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可哀想な人魚姫ちゃん…僕が君を守ってあげるから大丈夫だよ

・・・


「ねぇ。一生のお願い…!私もピクライト王国へ行きたいの!」


彼女は頬を染め上げ瞳を海蛍のようにキラキラと輝かせながら僕に懇願した。


「貴方がベリル海底王国を追放されたのは、あのナギサお姉様とピクライト王国の王子が共に暮らせるようにお手伝いをしたからなのでしょう?とても素敵じゃない…。私これを聞いてからずっと興奮が落ち着かないわ!」


ベリル海底王国というのは僕の住むこの海底洞窟から離れた場所…つまりは海底に存在する人魚や魚人たち魔法生物の住む国だ。


確かに僕は過去にナギサ姫と人間たちの国であるピクライト王国の王子の相引きを幇助した罪で追放された。

だが、実際は彼女の考えているようなことがあったわけではない。


「…。」

「私たち友達でしょう?大丈夫よ。私は少しピクライト王国のじょうかまち?をお散歩したらすぐに戻ってくるんだから!

だから貴方がまた何かの罪に問われるようなことはないわ! だから…それで仲直りしましょう?」


あぁ…彼女はなんて世間知らずなのだろう。

犬猿の仲であった二つの王国が平和協定を結び、このオリーブ海に平和が訪れたのはナギサ姫がピクライト王国に嫁いだ52年前のことだ。


その後生まれた彼女は王国で大切に愛され育っただけではなく、海を往く船上の人間たちにも大切に扱われているらしい。


つまりは彼女は悪意や敵意を知らない。いや、それらが存在することすら知らないのだ。


そもそも仲直りの条件にこのような案を出すことさえもバカで愛おしい。彼女が人間たちの住む陸地へ行ってみろ。彼女が傷つき悲しみ辱めを受けるに決まっている。


「…わかった。それなら明日。誰にも気が付かれないようにここにくるといい。」


それならやることは一つしかない。


「本当にいいの!?やったー!本当にありがとう!貴方は最高の友達だわ!」


彼女は破顔し、ハグをして喜びを伝えてくる。

ほら、彼女は何ひとつ理解できていない。


これから僕が過去に犯した罪も、僕の感情も。


何もかもを知らない彼女には理解できないのだ。


・・・

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