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168話 大きくなっただけのボス

「ギシャア」


「…………」


アーバスはボス出現と同時に目を細める。見た目は通常のボスのべアガーと変わらないのだが、大きさが普通のべアガーよりも大きかったのだ。


「普通のべアガーみたいに見えますね」


「そうね。アーバス、行ってもいいかしら」


「まだ鑑定が終わってないからちょっと待ってくれ」


と、看破を掛け終わったアーバスはアミール達に待ての指示を出す。先に看破を掛けたのは大きさからべアガーに擬態しているかもしれなかったからだな。だが、看破の結果は変化無しということなのでモンスターが擬態しているわけではなさそうだ。

アーバスはただの大きいべアガーかなと思いながら次に鑑定を掛ける。


(いたな。そんなの)


そして鑑定した結果のモンスターにアーバスは思い出したからのように頷く。Sランク以下のモンスターの依頼は基本回ってこないせいかどうやら完全に記憶から抜け落ちてたようだった。


「アミール、ハイべアガーだから戦っていいぞ」


「ハイべアガーってことはAランクだから少し警戒しながらやらないといけないわね。わかったわ」


アミールも知っているモンスターだったのかアミールは少し警戒しながらもハイべアガーへ攻撃を仕掛けにいく。


「サーラ、全力でバフ掛けてくれ。リンウェルは合図があるまで待機してくれ」


『オールアップ』


「ウチは待機か。了解や」


アーバスの言葉にサーラがオールアップをアミールに掛ける。リンウェルはやることがないのでアミールとの戦闘の様子を見るしかなかった。本当はリンウェルも戦わせたいのだが、べアガーは魔法攻撃を放つと行動パターンが変わってしまうから使えないんだよな。だからといって前衛に出しても力不足なので仕方なく待機してもらうしかないんだよな。



「やあっ」


私はいつものように踏み込みからの薙ぎ払いで攻撃するが、ハイべアガーは右手にある長い爪で攻撃を受け止められる。受け止めたところから氷が広がっていくが、ハイべアガーが左手を振りかぶったところでバックステップをする。すると、私がさっきまでいたところを左手が通過する。恐らくは爪による引っ掻き攻撃だろう。


「とりゃあっ」


私は隙だらけの左手を氷刀で斬り上げて攻撃する。ハイべアガーはそれを受け止めるのが難しい体勢だったのか私の攻撃はそのままハイべアガーに直撃する。しかし、ハイべアガーはそんな攻撃に怯むことなく裏拳の要領で攻撃をしてくるが、私は既に攻撃の勢いを使ってサイドステップしてたのでその攻撃も難なく躱す。


(今のところは優勢といったところかしら)


と、自分で最初の攻防を評価する。今のところは危ない場面もなく、冷静に攻撃を捌けれているように感じる。攻撃に関してはまだ1撃しか与えれてないので何処かで隙を作って攻撃するしかないわね


「とりあえず氷なさいっ」


アミールは床一面に氷を張ってその勢いでハイべアガーを凍らせようとするが、ハイべアガーの足は凍らせることは出来なかった。ハイべアガーはアミールのその隙を狙って攻撃しようとアミールへ近寄ろうとするが


「ギシャァ?」


二足歩行だったのが災いしてか、ハイべアガーは氷でバランスを崩してコケてしまったのだ。


(今ね)


予測外の大きな隙にアミールはここぞとばかりに氷刀に魔力を注入すると氷刀を振りかぶる。氷刀は自身の氷で形を長剣の長さと変えて、ハイべアガーを射程に捉える。ハイべアガーは未だに転倒から復帰しようと悶えているだけで攻撃に気付いてはいない様子だった。


