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夏祭り  作者: 髙橋あきら
19/24

夏祭り 19

「この世界のものを持っていたから記憶が戻った?」

「恐らくは。でも安心していいよ、記憶が戻ったからと言ってあちらの世界に戻れないわけじゃない。」


 なるほど、そういうものなんだ。


「さっき、印象に残った人間の話をしたけど、それはキミなんだ。」


 話題が変わった。この後に及んで、どうでもいい話なんてしないだろう。だから、いきなりどうした?とは言わずに、黙って聞くことにする。


 好きになっちゃった子かと思ったけど、そうじゃなかったらしい。だってその時のあたしって、恋愛対象になるような年じゃなかったし。

 ってことはだよ、イズマは禁断の恋をしていたわけじゃないわけで、え、なんだろう、こんな状況だけどほっとしちゃった自分がいるよ。


 いかん、いかん。

 思い出して、今は真面目な話中。


「ボク、何度も回帰するこの夏祭りにいるって言ったでしょう。それより前から疲れていたんだ。正直、もうボクを()()()()()()とすら思っていた。終わらせるにはどうしたらいいか探している時にキミがやって来た。しばらく感情のままに泣いたり笑ったりする子は見ていなかったから、とっても新鮮だった。キミは戻るときにまたね、と言ってくれて、だからもう一度キミと会うためにまだ終われないと思ったんだ。それから勝手だけど、君を待ち続けてたのさ。」


 終わるということは、この流れ的に死ぬとか消滅するとかそういうニュアンスだろう。

 ってことは、1人の自殺願望をぶった切ったということか。過去のあたし、よくやった。じゃなければ、イズマに会うことはなかったし、ここに迷った人間が戻れる確率はたいぶ下がっていたはず。それつまり、他の人間の命の守っだということ。


「ヒトは短命だし、もう1度ここに来ると言う確証はないけど、また会いたいと思ってこの世界に留まったんだ。そうして、キミとの約束も良い思い出として翔華しそうになっていた頃、1人の学生が来た。」


 1人の学生、と言ったときに、あたしの手を握るイズマの手が急に強くなった。


「その学生が、キミの持っているキーホルダーと似たものを持っていたんだ。聞けば、好きな子が似たものを持っていて、夏祭りで選んでもらったって。」


 なんだろう、好きかどうかは別として、夏祭りのくだりは妙に聞き覚えがあるな。

 いやでも、そんなことはない。そんな偶然あるものか。


「スマホのケースに、写真を入れてて見せてくれたよ。学園祭で仲良い4人で取った写真だってね。」


 これは……


「その中で見たことあるキーホルダーのつけた鍵を持ってる子がいてね、こっちが聞く前に教えてくれたよ。松木サヨ。自分が好きな子だってね。」


 はい、確定しました。

 そして情報過多すぎるわ。

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