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148話 新しい属性を覚えよう

「さ、いきましょうか」


「ちょっと待ってくれ」


次の日、今日はダンジョン攻略の日なので皆が集まってダンジョンに入ったタイミングでアーバスはストップをかける


「どうしたのアーバス?」


「サーラが雷属性をマスターしたから属性剣の交換をしようと思ってな」


一昨日ついにサーラが雷属性の上位魔法を問題なく発動出来るようになり、晴れて雷刀を卒業出来る状態となったのだ。アミールの氷刀も強化の為に手放しているので属性剣を入れ替えるのはこのタイミングしかないとアーバスは思ったのだ。


「ってことは私が雷刀ってことね」


「そうだな。サーラには龍刀で龍属性を習得して貰おうと思っている」


と、アイテムボックスから龍刀を取り出す。リンウェルは炎属性である炎刀を渡しており、前回の攻略の時から炎属性を習得し始めたところなのでマスターするまでは貸すことは出来ないからな。  


「次は龍属性なのですね」


「それ以外の属性剣がないからな」


サーラの聖属性の習得状況はわからないが、聖属性をマスターしていれば覚えるのは後4属性だな。氷と炎はパーティーとして持ってはいるが、現状は空いてないし闇属性はまだ属性剣がドロップしていないからな。


「普通は1ヶ月で4属性もの属性剣がドロップするなんて異常なんやで」

  

その内2本はエクストリーム級だしな。属性剣なんて4年間ダンジョン攻略して1本出たらいい方と言われていたのにこんなに多く出るとは思わなかったな。その内エクストリームでドロップしたのなんて1本だけだしな。


「それは気にするな。何事にも上振れと下振れはあるからな」


「上振れ過ぎる気がするんやけどなぁ」

 

俺もまさかここまでたくさんドロップするとは思って無かったからな。皆の習得次第では1年で全属性をマスター出来るんじゃないかな

 

「というわけでサーラ。雷刀をアミールへ渡してくれ」


「はい。アミールも頑張って覚えてくださいね」


「サーラよりも早く習得してみせるわよ」


アミールはサーラから雷刀を受け取ると自信満々に発言する。アーバスは代わりに龍刀をサーラに渡す。アミールはこれで1属性目なのに対してサーラは2属性目なのでサーラの方が覚えるのは早いと思うのだけどなぁ


「それじゃあお試しだな。そこにスケルトンがいるから魔法を試してくれ」


アーバスがそういうと奥の方からゆっくりとした速度でスケルトンが3体やってくる。実はダンジョンに入ったタイミングでスケルトン達はアーバス達に気付いてこちらへ向かってきていたのだが、スケルトンの足が遅過ぎて今やっと目に入るところまで来たのだ。そして、アーバス達の属性剣の交換が終わったタイミングで運悪くやってきてしまったのだ。


「はい。『ドラゴンショット』」


「『サンダーショット』」


アミールとサーラはそれぞれ初級魔法を発動させる。2人の魔法は問題なく発動し、雷と龍属性を帯びた矢が一直線でスケルトンの元へと飛んでいって直撃する。


「やった。当たったわ」


「成功だな。アミール、雷属性の感覚はわかったか?」


「えぇ、少しだけだけどね」


「なら次は剣での実践だな」


アロー系の魔法1つでスケルトンが倒せるはずもなく、スケルトンはアローの直撃で怯んだだけでこちらへとやってくる。アミールはスケルトンの方へと走っていき


「はぁっ」


雷を纏った剣でそのまま斬りつける。斬りつけられたスケルトンは雷を全身に浴びながら光となって消えていく。


「問題なく雷属性で攻撃出来たな」


「そうですね。てっきり氷属性で攻撃してしまわないかと思っていたのですが」


とサーラはアミールが氷属性で攻撃してしまわないか心配だったみたいだ。サーラは複数の属性を使えるが、アミールは氷属性だけだったからな。属性を増やす上で1番難しいのは2属性目を習得する時で、これまでは属性を込めれば自身の属性が勝手に付与されていたが、2属性となると意図的にその属性を意識しないと自分の得意属性が勝手に出てしまうからな。2属性さえ習得してしまえば3属性目以降は習得する際にはそんなミスはしないので発動に苦労しないからな。