「どりゃぁぁぁぁぁぁっ」


「ギャウン」


と、全力の振り下ろしがハイべアガーにクリーンヒットするとハイべアガーは気絶するのだった。



「良い攻撃が入ったな」


アーバスはそれを見て思わず拍手する。最初の攻防を見た限りでは魔力が足りるか心配だったが、予想外の転倒による隙からの高ダメージが入ったな。


「氷で転倒ってモンスターでもあるんやな」


「ベアー系は攻撃態勢の時は2足歩行だが、普段は4足歩行だからな。それのせいだろうな」


ベアー系は普段は4足歩行で生活しているモンスターだからな。振りかぶって攻撃する時も攻撃した後少しバランスを崩すくらいには2足歩行に慣れているわけではないからな。それもあって氷が張られた床を歩く時にバランスを崩したのだろう。


「攻めあぐねていたようですのでこれで結構はダメージが稼げましたね」


「そうだな。これでこっちがフォローしなくても倒せるだろうしな」


最初は長期戦を予想していたのだが、氷でダウンしてからの連撃でかなりのダメージを稼いでいるからな。ダウンから復帰して先程と同じような攻防をしても魔力切れの前に倒しきれそうだ。


「ハイべアガーってAランクって言ってたよな?なんであんなに有利に立ち回れるんや?」


「それはべアガーと行動パターンが一緒だからだな。行動の速さと威力しか変わらないモンスターだしな」


ハイべアガーは便宜上は別モンスター扱いなのだが、実際はべアガーと同じ個体だしな。ただ、ハイべアガーの方が行動の速さと威力が高いのがあってかランク換算するとAランク下位に相当するので分けられているだけだからな。なので、べアガーの立ち回りさえ理解出来ていたら倒すことは余裕だったりするのだ。


「同一個体なんですね。てっきり別モンスターだと思っていました」


「大体のハイモンスターは別個体なんだけど、一部モンスターはそんな理由なだけで違うモンスター扱いになるんだよ」


このように分けられるようになった理由としてはそれで冒険者の死傷者が増えたからだっけか。同一個体とはいえAランク下位のモンスターと戦闘することになれば普通のBランク冒険者に被害が出るからそりゃそうなるか


「復帰しましたね」


「そうだな」


「なんやアーバスそんな顔して」


「なんでもないよ」


転倒から復帰したハイべアガーを見てアーバスはまるでこれからの起こることを予想できたかのように悲しそうに見つめていた。



(復帰したわね)


アミールは転倒から復帰したハイべアガーを見てもう一度集中し直す。転倒でダメージを稼ぐことは出来たがそれもここまでね。ここからは地道に削っていくしかないけど、ダメージを与えた分魔力が切れる前には倒せそうね


「やあっ」


アミールは立ち上がったところを狙って攻撃したが、またも爪で攻撃は受け止められてしまう。そして、ハイべアガーはまたも左手を振りかぶる。


(さっきみたいに攻撃後にダメージを与えれるわね)


アミールは最初の攻防と同じ要領でバックステップをして左手の引っ掻きを躱して攻撃態勢を取ろうとすると


「グギャァ?」


ハイべアガーはそのまま攻撃の勢いでバランスを崩すとそのままクルッと半回転してひっくり返って転倒したのだ。


(えーーーーーっ)


まさかの連続転倒にアミールは思わず心の中で叫ぶ。今度はバランスを崩さずに戦ってくるだろうと思っていた矢先での即転倒にアミールは度肝を抜かれる。


(慣れる前にダメージを与えないとね)


アミールは隙を逃さずにハイべアガーに連撃を入れ始めるのだった。



「アーバス、これって」


「所詮はべアガーだからな。そういうの(氷のフィールド)に耐性が無いんだよ」


なんせBランクモンスターだしな。Aランクモンスターなら氷などの上級属性でも簡単に対処してくるが、べアガー自体は普通のBランクモンスターなので慣れるのに時間が非常にかかるのだ。


「それって簡単じゃないですか?」


「知っていれば簡単だな。まぁ、アミールじゃ無かったら厳しかったと思うけどな」


他のBランク冒険者ならそこまでダメージが出てなかったはずなのでハイべアガーが慣れてしまうのが先だっただろうけどな。

それから数回ハイべアガーは徐々に転倒しないようになってきていたものの、アミールのダメージの方が大きかったみたいで慣れきる前に光となって消えてしまったのだ。

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