フィンランド篇❸「キートス」が聞こえない!
英語の繁殖力
フィンランド語(スオミ語)で「ありがとう」は「Kiitos」(キートス)という。
この言葉を、現地に行った時に便利だからと、何故か学校で教わった我々は、ワクワクした気持ちを胸に「キートス」と笑顔で話しかける瞬間を待ち望んでいた。
我々生徒(特に女子)はことあるごとに嬉しそうに「キートス!」と言っていた。人見知りの私は結局一度もこの言葉を使わず(キートスどころか、英語も特に話していない)皆が嬉しそうに話しているのを端っこで見ていた。
実は、この旅において、現地の人はほとんど「キートス」を使っていなかった。日本からやってきた学生たちがキャーキャー言いながらやたらと使っていたのみである。
フィンランドは、フィン語やスウェーデン語が主な公用語であるとのことだったが、日本の方言のように、交通や共有文化の発達によって公用語(英語)の普及が進み、その地特有の方言は徐々に衰退してしまったのだろうか。それとも、観光客向けにわざわざ英語で話してくれたのだろうか。
おそらく後者であるように思うが、兎にも角にも私は、自分たちだけが持つこの世でたった1つの日本語を大事にしていきたいと改めて思うのだった。