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103話 呼び出し

「なんか今日はスッキリした気分だわ」


放課後、いつもこの時間眠たそうにしているアミールだが、今日は実技もあったからか元気そうに伸びをしていた。


「でもあれはやり過ぎだぞ」


女子達の歓声は凄かったが、男子達は逆に引いていたからな。ジャックのせいで男子達の評価は下がっているが、ジャック以外は問題行動は起こしていないみたいだしな。ただ、今日の模擬戦を見て余計なことをしないでおこうと思った男子は多いと思うが


「そうなの?でも、皆からはボコボコにしてくれって言われていたし一発耐えたジャックも悪いんじゃない?」


「せめて腹にしてやってくれ」


このクラスだとジャックを物理的にボコボコにできる女子はアミールくらいだろうから言われるのもわからないくないが、顔面を殴った後に股間はやり過ぎだと思うぞ


「えっ?私お腹を攻撃したつもりだったんだけどミスったの?」


「腹狙いだったのなら完全にミスってるな」


狙いは完璧だったけどな。というかミスって無自覚に殴られるとはジャックの奴も可哀想にな。普段からそんな行動をしているから罰が当たるんだよ。


「そうなのね。ってことは少し鈍っているのかもしれないわね。リハビリする必要があるかもしれないわ」


実技の授業を除ければ実戦なんて週末にしかやってないから多少は鈍ったりするかもしれないが、それくらいじゃ鈍ったりしないと思うぞ。事実、剣だったらお腹くらいの高さだったしな。


「まだ、しなくていいと思うぞ。それよりも魔力制御の方が優先だ」


ダンジョンでアミールの状態を見ているが、特に鈍っているところは見当たらないからな。どちらかと言うと拳で戦っていたのでリーチ差の分狙いが少しズレたのだろう。それよりも魔力制御のお陰で前よりも無駄になっていた魔力がなくなってその分強くなっているのでリハビリは魔力制御をマスターしてからでも問題ないな


「そうなのね。でも、モンスターを相手にするのが週末だけで何か鈍ってそうになるのよね」


「その気持ちはわからなくはないけど、アミールは大丈夫だぞ」


学校がある日は実践しないとなると鈍っているかもしれないという気持ちになるのは仕方ないと思うしな。サーラも予定より早く魔力融合の練習が進んでるしリンウェルの進捗次第では放課後にダンジョン攻略をする日を設定してもいいかもしれないな。


「アーバスくん、アミールさんちょっといいですか?」


とアリーナへ向かおうとしている最中にカイン先生に呼び止められた。方向的には教室に居なかったのを確認してアリーナへの最短距離で来たのだろう。


「カイン先生どうしましたか?」


とアミールが返事する。鐘がなっていないので緊急クエストではないだろう。ということは今日の実技で談合したのがバレたのか?  


「学園長がお呼びです。パーティーメンバー全員で学園長室に来るようにと言ってました」


「わかりました」 


「はい。お願いしますね」


カイン先生は要件を伝えるとそのまま職員室へと帰っていった。パーティーメンバーということは今日の実技のことではないだろう。


「アーバス何かやった?」


「何でやらかした前提なんだ」


「アーバスならやらかしそうじゃない」


心当たりが一切ないのだが?ジャックのことだったとしたら、あれは個人的ななことだからジャック本人が注意を受けるだろうし、メルファス関連ならアーバスを呼ぶだけでいいしな。それに週何回かのペースでシエスには会っているが、事前に何も聞かされてないから緊急の要件だろうな。


「とりあえず向うしかないけどサーラが居ないからな」


今日は放課後に予定があるそうで来るのが少し遅くなるとサーラが言っていたな。アミールも内容を知らないらしいが、定期的に会っているとの人がいて、その人との通話があるとのことだった。もしかしたらエリースと通信で話しているのかもしれないな。本人はそこまで時間が掛からないと言っていたのでサーラが来てから行ってもいいだろう。


「それならリンウェルを先に迎えに行きましょ。もう図書室に着いている頃でしょうし」


「そうだな。先にリンウェルのところに行ってからアリーナへ行こうか」


アーバスとアミールはアリーナだが、リンウェルは図書室で練習しているからな。一度アリーナに来てシュミレーションボードを使って練習していたが「うるさくて集中できんわ」とのことでダンジョンに行かない日は連日図書室に缶詰めみたいだ。


