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105話 アルカーナ村へ

「お、早いな」


アーバスが学園へ戻ると既にアミール達が校門前に集合していた。ルーファとはそこまで話をしていなかったので、戻る時間込みでもアミール達はまだ来てないと思っていたのでアーバスの読み間違いだな


「当然、緊急依頼なんて初めてなのよ。気合いが入るわ」


「ウチもどんなもんなんか楽しみやわ」


アミールとリンウェルは楽しそうに答える。アミールがはしゃぐのはわかっていたがリンウェルまで楽しみにしていたのは意外だったな。


「アーバスはどこへ行っていたのですか?外に行ってたみたいですが」


「これを取りにな」


アーバスはそう言うと先程ルーファから貰った依頼書を皆に見せる。


「これは依頼書?」


「あぁ。とはいっても素材系の依頼しかなかったけどな」


「何でそんなの受注するのよ?討伐しても納品するのは学園じゃないの?」


通常は依頼で倒したモンスターは依頼を受注したところに納品するのが一般的である。なのでオークの素材納品の依頼を受注しても学園に納品するので受注するメリットはないのだが…


「今回の依頼は討伐で納品じゃないからな。倒したモンスターは全て他のところに出しても文句は言われないんだよ」


討伐依頼の場合、倒したことを証明さえ出来ればモンスターの素材は自由にしていいからな。今回だと軍団なのでボスであるハイパーオークの部位を持ち帰って提示すれば達成になるはずだ。

 

「それって本当にいいの?怒られたりしない?」


「しないな。何なら校長からも止められなかったしな」


公には知らされてはいないだろうが、シエスとの会話からやっても問題ないと判断できるしな。違反だったらシエスに止められるだろうし、メルファスでも普段から同じことをしているのにリリファスにも注意されたことなんてないからな。 


「そう、それならいいんだけど」


「なんかモヤッとしますね」


普段からこういうことをしない2人はにはしっくりと来ないようだが討伐依頼はあくまでモンスターの駆除が主な仕事だからな。素材が欲しいなら素材依頼として出すのがルールだしな。


「何もないなら先に移動しようか。いつオーク軍団がやってくるかわからないしな」


さっきからあまり時間が経っていないが、いつオーク軍団がやってくるかわからないし、周辺の情報を掴んでおきたいので移動だけは先に済ませておきたい。全員から何も言われなかったのでアーバスは転移魔法を起動させるとアルカーナ村へと移動する。


「本当に一瞬なのね」


「そういう魔法だからな」


転移を終えてアルカーナ村へと到着すると、3人共経験がないのかキョトンとした目をして周囲を見渡していた。ただ、村の中心に移動したにも関わらず通行人が見当たらなかった。もしこれが何も知らない一般人だと静かな村だと勘違いしても仕方ないような静けさをしてした。


「アーバス、どうする?」


「とりあえず情報収集しようか。村の状況も知っておきたいしな」


モンスターの位置は恐らく村の南側だろう。そこだけモンスターの反応がやたら大きい箇所があるからな。まだ、こちらへは来ていないので情報収集してからでも十分待ち合うだろう。


「ならギルドへ行くのがいいわね。あそこなら情報が集まっていると思うわ」


「そうですね。緊急事態時はギルドが指揮を取ることも珍しくないですからね」


ギルドには冒険者が集まることから下手な地方の軍戦力よりも強いことが多く、モンスターとの非常事態にはギルドが先頭に立って対処している。戦力不足の場合はギルド本部などに依頼して対処できる冒険者を集めたりするのもギルドの仕事だったりする。その為、緊急事態が起きやすい地方のギルドであればある程優秀なギルド長を派遣している傾向である。


「お、魔法学校の学生さんかい?申し訳ねぇが、今は緊急事態で依頼は受付てねぇんだわ」


「は?」


アーバス達はギルドに入ると開口一番ギルドマスターからそんなことを言われる。そういえば前回の依頼の時もそんなことを言われたなぁ。もしかして魔法学校の学生って無能のレッテルでも貼られているのか?そのギルドマスターのセリフにアミールから威圧した声が漏れる。アーバスは今にも暴れそうなアミールを静止させると


