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129話 強化玉

「よし、勝ったわ」


「おめでとうございます」


「ナイスやでアミール」


アミールが勝ったことにサーラとリンウェルが祝福の声を掛ける。アミールに掛かればスケルトンナイトでも有利か。最初はバフの差が互角でどっちに転ぶかわからなかったが、氷属性で相手の動きが鈍くなってからは有利に進めることが出来たな。


「アーバスどうだった?」


「特に言うことはないかは。おめでとうアミール」


一発もダメージを受けていないし、ダメージを受けそうな立ち回りも無かったしな。初見のボス相手にしては完璧な結果だっただろう。


「ありがとうアーバス。さて、次は宝箱を開けるわよ」


アミールはアーバスの言葉に満足すると、次はドロップした宝箱を開ける。5層目では出なかったのでその分良いものが出るといいんだけどな。


「何これ?アーバス鑑定出来ないかしら」


「いいぞ」


アミールがドロップしたのは水色の玉でアーバスもそれを見ただけでは何なのか想像がつかなかった。アーバスは水色の玉に鑑定を使ってそれを確認する。


「氷属性武器強化って出てるな。具体的な数値は不明だけどな」


どうやら氷属性の武器を強化するようなのだが、具体的にどの程度強化されるといったものは書いていなかった。世間では強化玉と言われている奴だな。知ってはいたが現物は初めて見るな


「不明ね。学園にある鍛冶に聞いて出来るのならやった方がいいのかしら」


学園には鍛冶師が集まる鍛冶棟というところがあり、そこであらゆる武器や装飾品の生産や強化をすることが出来たりするのだ。


「それは止めといたほうがいいで、学園の鍛冶師はそこまで良くないんや。それなら金は掛かるが町の鍛冶師に頼んだ方がええで」


学園の鍛冶師達の場合依頼料はそこまで掛からないので安く済むのは良いことなのだが、学生向きな分鍛冶師としての能力はそこまで高くないので強化を依頼したとしてもそこまで良いものには仕上がらないらしい。

それならお金は掛かるが、王都にある一流の鍛冶師に頼む方がまだ良いのではないか?というのがリンウェルの意見だ。


「アーバスはどう思いますか?」


と、サーラがアーバスに聞いてくる。確かにお金を掛けずだとアミールの言う通りの学園の鍛冶師に頼んだ方が良いだろうな。そして、お金を掛けるならリンウェルの言う通り町の鍛冶師などの加工に自信のある人物に頼むのが良いだろう。

ただ、アーバスはダンジョンには行かないのでダンジョン産ののもを加工出来る1流の職人に心当たりがないんだよな。


「ならルーファを頼れば良いんじゃないか?アイツなら知ってるかもしれん」


とアーバスはルーファに聞いてみることを提案してみることにした。アーバスが鍛冶師を探している時に鍛冶師系のギルドに何人かダンジョン専門の鍛冶師を紹介されたことがあるが、どれもそこまで腕の良い鍛冶師はいなかったからな。


「ルーファさんですか?そんなことで聞くのは良くないんじゃないかと思うのですけど」


「そうやぞアーバス。いくら知り合いでもそんな簡単に商会長を動かして良いもんじゃないで」


「そう言われても知り合いでこれを扱える奴は居ないぞ」


アミールとリンウェルから抗議の声が上がる。確かにそうかもしれないが優秀な鍛冶師を探すのなら鍛冶師と密接している商会に聞くのがベストだと思うのだがね。しかもルーファ商会の紹介なら大半は受けてくれるしな。


「ウチの武器の修繕してくれた鍛冶師は駄目なんか?」


「過去に聞いたことがあるがダンジョン産の強化は専門外だそうだ」


アーバスは過去に知り合いのダンジョン産の武器の強化をボナークに依頼したのだが、ダンジョン武器の強化は専門外と断られてしまったことがあるからな。生産武器の強化や生産は問題ないんだけどな。ただ、修繕だけはダンジョン武器も生産武器も変わらないらしく、修繕だけは請け負ってくれるけどな。