「なんや2人とも図書室になんて珍しいやん」


「校長からお呼びがかかったみたいでな。パーティーメンバーで来てくれとのことらしい」


「何をやらかしたんや?」


「何もしてないから反応に困ってるんだよなぁ」


「なる程。無自覚にやらかしたんやな」


リンウェルまでそう言ってくる。なんで俺がやらかした前提なんだよ。俺だけやらかしたのなら俺だけ呼びされるだけだろうが。


「でも、サーラいないんやけどどうしたんや?」


「サーラは通話で遅れるらしくてな。アリーナに来次第向うつもりだ」


「了解や。ならサーラが来るまでこれやってていいか?」


「いいぞ。そこは自由にやってくれ」


リンウェルのシュミレーションボードをしていいか?という質問にアーバスはオッケーを出しておく。シュミレーションボードは途中で中断することも出来るからな。

アーバス達はアリーナへ行くが、サーラはまだ来て居なかったのでアミールとリンウェルはそれぞれ隅で練習を始める。隅でなのはリンウェルの集中を切らさない為の配慮らしい。アーバスはリンウェルに気づかれないように遮光と遮音の入った障壁を展開すると、自身も同じ障壁を展開して通信を始める。


「直接来てと言ったのに通信とは良いご身分ですね。リリファスに告げ口しましょうか?」


「何故そうなる。まぁ、それ関連ではあるが」


通信の相手はシエスでアーバスは全員が集合出来ていないので集合次第校長室に行くことを伝える。


「そういう事情ですか。わかりました、ではそちらへ向かいますね」


「いいのか?別にこっちからいくけど」


「この後は何もないですし、校長室に居るのも色々と大変なのですよ」


どうやら校長室も面倒みたいだ。確かに居てると何かしらの雑用とか仕事とかが増えそうだもんな。毎日脱出するのは良くないが、時々なら余程の急用以外シエスを探してくる奴もいないだろうしな。

アーバスはシエスとの通信を切るとさっきまで張っていた障壁をアミールに掛ける。本当には掛けなくても良いのだが今からシエスが来るからな。シエスが来ることで集中力が切れてしまわないようにアーバスは障壁を展開したのだ。


「ちゃんと気遣いしているのですね」


「そりゃな。というか転移で来たんだな」


「見られると追いかけて来ますからね」


アーバスが障壁を展開し終わるのを待っていたのかタイミング良くシエスが転移でアリーナへとやってきた。どうやら徒歩での移動だと生徒達にも居場所がバレるので来る人は追いかけてくるみたいだな。アーバスがシエスと話をしている時は部外者は誰も入って来たことはないんだけどな。


「どれだけ熱心なファンなんだよ」


「ファンと言う名の書類の山ですけどね」


シエスは校長だけではなくせーティス王国の国王でもあるからな。見た目も変わらない不老不死のシエスが国王だと色々と不味いらしく、表向きは別に皇室がいるそうだが、実権はシエスが握っているみたいだ。

なら魔法学園の校長も危ないのではないかと思うが、校長は殆ど生徒の前に出ることはなく、集会とかで顔を出すことはあるにしても年に数回程度だそうで、その程度なら生徒記憶に残らないから問題ないそうだ。卒業すれば魔法学園に行くことなんてないだろうからそりゃそうか


「それはそれで放っておくと大変そうだな」


「大半は却下かやり直しなので時間の無駄なんですけどね」


どうやら議会や権力者が有利になるような法律がばっかりで、国の為のものがあんまりないそうだ。確かに俺も同じ立場ならそうしているな


「税制とかならある程度抑えてもいいのですが、抜け道や権力を持たせるのは違いますからね」


「そりゃな。というかそんな事を俺に言って良いのか?」


仮にも大商会を傘下に置いている組織のボスなんだけどな。そりゃ抜け道があると助かるが、そんなことをシエスがしてくれるとは思ってもないしな。


「良いですよ。ルーファ商会はそういうのは反対派ですからね」


「むしろ既に権力を持ちすぎている自覚があるくらいだけどな」  


「仕方ないですよ。以前は他の大商会がその役目でしたがそこは抜け道賛成派でしたから大変だったのですよ」


ルーファ商会が勢力拡大しているのは良いことなのだが、その気になれば一国の経済を破滅させれるくらいには浸透しすぎている気がするんだけどな

どの国も国内に大きな商会が抜ければ経済が混乱するくらいには大損失なのだが、ルーファ商会はその数が多すぎるくらいだけどな。

シエスとそんな話をしながらサーラが来るのをゆっくり待つのだった。

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