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169話 レベル12攻略

「呆気ないわね」


「そりゃそうだろ。デカいだけでAランクになったモンスターなんだからな」


アミールがハイべアガーが簡単に光になったことに呆気に取られている間に近づいてきたアーバスが独り言に返事をする。


「ちょっアーバスいつの間にいたのよ」


「ん?今来たばっかりだが」


「それならせめて足音を立てながら来なさい。びっくりするじゃないの!」


なんせ死にかけで転倒によるダウンが入ったからな。そりゃ労いに行くために早めに動くだろ。足音を立て無かったのはアミールの気をそらさない為の配慮だったのだが、余計だったようだ。


「まぁまぁそう怒らんでええやんか」


「そうですよ。もしこれが不意打ちのフォローだったらどうするつもりだったのですか?」


「うっ。それは…」


と、リンウェルとサーラから援護射撃が飛んでくる。あの状況でハイべアガーから不意打ちされることはないだろうが、Aランクモンスターで不意打ちしているモンスターなんていたかなぁ。災害級なら沢山いるけど


「それは置いといてだ。これでレベル12攻略だ」


「そうね。何かあっという間ね」


アーバスの言葉にアミールはもうそんなところかと思ってしまう。アーバスもこのパーティーの目標がハードの攻略とはいえ、ここまで順調に攻略が出来るとは思っていなかったな。


「これで学園で2番目に進んでいるパーティーになるとは思わなかったわ」


「そうですね。なんかあっという間でしたね」


レベル12を攻略して皆が達成に喜んでいる理由としては、この攻略で現状学園で2番目にダンジョンを攻略したパーティーとなったからだ。

1番進んでいるパーティーがレベル26を攻略している最中らしいのだが、その次に進んでいるパーティーは現在レベル12のダンジョンを攻略している最中だったりする。


「まさか学生の大半をもう追い越すなんておもわなかったわね」


「というより索敵不足だろうな。索敵さえしっかりしていたらまだ先へ進めたはずだしな」


上位を走っているパーティーは索敵をせずにダンジョンを闇雲に探索しているパーティーばかりだしな。その点このパーティーはアーバスがしっかりと索敵して最短ルートを進んでいるので他のパーティーよりも何倍も効率良く進めているからな。


「ここまで進むと私達だけ代表戦の本戦に出場するということになりませんか?」


本戦というのは代表戦の花形の部門だな。本戦は上級生が出るだけあってか、1年のみである新人戦よりもレベルが高くなるので得られる得点が高いのだ。

アーバスのパーティーがレベル12を攻略しており、アミールやサーラがBランク冒険者ということもあり実力も十分なので出場するのが新人戦でなく得点の高い代表戦になるのではないのかとサーラは考えるのだったが


「それは出来ないな。規定によりエントリーは2年生以上じゃないと駄目みたいだ」


実は規定により1年生は新人戦のみで本戦には出られないことになっているのだ。これは上級生に出場機会を増やすというのもあるがメインらしいな。1年生で強い選手が出て来てしまったら上級生は卒業まで出る機会が無くなってしまうのでせめて1回は出れるチャンスをということらしい。

後は、各国の新入生の実力を把握しておきたいという思惑もあるみたいだが、学生に1年もの時間を与えると別人なくらいに伸びるので意味があるのか?と思ってしまう。

一応、怪我などの特殊な理由があれば1年生でも本戦に出たことは過去にはあるらしいが、そういった状況にならない限りはアーバス達が出ることはないだろうな。


「それなら私達が本戦にということはないのですね」


「そうだな。だからダンジョン攻略が進んでいるからといった理由で本戦に出るということはないだろう」


といっても本戦パーティー戦は今1番ダンジョン攻略が進んでいるパーティーがエントリーしているのでそこが代表になるだろうと言われているな。例年の各国のパーティー戦の代表よりも抜き出ていて、去年も代表戦のパーティー戦を優勝しているので今年も優勝候補らしいな。


「それにダンジョンが進んでいるからといって実力が高いとは言えないもんね」


「そうだな。攻略階層は参考にするだろうが、それで実力が測れるわけではないからな」


なんせ普通のパーティーだとダンジョン攻略には次の階層への階段を発見する運というものが働くからな。パーティーのレベルが高くても運がなければ本来30層くらいを攻略出来るパーティーが10層そこそこで止まるなんてこともあるからな。


「ちなみにこのまま行ったら学園1位は追い抜けそうなんか?」


「抜けるペースではあるが、徐々にモンスターのレベルが上がってるから何処まで順調に進めれるかはパーティー次第だな」


「そうね。今はいいけれど今後ボスで詰むこともあり得るわよね」


今のペースだと第2学期辺りで学園1位のパーティーを抜かせそうではあるが、こっちはBランク冒険者なのに対してあっちはAランク冒険者が主戦力だからな。アミール達の冒険者ランクアップ計画を進めているにしても、第2学期までにアミール達がAランク冒険者になっている確率は低いだろう。そうなればこちらが詰んでモタモタしている最中に引き離されるといった事態になりかねないからな。

それでも既に首席で卒業出来そうな位置に来ているので詰んでもそこまで悲観しなくてもいいだろう。


「なぁアーバス。次へ行くならそろそろ切り上げないとヤバいんやないか?」


「そうだな。宝箱を開けたら行くとするか」


「そうね。今終わっても時間が余るもんね」


レベル12を攻略してもう終わった気でいるのだが、普段のペースだともう後5層は攻略出来るので今日はレベル13の5層目までは行くつもりだしな。

アミールのテンション的にここで終わっても良かったのだが、リンウェルの1言でアミールの気持ちが切り替わったのでこのまま続けて攻略に行くことにする。


「何これ?」


と、アミールが宝箱から取り出したのはルーペだった。アミール達は何のアイテムかわからずにポカンとしているが、アーバスからしたら馴染みのあるものだった。といってもアーバスは今は使ってないけどな


「これは鑑定用のルーペだな。装飾品や武器を鑑定できるものだな」


このルーペは鑑定で用いるもので、主に商会が使っているものである。主に装飾品や武器などの装備とアイテムを全て鑑定できるものであり、人気のあるアイテムだな。一応生産で作ることは可能なのであるが、素材に金鉱石というレアな鉱石を使用する必要があるので気軽に変えるような代物ではなのだ。

ドロップはするということは前にルーファから聞いてはいたものの、買い取りで来ることは殆どないとも言ってたな。


「これがそうなのね。つまりこれがあれば武器の性能を私達も見れるということね」


「そういうことになるな」


普段は武器や装飾品をアーバスが鑑定しているが、鑑定結果はアーバスにしかわからないのでアーバスはそれをアミール達にメモや口頭で伝えているのだが、それだとアミール達はその性能が本当かどうか確認出来なかったからな。これで自身で性能を確認出来るようになるので時々言われていた「本当?」や「胡散臭い」と言われなくなるだろう。


「ねぇ、とりあえず氷刀の性能を確認していいかしら」


「いいぞ。といっても時間があんまりないから程々にな」


と、アミール達は暫く自身がドロップした武器などを鑑定して楽しんだ後に次のレベルへと進むのだった。

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