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夏祭り  作者: 髙橋あきら
2/24

夏祭り 2

 昨日はわんわん泣いたから、やっぱり目元は腫れていた。なので青みのある化粧下地と、コンシーラーをしっかりと塗り込んだ。

 そうやってメイクをしてバイトに来たら、案の定バイト仲間に色々と聞かれた。失恋したとは言いにくくて、バイト終わりに友だちと夏祭りに行くからメイク濃いめということにしておいた。何か思うところがあるかもしれないけど、みんないい人たちで、それ以上深堀せずに「楽しんで来い!」と言われた。


 今日はいつも以上に元気いっぱいに働いた。そもそも日曜日で集客が高くて忙しいっていうのもあるけど、がむしゃらに働いてたら何も考えずに済んだし、あっという間に退勤時間になった。

 同じ退勤時間の子とみんなに退勤の挨拶をして周り、バックヤードに行くと、更衣室を先に使っていいよと譲ってもらえた。ありがたくお先に更衣室借り、いそいでユニフォームから私服に着替える。

 本日の爆食祭りの予定なので、ワンピースにしている。更衣室の鏡で一応確認して、すぐに出る。

 入れ替わりで着替えようとした子に、分かってはいるのだろうけど、友だちと約束しているから先に行く旨を伝えロッカーにユニフォームを入れて、持ってきたショルダーバッグをひっつかみ退出する。

 スマホを取り出して、バイトが終わったこと、あと15分くらいでお祭り会場に着くことをメッセージで送り、ショルダーバッグを自転車の籠に放り込む。雑だけど、急いでるので気にしない方向で。


 自転車にまたがり、漕ぎ出す。

 さっきまで働いてたから体温は高いし、そもそも夏の夜だし蒸してて暑い。

 信号機がなく大通りを外れて走っているので、徐行する必要も止まる必要もないため、漕げば漕いだだけ感じる風がとても気持ちいい。


 そうして漕いで行くと、浴衣姿の人たちがちらほらと増えてくる。

 これから行く神社での夏祭りに向かっているのだろう。

 歩いていく人たちを自転車でどんどん追い越し、何カ所かある自転車置き場をめぐる。当たり前だけど、なかなか開いている場所がない。それでもなんとか空いている場所を探して自転車をとめて鍵をかける。ショルダーバックを肩にかけてスマホを見ると、ユキちゃんからメッセージが届いていた。もう着いていて、階段を登ったところで待っているという。


 神社は少し上の方にあって、そこに辿り着くには階段を登らなくてはいけない。

 広い階段で普段だったらそんなに人はいないのに、今日は特別な日だから結構な人数がいる。

 その人の波にのり、階段を登る。


 色気とは無縁のスニーカーを履いてきたので疲れることなく階段を一定のペースで登っていく。

 浴衣×下駄の人もいて疲れたという声もときたま聞こえてくるので、心の中でエールを送り、どんどん登っていく。


 そういえば今気が付いたけど、スマホと一緒に自転車の鍵を握りしめたままだった。

 あと数段で登りきるし、登ってからゆっくりバッグにしまって、そのついでにハンカチ出して汗でも拭こう。

 そう考えて、階段を登り切る。そうしてバッグにしまおうとしたところで、バッグの金具に引っ掛けてしまった。それを取ろうとして力を入れたら、そのまま鍵が階段の方へと飛んで行ってしまった。


 鍵を無くす訳にはいかないと、慌てて階段の方を振り返ろうとすると、どんっとぶつかる。


「後ろを振り返ってはいけないよ。」


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