避けるのではなくしっかりと剣で受け止める。

 

(多少は重いけど受けきれない程じゃないわね)


ハイオークからの攻撃は力任せで体格もあり普通だと押し切られてしまいそうだけど、サーラからのバフもあって暫くは互角程度には戦えそうね。


(ここっ)


私は剣に思いっきり力を入れると棍棒をそのまま弾き飛ばす。ハイオークの手から棍棒が離れることは無かったけど、がら空きになった胴体に弾き飛ばした勢いそのままに斬りつける。


「オォォォォォォォォ」


攻撃がクリティカルヒットしたのかハイオークが悶える。その隙きを逃さずに下がった頭を切りに行こうとするが、その攻撃は防御した手によって防がれてしまう。私は追撃しようとしたのだが悶たのも直ぐに収まり、また棍棒を持って私の前に立ちはだかる。


(着実に削れているは思うのだけど、どこまで削れているかわからいわね)


私には相手のHPがどれくらいあるのかを調べる魔法を習得していないのでどれくらい残っているのかわからないのよね。これはサーラも同様で、今までの戦いでも相手を圧倒しての勝利で仮に格上相手でも戦闘スキルだけで問題なく優勢に戦えていたので今まで気にすることはなかったのだけど、ダンジョンでしかもボス相手では格上を相手にすると劣勢になることも暫しあるのよね。ダンジョンボスはHPが減少すると行動が変わるモンスターもいると聞いたことがあるので注意が必要って聞くのよね。アーバスは看破の魔法を習得しているので弱点や残り体力などを知っているとは思うけど、私自身が前衛で戦っている最中に聞いても返ってくるかわからないのでそれも叶わさそうね。


(残りの魔力は…うんまだ大丈夫)


通常戦闘で魔力を一切使ってないだけあってまだ魔力は大量に残っているわね。この魔力であれば全力で1時間使っても余るくらいね。私が全力で攻めながら何度か攻防しているとハイオークの方が防御に回りだして次第に攻撃回数が減ってきた。これはワ私がハイオークに慣れてきたことで間合いや攻撃速度が最適化されてきたこともあるのだけれど、それ以上にハイオークが魔力切れを起こしてきているのである。

通常、魔力は何もしていなければ自然と回復されて行くのだけど、戦闘などで過剰に消費されていくと体内の魔力が無くなり、それにより魔法が使用できなくなったり、身体能力が低下したりするのよね。ハイオークはまさしくその症状に掛かっており、今の状態では私の動きに着いていくので精一杯となったのだ。


(ここで勝負を決める)


私は手にしている剣に更に魔力を込める。込めた魔力で剣は氷付き、私の周りの気温も一気に下がる。私はそのまま剣を振るうとハイオークは棍棒で防ぐことが出来ずにまともに斬撃が右足に直撃する。


(次)


その剣を更に振り戻すことで右足と左足両方に斬撃が直撃する。しかも直撃したところから氷の塊が発生し、ハイオークの機動力を更に奪う。オークは足が使えないので手で私を掴みかかろうとするが、それもカウンターで斬られて氷の塊にされてしまう。手足が氷で動けなくなったハイオークを私は背中から飛び移るとそのまま首に向かって力一杯振り下ろす。その攻撃はハイオークの首に直撃すると、剣はまるで豆腐を切るかの如く首を切断する。頭と胴体が離れたハイオークは血を撒き散らすことはなく、そのまま光に還り宝箱を落としていった。


「やりましたねアミール」


「ありがとうサーラ。バフのお陰よ」


ハイオークに勝ったことを確認すると、サーラはアミールの元へと駆け寄ると労いの言葉を掛ける。


「お疲れ様。ギリギリだったな」


「えぇ。何とかね。バフが無かったら押し負けてたわ」


「それでもハイオークを自力で倒したんだ。喜んでいいぞ」


オークなら倒せる人間は少なからずこの学園でも居るだろうがらハイオークとなると話が変わって来る。ハイオークの討伐の推奨だとBランクになる。ランクとは冒険者に与えられるもので上からS→A→Bと1番下はGランクまである。その中でもBランクモンスターを討伐したとなると一流といえる程であり、Bランク冒険者となると全体の10%しかいないくらいには貴重な存在である。


「そう。なら喜んでおくわ」


「サーラもバフをありがとうな」


「いえいえ。私は何もしてませんから」


相変わらずサーラは謙虚だな。ともあれ自力でハイオークを倒してくれたのである程度のレベルは開放されただろうから昼からは別のレベルへと攻略となるだろう。時間も丁度お昼前だしな


「それにしてもやっと宝箱がきましたね」


「本当ね。何か良いものが入っていたらいいんだけど」 


サーラ達がようやく宝箱の方に目が行ったらしい。今回のドロップはハイオークからだからな。結構期待していいだろう。


「私が開けていいの?」


「えぇ。倒したのはアミールですから当然だと思いますよ」

 

「せっかく頑張って倒したんだ。それくらい当然だ」


アーバスとサーラに促され、アミールは宝箱の前で屈むとそのままゆっくりと宝箱を開ける。宝箱が開かれ、その中に入っていたのは


「これは…」


「たまたまとはいえ凄いな」


そこには一本の剣が入っていた。持ち手の部分に関しては普通であるが、刀身は水色で少しであるが透き通っていた。


「これって氷刀よね…」


この武器は氷刀と言われるもので氷属性に特化している剣の中で序盤に出るものの中では1番と言われている剣である。序盤では珍しく武器にスキルがついており、氷刀は文字通り氷属性の威力の強化である。しかも装備している間は氷属性を使えることもあって誰でも欲しがるような武器であるが、氷属性がそもそもレアなこともあって、レベル6以降で出るにも関わらず殆ど見ない武器だったりする。仮に出ても氷属性を使うことができ、場合によっては氷属性を習得できるとあって市場に出回ったとしても金額は高く、しかも必要が無くなれば高く売れるというのだから学生だとドロップするのが理想的だったりする。


「そうだな。おめでとう」


アーバスももしやと思って鑑定で確認したが、やっぱり氷刀でしかも習熟強化が付いたレアものだった。習熟強化とは氷属性を覚えたり、氷属性の魔法などを覚えるのが早くなるスキルで、これが付いていると付いてないのでは習得に5倍の差がついてしまうのである。


「ありがとう。大事にするわ」


サーラは「私は剣が使えませんので」とアミールに氷刀を譲った形だ。またサーラが使えそうな武器や魔道具が落ちると良いんだが。その後はアミールが氷刀を手に入れたのを実感出来てないのか、暫く呆然としてたのでアミールが復帰するのを待って進むことにした。


「転移陣がありますね。ということはここで終わりですか」


「だな。とりあえず戻ってお昼でも食べるか、丁度いい時間だしな」


「そうね。ちょっと休憩したかったし丁度いいわね」


時刻は11時半で今から戻れば学園がお昼に入る前には食堂へ行けるので席取りも気にせずにいけるだろう。アミール達は転移陣を起動するとそのまま地上へと帰還した。

もし続きが気になるようでしたらブックマークしてお待ちいただけると有り難いです。

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