↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/804

魔法学園へ

「俺が魔法学園に?どういうことですか教皇」


少年は机を挟んで反対側で座っている女性に食ってかかる。少年の名前はアーバス・ヴェルライトでこの前13才になったばかりである。この世界では13歳になる年に魔法学園に所属しないという決まりがあって13歳になったアーバスはその対象だったのであった。ただ、全員が通うわけではなく一定以上の実力があれば魔法学園には通わなくても良い決まりがあるのである。例えば冒険者だとSSランク以上あれば免除されたりする。

メルファスはその冒険者達の所属している冒険者協会よりも1つ上の組織であり、その権力や実力は他の協会よりも1ランク上をいっている。アーバスはメルファスに所属する魔法師でその実力は対面に座っている人物をを除いては1番の実力を持っているのでアーバスは当然魔法学園に通うことを免除されると思っていたのだが、まさかの魔法学園へ行くという事態となり対面に座る人物に説明を求める。


「免除になる項目に所属日数の規定があります。アーバスの場合だと後1ヶ月足りていませんね」


と教皇であるリリファスはそのように答える。リリファスはこのメルファスのトップである教皇に就いている人物であり、実力権力共に頂点に君臨する絶対的な存在だ。ただ、見た目は30才くらいの女性なのだが、実年齢は800才を越えておりアーバスからすれば妖怪やゾンビとすら思えるくらいの年齢だ。


「納得言ってない表情ね。後、変なこと考えないかしら」


「そんなことは考えていませんが、私が先月確認した時には実力さえあれば免除される規定だったはずだったのですが」


全く変なことは考えてはいなかったが、どうやら妖怪が癪に触ったらしい。アーバスが納得いかないのには理由があって先月アーバスが最終確認の為に魔法学園への免除規定を確認した時には実力だけのはずだったのである。その実力とはメルファスの幹部である13聖人に所属していることで、そこには所属日数の規定は無かったはずなのだ。


「それは恐らく読んだ物が古かったのでしょうね。こちらが最新の規定項目ですよ」


と、教皇であるリリファスはため息をつきながら学園の免除規定項目のところを開いて見せてくる。そこには確かに所属の規定日数が書かれており、書かれている通りだと確かに1ヶ月足りていないな。


「私個人としてはジョーカーが抜けるのはとても痛手です。抜け道も色々と探しましたが今回ばかりはどうしようもありませんでした」


ジョーカーとはアーバスのメルファス内でのコードネームである。どうやら教皇としてはアーバスの魔法学園への行くことを阻止したかったようだが、免除の規定は不正ができないように作られていたようで例外すら認められなかったみたいだ。


「そこまで残したいのなら例外として承認すれば良かったのではないですか?」


リリファスなら免除規定で不正が出来ないようになっていたとしても簡単にひっくり返すことが出来るくらいの権力を持っているはずだ。なのでやろうと思えば例外認定をすることは出来たはずだ。


「それをすると一部の13聖人が五月蝿いですからね。アーバスもご存知でしょう?」


メルファスの13聖人の中にはそういうことに対して五月蝿い連中がいるからな。リリファスが権力で何とかしようとしたら絶対に反発してくるはずなのでリリファスとしてはアーバスが魔法学園に行ってもらう方が穏便に済むのだろう。


「はぁ。わかりました。ところで魔法学園はヴェルチアで良いですか?」


ヴェルチアとはアーバスの出身の国であり、広大な湖の上に建設された水上都市である。所属する魔法学園はどこでもいいはずなのでアーバスの出身であるヴェルチアの魔法学園を希望したのだが


「魔法学園の話ですが。ジョーカー、貴方にはセーティス王国の魔法学園に入学して貰うようになりました。入学試験は1カ月後なので準備を怠らないようにしてください」


どうやら入学する魔法学園はメルファス側で既に決まっていたようだ。セーティス王国とは10大大国に位置付けされるくらい経済的にも実力的にも大きな国である。そんな魔法学園のレベルな低い訳もなく上位5つに入る程のレベルであり、昨年行われた10大大国による代表戦では3位の実力である。ちなみに校長であるシエスはリリファスの旧友だったりする。そんな国の魔法学園に入れるのは願ってもないことなのだが、それよりも気になることがあるのでそっちを聞いてみた。