「理由を聞いていいか?」


前回は政治組の馬鹿のせいで依頼を受けれなかったので今回もそうかもしれないからな。こういう時は理由を聞いてからでもいいだろう。


「お前さんら時々来る魔法学校の演習の生徒さんだろ?悪いが演習場所の南の森でオークの軍団が発見されてな。それが解決するまでは入ることを禁止してるんだ」


演習で時々使っているのか。どうやらその学生と勘違いされているようだな。どうやら定期的に来ているみたいで実習生のレベルだとオーク軍団を相手するのは無理があるだろうな


「演習の生徒ではないんだけどな」


「そうか。なら余計に許可出来ねぇな。貴族様に怪我なんてあれば首が飛ぶのはこっちだしな」


「なっ」


アーバスは黙って聞いてるが、アミール達はお怒りだな。ギルドマスターの言い分もわからなくはないが、理由も聞かずに門前払いとはいい度胸だな。


「そうか。では失礼する」


アーバスはこれ以上は無理だと悟るとアミール達を引き連れて外の人気のないところへと移動する。


「なんなのよあの態度。最悪なんだけど」


「そうですね。理由すら聞かないなんて思いませんでした」


アミールとサーラがギルドマスターのあまりの態度に我慢の限界だっのだろう。ギルドマスターへの怒りをぶちまける。今まではそんな扱いをされることなんてなかったのだろうな。アーバスはそんな2人を置いておいて状況確認の為にとある人物へと通信おこなう


「お呼びでございますか?」


「レイラか?ちょっと聞きたいことがあってな」


「オーク軍団のことでございますね。ルーファから聞いております」


どうやら既にルーファから聞いていたらしい。レイラはアーバスに知っていることについて詳細に話してくれた。モンスターはハイパーオークを主体とした50体の群れでこのパーティーで脅威となるハイパーオークは1体、ハイオークは5体で残りはそれ以下で構成されているとのことだ。変異種などのイレギュラーモンスターもいないとのことなのでその6体さえ安全に倒せればパーティーが壊滅することもないだろう。


「という構成になっております。パーティーの方々には少し脅威となるモンスターもいますのでそこだけ気をつけて頂けたらと」


「わかった。いつもありがとうなレイラ」


「いえいえ。それでは任務に戻らせていただきます」


アーバスはレイラにお礼というと通信を切ってアミール達の方を向く。アミール達は相変わらず怒り続けておりこのまま日が暮れるまで言い続けそうだな


「お前等そろそろ落ち着け、作戦会議を始めるぞ」


「なんでそんなにアーバスは普通なのよ。あんな雑な扱いされたのよ?」


「後で天罰が降ってくるんだから別に良いとおもうんだけどな」


自分から応援要請してやってきた人物を学生だからいって相手にしなかったんだから問題になるのは当然だろう。しかも、新興とはいえ他のギルドのギルドマスターに理由も聞かずに門前払いをしたのだ。降格は避けられないだろうな。


「とりあえず相手のモンスターだが、ハイパーオークがリーダーのオーク軍団50体だ」


「ハイパーオークは私は討伐経験ないわよ」


「だろうな。乱戦で出てきたら俺が請け負うが、1対1の状況が作れそうならアミールに任せようかと思っている」


ハイパーオークの弱点属性ではないものの、モンスターの難易度的にはアミールでも問題ないからな。サーラや俺がフォローできる状態なら対戦しても問題ないだろう。


「それと問題はハイオーク5匹だが、こっちは俺とアミールで分担して行う。サーラとリンウェルは残りのモンスターを範囲攻撃で倒していってくれ」


「「「わかった(わ)」」」


とりあえずイレギュラーが起きなければ問題なく討伐できるだろう。村は臨戦態勢ではあるものの、村の北側から出て回り込めば問題なく行けそうだしな。転移で行ってもいいのだが、いきなり戦闘になるのは心の準備が出来ないかもしれないので普通に歩いて向うことにした。

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