「やっぱりルーファさんに頼るしかないのですね」


「金額はするとは思うが、腕は確かだど思うぞ」


ルーファのことだから癖はあったとしても腕が立つやつを紹介してくれるはずだからな。


「私達に伝手がない以上仕方ないですね。放課後にルーファさんのところへ行きましょうか」


「そうね。ありがとうアーバス」


「紹介しただけで何もしていないがな」


後でルーファに何処の鍛冶師を紹介したのか聞いておく必要があるな。俺もエクストリーム産の武器の強化を頼んでみたいしな。


「さて、眼の前に階段もあることだし少し休憩してから行きましょうか」


「そうやな。ウチも休憩したいわ」


「そうしようか」


アミールは属性付きの剣で楽に戦っていたのに対してリンウェルは自分の武器だけで戦っていたからな。黒色のスケルトンだけはサーラが対処していたものの、それでもアミールとリンウェルで攻略時間の差が段違いだったからな。その甲斐もあってかスケルトンナイトを倒しても時間に余裕があるんだけどな。  


「それにしても武器って凄いんやな。素の威力が強ければ同じモンスターでも全然かわるんやな」  


「そうだが、その分慢心しやすいからな。慣れるまでは身の丈にあった武器を使う方がいいんだよ」


アーバスが学園では自身の武器を使わずに新しい武器で戦うにはこれが理由なのだ。イレギュラーモンスターには自身の武器を使うことがあるが、そうでなかったら今さっきのアミールみたいに軽く攻撃するだけで全てのモンスターが消えるからな。


「じゃあ何でアミールに貸したのですか?」


とサーラが聞いてくる。こうなることがわかっていたのに何故武器を貸したのかというと


「理由がはっきりしててやましいこともなかったからな。不純な動機が少しでも見えてたら貸すつもりはなかったけどな」


確かにサーラの魔力は使いすぎと言っても良いくらいだったからな。アーバスが障壁を代わりに張っているとはいえ、攻略に支障が出るのは良くないからな


「そういうことだったのですね」


「ただやりすぎだったからな。次からはやらないことにするか」


魔力自体はアミールに入っているとはいえ、武器を替えないといけないくらい強すぎるのはやり過ぎだったな。


「というかそんな装備どうやって作ったんや?素材がヤバそうなんやけど」


エクストリーム産のドロップなので素材は必要としてはいないのだが、もしこれを生産で作るとなると


「これだとSS上位のモンスター数体分かな?」


このクラスの威力の剣を作ろうとしたらもう少し素材が少なくて済むのだが、上位属性である聖属性を付与しようとしたらそれくらいは必要だろうな。


「なぁ、アーバス。確認なんやがDランク冒険者なんよな?」


「そうだな。でも、ランク詐欺しているのなんてもうバレてるだろ」


Dランク冒険者といったらリンウェルより下のランクだ。それなのにアミールより上のランクのイレギュラーモンスターを1人で倒しているのでどう見ても冒険者ランクに見合ってない実力なのは明らかだな。


「でも何でわざわざそんなことをしてるんや。普通に上げた方が得なんやないか?」


ランクが上がるということはそれだけ強いモンスターの依頼が回ってくることが多くなる。逆に下位の冒険者ランクならゴブリンやコボルトなど小型モンスターがメインとなり、強いモンスターと戦うことは皆無に近いだろう。


「それもそうじゃないんだよな。アミールやサーラはよく分かると思うが」


「そうね。高ランク冒険者には拒否権のない招集があるわ。私達Bランク冒険者はそこまでだけどSランクともなれば高頻度で呼ばれることになるわ」


「そうですね。なのである程度の冒険者ランクで止めておきたい気持ちはわからなくはないですね」


アミールとサーラはその言葉に頷く。Sランク冒険者はその実力と稼ぎから冒険者の象徴とされているが、実際は下位ランクみたいな依頼の自由はないに等しく、常に死と隣り合わせの戦場で戦い続けないといけないからな。


「それもギルドの方針次第で蹴ることも出来るが実際は無理なところが多いだろうな」


招集要請自体はギルド本部から出ることが多いのだが、拒否すると依頼が来ないなどの嫌がらせを受けたりするそうで大抵のギルドが招集に応じるしかないらしい。しかも、政治組の奴らは自身の依頼を冒険者ギルドを通じて強制招集させてクリアしていたらしい。最近の高ランク冒険者の死亡率が普段よりも高かったのはこれが原因かもしれないな。


「そういうことで敢えて上げてないんだよ」


「そんなことがあるんやな」


リンウェルは納得した表情でそんな事をいう。リンウェルはまだCランクだから招集はまだないだろうしな


「さ、雑談はそろそろ終わりにしてボス戦へと行こうか」


これ以上突っ込んで聞かれるとジョーカーのことをうっかり漏らしそうだしな。アーバスは話を終わりにすると全員でボスの部屋へと行くのだった

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