アーバスの場合は得意属性が無属性だったので、最初に習得した火属性は習得に苦労した記憶がある。ただ、それ以降の属性は火属性を習得する延長だったのでそこまで苦労した記憶がないな。


「そうだな。もしかしたら本当にサーラよりも早くに習得出来るかもな」


アミールは雷刀に雷属性を付与したまま次々とスケルトンと倒し、全部倒すと属性付与を解除する。


「アミール、初めて他の属性を使ってみた感想はあるか?」


「そうね。意識的に魔力を込めないといけないけど最初にサンダーショットを使ったからかもしれないけどそこまで苦労しなかったわね」


アーバスはアミールに雷属性の感覚を覚えてもらう為にサンダーショットを使用させたのだが、それがいい方向に働いたみたいだな。


「よし、それならこの階層は雷属性を意識して攻撃しようか」


「わかったわ」


と、アミールは道中の敵を雷属性で倒しながら進んでいく。


「なあアーバス、ウチらはどうするつもりなんや?」


とリンウェルが聞いてくる。リンウェルの武器も属性剣の炎刀に代わっており、今日からリンウェルも本格的に炎属性の習得を始めるところである。

リンウェルのどうするかというのはサーラとリンウェルは魔法での習得になるからその間の前衛はどうするかということだろうな


「そりゃリンウェルが前衛でサーラが後衛なのは変わらずだろ」


「え?これ剣なんやけど使ったことないで」


方針がいつも通りのアーバスに対してリンウェルは心底驚く。なんせ槍使いの前衛なのに剣で戦うなんて思ってもいなかったのだろう。


「そりゃそのままだと使えないだろ。ちょっと貸してくれ」


とアーバスはリンウェルから炎刀を受けると慣れた手つきで魔法を発動させる。


『武器変形』


アーバスはそう唱えると炎刀はその姿を変えていき、変形が収まるとリンウェルの得意武器である長槍へと変貌を遂げていたのだ。


「これで大丈夫か?」


とアーバスはリンウェルへ炎刀を渡す。リンウェルは不思議そうに受け取ると試しに軽く素振りする。


「ウチ好みで完璧やな。というかこれどないなってるんや?」


「あれ、武器変形の魔法を知らないのか?」


「聞いたことないですね」


武器変形とは武器を好きな形に変える魔法の1つで無属性に分類される。ドロップ品の武器だけしか変更できないのだが、自身の普段使っている武器へ変更できるおかげで厳選はスキルだけで済むという便利魔法である。


「そんな魔法があるんですね」


「というか、それならウチらのドロップした属性付きの剣も槍に変形するってことなんか?」


「そうだぞ。ただ杖だけは変形出来ないから注意してくれ」


アーバスは剣以外の武器が全くドロップことを疑問に思い試しに武器変形を使ったら成功したのだ。ダンジョン武器には武器変形の魔法が使えないと聞いていたのでこれには驚きで、色々と試したのだが杖以外は問題なく変形することが出来たのである。それなので魔法系のスキルが全く出ないかというとそうではなく、魔法系のスキルがある属性付きの剣も出たりしているのでもしかしたら杖は武器扱いではないのかもしれないとアーバスは密かに思っている。


「リンウェル、これで属性剣を使いながら前衛も出来るだろ?」


「確かにそうやな。アーバスありがとうな」


これでリンウェルの前衛問題も解決したので次の階層からリンウェルには前衛で戦ってもらうつもりだ。


「アーバス、階段に着いたわよってリンウェルそれどうしたの?」


と前方で戦っていたアミールがアーバス達のところへ戻って来たのだが、リンウェルの炎刀を見てどうしたのか聞いてきたのだ。


「アーバスに変形してもらったんや。剣だと戦えないしな」


「アーバスって武器変形使えたのね。知らなかったわ」


「アミールは知ってたんだな」


「勿論。妹が双剣だから属性付きの剣を短剣にするところを何回も見てるわ」


どうやら、身内の武器の為に武器変形を依頼しているんだな。アミールよりランクが低ければアミールが使わなくなったダンジョンドロップ武器を短剣にすれば新しい武器を買わなくてもおさがりの武器で戦えるもんな。


「もしかしたら私が次の階層は前衛かと思ったけど必要ないわね」


「そうだな。だからアミールは休憩しててくれ」


と前衛をアミールからリンウェルに変えて次の階層の攻略を始めるのだった。

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