「教皇、なんで試験があるのですか。俺の実力だと試験なんてしなくても入学は確実なはずですが?」


メルファス教会は所属している全ての魔法師のレベルが高く、魔法学園に入学した時点で既に卒業生の上位と同じくらいのレベルがあるのである。魔法学園に入るのも単純に免除の規定を満たさなかった者が魔法学園に仕方なく入学しているのだけなのであり、その実力から通常は推薦や特待生として入学することが通例になってきており、試験に関しても免除されることが大半のはずなのだが


「セーティス王国からの希望で入学試験を受けて欲しいそうです。ジョーカーの実力なら問題ないですし、入学試験の結果に関係なくセーティスの魔法学園に入学するという取り決めも行っております」


どうやら入学試験はセーティス王国からの希望だったみたいだ。セーティス王国の魔法学園の校長とは実際に会ったことがあり、アーバスがジョーカーということも知っているので魔法学園の入学試験を受けさせるのは単純に興味本意といったところだろうか。結果に関係なく入学出来るので軽い気持ちで試験を受けても問題なさそうだ。


「後、明日から学園を卒業するまではジョーカーとしての任務は休止となります。学園にはダンジョンがありますのでそこで腕を磨くといいでしょう」


「メルファスとしても任務もですか?」


アーバスはまさかジョーカーとしての活動が休止されると思っていなかったので心底驚く。学園にいてもジョーカーとして活躍することは可能なのでアーバスは空いた時間で高ランクのモンスターを狩ろうとしていたのだ。


「はい。でないと学園生活に支障が出かねないですからね」


アーバスのジョーカーとしての任務量は膨大で、その量は効率良く1日で倒さないといけないくらいだ。なのでジョーカーとしての活動を維持すれば学園生活に支障が出ると判断されて活動を止められたのだろう。


「わかりました。ならダンジョンで腕を磨くことにします」


ジョーカーとしての活動を続ければ確かにそうなりかねないのでアーバスは仕方なく納得する。アーバスはこれ以上聞くこともないのでそのまま部屋を退出する。部屋から出る時にリリファスは笑顔で「それでは、良い学園生活を」と言った気がするが気のせいにして学園へ向かう準備をしないといけないな。


「アーバス様。どうされましたか?」


自室へ戻り、椅子に座ったタイミングでメルファスで唯一の部下であるリーゼロッテが紅茶を持って声をかけてきた。どうやら顔に出てたらしい。リーゼロッテは見た目は10代後半に見えるが年齢はリリファスと同じで800歳以上でリリファスとは同級生だったりする。リーゼロッテは昔はリリファスと敵対関係であったが、現在は俺の部下としてメルファス内での諜報を担当している。


「リーゼロッテ、俺は来月から魔法学園に通うことになった。暫くはここに戻ってくることは殆どないだろうが、留守の間メルファスの動きを報告してくれ」


「アーバス様が魔法学園に!?年齢的には確かに魔法学園に入学する年ですが、アーバス様が魔法学園に通う理由があるとは思いませんが…」


「確かに魔法学園から学ぶことなんてないとは思うが規定だから仕方ない」


アーバスが魔法学園に通うことにリーゼロッテは驚く。なんせ今までそんな素振りを見せていなかったし、魔法学園に通ったとしてもそこから学ぶことは何もないだろうしな。リーゼロッテに規定であることを伝えるとリーゼロッテは


「メルファス協会は13聖人の所属なら免除だったと認識していましたがおかしいですね。後で探りを入れておきます」


と首を傾げながら言ったのだ。どうやら免除規定に関しては同じ認識だったらしい。アーバスはリーゼロッテと同じ考えでいつ規定が変わったのか確認を指示しようと考えていたから丁度良かった。


「分かり次第報告してくれ。暫くのあいだ拠点はセーティスになる。場所は追って連絡するからリーゼロッテは調査に当たってくれ」


「わかりました。それでは失礼します」


そういってリーゼロッテは退出する。さて、これからどうなることやら‥‥‥


「考えても仕方ないし。いっそ満喫するか」


ここは長期休暇と考えて学園にいる間は楽しむことにするか。今までずっと任務漬けだったしな。

アーバスは暫くここには帰って来なくなると思うので必要な物を持ち出す準備から始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
組織のトップ級の実力者でありながら、規定の「1ヶ月足りない」で学園に通わされる落差と展開のテンポ感が最高です! 任務漬けだった最強少年が、一転して学園生活を満喫しようと割り切る姿にワクワクします。校…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。